労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
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労働衛生工学過去問(H29-3-1) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
労働衛生コンサルタント筆記試験を受験される方を応援するために、過去問を一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答・ご不明な点についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
労働衛生工学 第45回(平成29年)
問3、問4は、局所排気装置設計に関わる計算問題です。例年、問3問4のどちらか一方はがっつりとダクトの各位置での風速や圧力損失を計算して、局所排気装置計算書を完成させる問題で、平成29年は、問3が表を埋める問題でした。
毎年出題されていますが、平成29年は、下方吸引の外付け式とフードが囲い式と通常の外付け式の3系統の装置です。計算値を用いてファンの性能を求めさせる小問もあり、なかなか手ごわい問題です。
問3 図1に示す局所排気装置の系統図について以下の設問に答えよ。ただし、ダクトの断面はすべて円形とし、空気密度は1.20 kg/m3、フード3の必要排風量は60.0 m3/min とする。
また、図1のフード1は下方吸引外付け式フード(詳細は図2に示すとおり。)であり、作業面は金網上の0.3m 以内である。 |
下記の設問(1)、(2)、(5)及び(6)については計算過程を示せ。計算は有効数字4桁で行い、解答は4桁目を四捨五入して有効数字3桁で答えよ。また、設問(3)の局所排気装置計算書は5桁目を四捨五入して有効数字4桁で答えよ。 |
【小問1)】
例年の設問設定の通り、最初の小問で、フードの必要排風量を計算させています。
排風量の基本の式
風量(Q_m3/分)=補正係数(k)×補足面の面積(A_m2)×制御風速(V_m/sec)×60秒
を使うだけですので、落ち着いて計算しましょう。
小生の回答案
下方吸引 外付けフード
A0=0.6×0.7=0.42
Ac=0.75×(5×0.3×0.3+A0)=0.75×(0.45+0.42)=0.6525
Q1=1×Ac×0.5×60=19.585→ 19.6m3/分 |
囲い式フード
Q2=k×Vc×A=60×1.1×0.5×1=33.0m3/s
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次の小問で、圧損を求めるための準備を行ってから、局所排気装置計算書に記入していきます。
(3)次ページの主ダクト系列の局所排気装置計算書の空欄に入る値を計算し、解答用紙に記入せよ。 ただし、計算は以下によるものとする。 |
① フード1の圧力損失は金網部分とフランジ付外付け式フードの和とする。また、金網部分の面積は作業台全面とし、金網部分の速度圧は作業台面の平均速度を用いて求めるものとする。
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② 合流部の圧力損失は合流前の速度圧に圧力損失係数を乗じて求めるものとする。
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③ 空気清浄装置の圧力損失は、排風量100 m3/min のとき150 Pa とし、排風量の2乗に比例するものとして求めるものとする。
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④ 直線ダクトの圧力損失は、計算書に直管圧損が未記入の番地については、ダクトの摩擦係数を0.02として求めるものとする。 |
設定条件は、H28年のものと大きく変わっていません。
小生の回答案
① フード金網の圧力損失(表a)
排風量が、上記で求めたQ1=19.6m3/分、
作業面の面積は、0.6m×0.7m=0.42m2なので、
流速は、V1=19.6/0.42/60=0.778m/s
→ 有機溶剤の外付け下方吸引の制御風速は0.5m/sなのでOK
速度圧は、1.2×V1×V1÷2=0.36Pa →(表a)
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① フードの圧力損失:フードの断面積は0.0314
流量は、19.6m3/分
流速は、19.6/0.0314/60=10.4m/s
速度圧は、1.2×10.4×10.4÷2=64.9Pa →(表b)
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②合流6-7部分:合流後の断面積0.707
流量は、19.6+33=52.6m3/分
流速は、52.6/0.0707/60=12.4m/s
速度圧は、1.2×12.4×12.4÷2=92.2Pa →(表c)
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②合流8-6部分
流量は、52.6+60=112.6→113m3/分
流速は、113/0.159/60=11.8m/s
速度圧は、1.2×11.8×11.8÷2=83.5Pa →(表d)
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③ 空気清浄装置の圧力損失
150Pa=係数X×100×100 と書けるので、係数X=0.015
フード3か所の排風量の合計は、
フード(1)19.6m3/分+フード(2)33.0m3/分+フード(3)60.0m3/分
=112.6→113m3/分
∴空気清浄機の圧力損失は、0.015×113×113=191.5→192Pa
→(表e)
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④ 直線ダクトの圧力損失
摩擦係数×ダクト長/ダクト直径×速度圧ですので、
直管圧損(Pa/m)の欄には
摩擦係数/ダクト直径×速度圧を記入しておきます。
計算するのは、番地7-8と番地9-10
番地7-8 :0.02÷ダクト直径0.3m×速度圧92.2=6.14
番地9-10:0.02÷ダクト直径0.45m×速度圧83.5=3.72 →(表f)
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以上の計算結果を使って、回答用紙の局所排気装置計算書を埋めていきます。
【回答用紙】赤字が上記の計算結果を記入したものです。
赤字a)からf)が、上記の計算結果です。
沼野先生の本で、みっちり勉強しましょう。
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