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令和3年度「第49回」労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)回答速報2 [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]

友人から入手した試験問題を元に、回答案を考えてみたいと思います。
暫くすると、試験協会のHPにも掲載されますが、労働衛生工学については、正解が開示されないので、皆さんのご意見もコメントで頂ければ幸いです。
 
今日は、問1の(2)(3)です。


問1
職場における労働衛生対策に関する以下の設問に答えよ。
 
(2)粉じん作業を行う屋内作業場において作業環境測定を実施したところ、以下に示す結果を得た。質量濃度と質量濃度換算係数を求め、この作業場における管理濃度と管理区分を決定せよ。
 なお、併行測定は、測定時間が60分間で、吸引ポンプ流量は20L/min、補修フィルターの秤量値は捕集前が49.13mg、捕集後が49.33mg、相対濃度計の計数値は10800カウントであり、バックグラウンドは無視する。
 
 A測定の結果、第一評価値EA1:0.12mg/m3、第二評価値EA2:0.068mg/m3が得られた。
 B測定は、10分間行い、相対濃度計の計数値は3750カウントであった。
 遊離けい酸含有量は、8.0%であった。
 
(3)以下の作業及びその付帯作業において、化学物質等による健康障害をおこすばく露状況として主要なものを、それぞれ三つずつ挙げよ
 
①塗装作業
②溶接作業
③鋳造作業

 

小職の回答案
小問(2)

遊離けい酸の濃度から、この場所での粉じんの管理濃度を計算で求めます。
Qが8%の場合、3.0÷(1.19×8+1)=0.285 が管理濃度となります。
管理濃度=0.285mg/m3
A測定の結果は、管理濃度>EA1>EA2となります。
 問題文(第一評価値EA1:0.12mg/m3、第二評価値EA2:0.068mg/m3)

  
次に、質量濃度と質量濃度変換係数Kを求めます。
併行測定で補修した粉じんの重さは、49.33-49.13=0.2mg 
補修した空気量は、60分×20L/分=0.12m3なので、
質量濃度は、0.2÷0.12=0.167mg/3
 
質量濃度補正係数Kは、
 カウント値10800は、60分なので、180cpm
 K=0.167/180=0.000928mg/m3/cpm
となります。

 

B測定の結果を計算します。
B測定の実測値3750カウントと、0.2mgで10800カウントという情報を用いて
 ※補足した粉じん量は=3750*0.2/10800=0.0694mg
測定時間は10分間で、問題文にはないのですが吸引ポンプの流量は併行測定と同じ20L/分とすると、体積は200Lなので、1m3に換算すると
 0.0694×5=0.347mg/m3
従って、B測定の評価値(EB)は、0.347mg/m3となります。

==========================
B測定結果を、K値を用いて計算する場合は、
3750カウント/10分なので、375cpm
B測定の質量濃度は、
375×K=375×0.000928=0.348mg/3で、同じ結果になります。
==========================
 
以上から、
管理濃度0.285<B測定結果(0.347)<1.5×管理濃度0.428、なので
A測定の結果と合わせて、管理区分は、第二管理区分となります。
 
B測定の結果の計算では、測定時間からサンプリングした気体の体積への変換がポイントですね。
また、ケイ酸の管理濃度の計算は、覚えておくしか仕方ないのですが、
ここ数年で、計算式が改正されているので、最新の式で計算する必要があるのもポイントかもしれません。ただし、この試験を受ける人が、昔の式を覚えているとも思えませんので、問題はないのかもしれませんね。

 


 

粉じんの管理濃度の変遷については、こちらが詳しいです。


 


小問(3)

(3)以下の作業及びその付帯作業において、化学物質等による健康障害をおこすばく露状況として主要なものを、それぞれ三つずつ挙げよ

①塗装作業
②溶接作業
③鋳造作業

付帯作業も含めてというところがポイントなのかもしれせん。
 
前後の作業工程を含めて、現場を見たことがあれば思いつくことも多いのではないでしょうか
ただし、主要なもの、とあるので、ちょっと意地悪ですね。労災事例を知っているかどうかを問いかけているようにも感じます
 
塗装作業
・塗料の調合や希釈のときに、攪拌するので、溶剤蒸気が飛散し、作業者が吸引、あるいは、溶剤が皮膚に付着しばく露
・塗装工程で、塗料と一緒に、ミストが飛散し、作業者が吸引しばく露
・乾燥工程で、塗料から溶剤が揮散し、作業者が吸引しばく露
(・作業に使用する、ウエスや廃塗料缶に残った、溶剤が揮散し、塗装作業以外の作業中にばく露、なんかも追加したいところです)
ペンキローラー.jpg外壁塗装.jpg 
溶接作業
(金属ヒューム以外の、「化学物質等」というのが厄介ですが、ガス溶接とか付帯工程で考えると良さそうです)
・溶接作業で発生する、金属ヒュームの吸引ばく露
・ガス溶接作業で使用する不活性ガスによる中毒や酸欠
・溶接後の、研磨作業での金属粉じんの吸引ばく露

アーク溶接.jpg 
鋳造作業
・溶融した金属を型に流し込む際に、発生する金属の蒸気・ヒュームの吸引ばく露
・型バラシの作業での、型の素材である砂の粉じんが飛散し、吸引ばく露
・成形品のバリ取りなどの研磨作業での、金属粉じんの吸引ばく露
鋳造.jpg
グラインダー仕上げ.jpg 
 





問2以降は、後日。



 

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コメント 5

まーさん

毎年楽しみにしています。
去年ほどでは無いですが、まあまあ難しいですね。淡泊な感じでなく、問題がなかなか終わらず結構聞いて来ますね。


by まーさん (2021-10-22 20:50) 

ちょまぷ

「まーさん」さん、コメントありがとうございます。励みになります。確かに過去問勉強されただけで合格ってなるのも、本質的にはおかしいとは思いますので、問題を作る方も大変なご苦労だと思っています。そういう意味で、今年の問題は、過去の労災事例から題材を得て、どんな予防策を提案できるのかという設定ですので、コンサルタントの真骨頂の部分でもありますので、良い問題なのかもしれませんね。
by ちょまぷ (2021-10-23 13:09) 

ちょまぷ様

お世話になります。何度もすみません。
やっと問1の答え合わせにトライできるようになりました。
小問(1)の「苛性カリ」「亜鉛アーク」「一酸化炭素」は書けましたが「鉛」はダメでした。勉強不足を痛感します。
小問(2)ですが、質量濃度を(49.33ー49.13)/60×20=0.17mg/m3と回答しました。これは割と自信があります。
K値は、0.17/180=0.00094と考えます(本番ではNG。家で考えました)が、いかがでしょうか。有効数字が不安です。
管理濃度は0.29mg/m3と回答しました。これも有効数字が不安。
管理区分は第一管理区分と回答してしまっています。1年前なら作業環境測定士の勉強をしていて簡単に答えられたのに、先月の試験ではK値の考え方をすっかり忘れてしまっていました。猛反省です。
by ちょまぷ様 (2021-11-02 22:26) 

ちょまぷ

田中さん(ですよね(^▽^)/)。                  コメントありがとうございます。                        相対濃度計のカウント値を、質量濃度変換係数のcpmに変換するのを間違っていましたね。 他、説明が不親切な部分もありましたので、全面的に修正します。
by ちょまぷ (2021-11-04 08:53) 

田中勝

正解! 田中でーす。
名前書かずに送信してしまったようで、大変失礼しました。
ちょまぷ様とのやり取りを通じてかなり落ち着いてきました。ありがとうございました。
by 田中勝 (2021-11-05 07:15) 

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