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労働衛生工学:記述式の出題ポイント 索引【更新】
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労働衛生コンサルタント試験:過去問「健康管理」令和3年度(1) [労働衛生コンサルタント過去問:健康管理]

令和3年度の「健康管理」の問題か公表されましたので、回答案を考えてみたいと思います。
 
先ずは、各問題の傾向について、
 
問1「暑熱環境の労働について」:熱中症対策について。熱中症予防ガイドラインなどが出ていますので、取っ付き易い質問のようです。
問2「有機溶剤について」:有機則・特化物になった特別有機溶剤についてですので、衛生工学衛生管理者の皆さんには、馴染みがありますが、保健師さんにとっては、得手不得手がありそうですね。
問3「健診情報などの取り扱い指針」について。ここ数年、話題になっている課題ですね。人事と健康推進室で、個人情報を適切に管理することが求められているので、内容は結構複雑なため、難問だったのではないでしょうか?
問4「健康づくり指針(THP指針)」について。衛生工学やさんには、馴染みが少ないですが、保健師さんには、常識的な問題なのでしょうか?どの程度まで、正確にあるいは、具体的に回答するべきか、指針の丸暗記をしている人はいないでしょうから、
 
という感じですので、事業所の保健師さんだと、問1/問4を選ばれる方が多いのかな、とか想像してしまいました。
保健師さん01.jpg
さて、問1


問 1 暑熱環境における作業の労働衛生に関する以下の設問に答えよ。
(1)職場において発生した熱中症による死傷者数(休業4日以上)は業種によって大きく異なる。次の業種から、2019 年の熱中症による死傷者数が多い業種を、上位三つ挙げよ。
運送業、警備業、建設業、商業、製造業、清掃・と畜業、農業、林業
(2)職場における熱中症による死傷者数(休業4日以上)は月によって大きく異なる。2019 年の熱中症による死傷者数が多い月を、上位二つ挙げよ。
(3)熱中症の症状として、熱失神、熱射病、熱疲労及び熱けいれんがある。これら四つの症状がどのようなものか、それぞれ 50 字から 100 字程度で簡潔に説明せよ。
また、これらのうちで重症度が最も高いものはどれか。
(4)暑熱環境を評価するために WBGT 値がある。WBGT 値を算出するために必要な測定値を三つ挙げ、日射のある場合に WBGT 値を求める計算式を示せ。
(5)熱中症のリスクの判定のために職場や作業者の条件別に WBGT 基準値が設定されている。そこで使用されている条件を挙げよ。
また、それらの条件がそれぞれどうであればリスクが高くなるか述べよ。
(6)WBGT 値が WBGT 基準値を超え又は超えるおそれのある場合に講ずべき対策を、具体的な措置を含めて箇条書きで六つ挙げよ。
(7)熱中症が疑われる場合の、作業現場での応急処置について述べよ。
(8)熱中症を予防するための労働衛生教育の内容に含まれる事項を三つ挙げよ。

水分補給.jpg

<以下、回答案>

問 1 暑熱環境における作業の労働衛生に関する以下の設問に答えよ。
(1)職場において発生した熱中症による死傷者数(休業4日以上)は業種によって大きく異なる。次の業種から、2019 年の熱中症による死傷者数が多い業種を、上位三つ挙げよ。
運送業、警備業、建設業、商業、製造業、清掃・と畜業、農業、林業
 
 建設業・農業・警備業とかって、書きそうになりますが、
 建設業・製造業・運送業です。
 
(2)職場における熱中症による死傷者数(休業4日以上)は月によって大きく異なる。2019 年の熱中症による死傷者数が多い月を、上位二つ挙げよ。
 
 7月と8月
 
(3)熱中症の症状として、熱失神、熱射病、熱疲労及び熱けいれんがある。これら四つの症状がどのようなものか、それぞれ 50 字から 100 字程度で簡潔に説明せよ。
また、これらのうちで重症度が最も高いものはどれか。
 
 熱失神:炎天下にじっとしていたり、立ち上がったりした時、運動後等に起こる。皮膚血管の拡張と下肢への血液貯留のために血圧が低下、脳血流が減少して起こる。⇒暑い時の、立ち眩み→軽い症状で、足を高くして寝かせると通常はすぐに回復する。

 熱射病:体温調節が破たんして起こり、高体温と意識障害が特徴である。意識障害は、周囲の状況が分からなくなる状態から昏睡まで、程度はさまざまである。脱水が背景にあることが多く、血液凝固障害、脳、肝、腎、心、肺などの全身の多臓器障害を合併し、死亡率が高い。
 ⇒大至急、体温を冷却し、救急搬送を行う。
 
 熱疲労:大量の発汗があり、水のみを補給した場合に血液の塩分濃度が低下して起こるもので、筋の興奮性が亢進して、四肢や腹筋のけいれんと筋肉痛が起こる。⇒生理食塩水(0.9%食塩水)など濃いめの食塩水の補給や点滴により通常は回復する。

 熱けいれん: 脱水によるもので、全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などの症状が起こる。体温の上昇は顕著ではない。⇒0.2%の食塩水、スポーツドリンクなどで水分塩分を補給することで通常は回復する。
 
重症なのは、熱射病
 
50文字から100文字って、結構かけますね。
参考URL:https://www.city.chiba.jp/kyoiku/gakkokyoiku/hokentaiiku/documents/nechuushousiryou1.pdf
 
(4)暑熱環境を評価するために WBGT 値がある。WBGT 値を算出するために必要な測定値を三つ挙げ、日射のある場合に WBGT 値を求める計算式を示せ。
 
  乾球温度、湿球温度、黒球温度
 
  室内もしくは室外で日光照射のない場合
  WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
 
  室外で日光照射のある場合
  WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
 
  測定値三つとあるので、日射のある場合を書くのだろうと思います。
 
(5)熱中症のリスクの判定のために職場や作業者の条件別に WBGT 基準値が設定されている。そこで使用されている条件を挙げよ。また、それらの条件がそれぞれどうであればリスクが高くなるか述べよ。
 
  暑熱馴化されたか否か 馴化していないとリスクは高くなる
  作業強度       作業強度が高いと、リスクは高くなる
  衣類         透湿性が低い、または、熱の遮蔽が高いほど、リスクは高くなる
  
この三つかなと思います。
令和3年改訂版「職場における熱中症予防対策マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000636115.pdf  p19~p22
 
(6)WBGT 値が WBGT 基準値を超え又は超えるおそれのある場合に講ずべき対策を、具体的な措置を含めて箇条書きで六つ挙げよ。
 
  ①作業時間の短縮、②作業強度を下げる、などの作業管理
  ③暑熱馴化させる。④作業前の健康状態の確認、などの健康管理
  ⑤水分・塩分の補給、⑥休憩の徹底や、巡視など
 
(7)熱中症が疑われる場合の、作業現場での応急処置について述べよ。
 
    ①涼しい場所に移動に、寝かせて休養させる。
    ②衣類を脱がせて、冷やしタオルや風を当てるなど体表面を冷やす。
    ③自力で、水分補給できるようであれば、経口補水液などを与える。
 
(8)熱中症を予防するための労働衛生教育の内容に含まれる事項を三つ挙げよ。
 
   ①症状、②予防方法、③応急措置
    予防方法に、WGBT値、作業管理、作業環境管理、健康管理、等を含む。
    事例があると、理解しやすい。
 
全部、令和3年改訂版「職場における熱中症予防対策マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000636115.pdf
に記載されていますので、正解に悩むことは無さそうです。
 

 



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