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労働衛生コンサルタント試験:過去問「健康管理」令和3年度(3) [労働衛生コンサルタント過去問:健康管理]

令和3年度の「健康管理」の問題か公表されましたので、回答案を考えています。
 
問1は熱中症予防ガイドライン(症状・予防法・応急措置)
問2は有機溶剤の健康障害とその防止
問3は健康管理情報の管理
問4はTHP(健康つくり指針)
 
今日は問3の回答案を考えます。
健康アンケート.jpg 
問題文
問 3 厚生労働省の「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」等に基づく労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いに関し、以下の設問に答えよ。
(1)事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱う目的として適正なものとはどのようなものか、二つ挙げよ。
(2)事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱ってもよい場合とはどのようなものか、三つ挙げよ。
(3)事業者が策定する労働者の心身の状態の情報を適正に取り扱うための規程に定めるべき事項には、どのようなものがあるか、五つ挙げよ。
(4)労働者の「心身の状態の情報の加工」とはどのような行為を指すのか、簡潔に説明せよ。
(5)事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱う際に、行ってはならない労働者に対する不利益な取扱いとはどのようなものか、三つ挙げよ。
(6)労働者の心身の状態の情報のうち、次の①~⑥の情報は、それぞれ以下のイ、ロ、ハのいずれに該当するか。
① 健康診断の結果(法定の項目)
② 長時間労働者に対する面接指導の結果
③ 保健指導の結果
④ 健康診断の事後措置について医師から聴取した意見
⑤ 健康診断の精密検査の結果
⑥ 治療と仕事の両立支援等のための医師の意見書
イ 労働安全衛生法令に定める義務を履行するために、事業者が必ず取り扱わなければならない心身の状態の情報
ロ 事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程を定めて運用することが適当である心身の状態の情報
ハ 事業者が取り扱ううえであらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要な心身の状態の情報
(7)事業者が、労働者の心身の状態の情報の盗難・紛失等を防止するために、講ずべき安全管理措置にはどのようなものがあるか、三つ挙げよ。
(8)事業者が、医療保険者(健保組合等)から一般定期健康診断結果の提供を求められた場合に、その提供に当たって、事前の労働者個人の同意の必要性について述べよ。
健康診断.jpg 
回答案
回答はほぼすべて「指針」通りで書けますので、解説は不要なのですが、本来は、何故こういうガイドラインになったのかという、背景や決めた当時の議論内容を理解する必要があると思います。逆に、指針を丸暗記することは通常困難ですので、指針の背景となった現場での管理状況や問題点、改善の狙いを理解することで、記憶に刻み込まれるのかと思います。


労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」は、全部で8ページ程度なので、これから勉強される方は、下記の回答案より「指針」本文をよく読まれた方がよいかもしれませんね。
 
問 3 厚生労働省の「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」等に基づく労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いに関し、以下の設問に答えよ。
(1)事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱う目的として適正なものとはどのようなものか、二つ挙げよ。
 
  ①労働者の健康確保措置の実施  
  ②事業者の安全配慮義務  
 
①は当然として、二つ目は悩ましいのですが、指針には以下のようになっています。 
 
『事業者が心身の状態の情報を取り扱う目的は、労働者の健康確保措置の実施や事業者が負う民事上の安全配慮義務の履行であり、そのために必要な心身の状態の情報を適正に収集し、活用する必要がある。』
 
(2)事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱ってもよい場合とはどのようなものか、三つ挙げよ。

  ①法的に必要とされている場合
  ②本人の同意がある場合
  ③労働者の生命身体の保護の為に必要な場合

これも『指針』の通りですね。

(3)事業者が策定する労働者の心身の状態の情報を適正に取り扱うための規程に定めるべき事項には、どのようなものがあるか、五つ挙げよ。

① 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
② 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
③ 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
④ 心身の状態の情報の適正管理の方法
⑤ 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む。以下同じ。)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む。以下同じ。)の方法
⑥ 心身の状態の情報の第三者提供の方法
事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
⑧ 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
取扱規程の労働者への周知の方法

ここから、5つ。「こんなん、全部覚えてないで~」ってなりますね。

(4)労働者の「心身の状態の情報の加工」とはどのような行為を指すのか、簡潔に説明せよ。

所見の有無や検査結果を踏まえた、就業上の措置に係る医師の意見に置き換えること
『指針』の定義の項目に記載があります。

(5)事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱う際に、行ってはならない労働者に対する不利益な取扱いとはどのようなものか、三つ挙げよ。
 
問題文の意味が、はっきりしません。「不適切な情報」の取り扱いなのか、情報の「不当な取り扱い方」なのか、情報を使った「不当な労働者の取り扱い」なのか。『指針』では、『(8)労働者に対する不利益な取扱い』とないう項目がありますので、そこの項目①~③が正解と思われます。
 
①就業上の措置を行う場合に、医師の意見を聞くなどの法令で定められた手順を省くこと
②就業上の措置が、医師の意見や労働者の実態に合わないなどの、法令上の要件を満たさないこと
③心身等の情報を理由にした、解雇・雇い止め・退職勧奨・不当な異動や降格等の、労働契約法令に違反する処遇
 
(6)労働者の心身の状態の情報のうち、次の①~⑥の情報は、それぞれ以下のイ、ロ、ハのいずれに該当するか。
① 健康診断の結果(法定の項目)
② 長時間労働者に対する面接指導の結果
③ 保健指導の結果
④ 健康診断の事後措置について医師から聴取した意見
⑤ 健康診断の精密検査の結果
⑥ 治療と仕事の両立支援等のための医師の意見書
イ 労働安全衛生法令に定める義務を履行するために、事業者が必ず取り扱わなければならない心身の状態の情報
ロ 事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程を定めて運用することが適当である心身の状態の情報
ハ 事業者が取り扱ううえであらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要な心身の状態の情報

「指針」の表の分類通り。()内は、私の解釈です。
①  (通常の健診結果は、ロ)
②  (①と同じ区分、ロ)
③  (オプションの項目なので、ハ)
④  (健診結果についての医師の意見は、必須なのでイ)
⑤  (オプションの項目なので、ハ)
⑥  (医師の意見でも、健診と直接関係の無い情報は、ハ)

(7)事業者が、労働者の心身の状態の情報の盗難・紛失等を防止するために、講ずべき安全管理措置にはどのようなものがあるか、三つ挙げよ。
①正確さと最新化
②改ざん防止
③不要になったときの確実な消去・廃棄

これは、情報セキュリティの3要素とはちょっと違う
情報セキュリティの3要素

機密性(confidentiality)
完全性(integrity)
可用性(availability)

(8)事業者が、医療保険者(健保組合等)から一般定期健康診断結果の提供を求められた場合に、その提供に当たって、事前の労働者個人の同意の必要性について述べよ。



事業者と健康保険組合等とが共同で健康診断や保健指導等を実施する場合は、第三者に該当しないため、事業者は本人の同意を得ずに個人データの提供を行うことが可能。
 
※ ※ただし、あらかじめ、共同利用する旨、共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的、 管理責任者の氏名等について本人に通知されている必要がある。
また、取扱いを委託した個人データの安全管理が図られるよう、必要かつ適切な監督を行ふ必要がある。

健康保険組合.jpg


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