労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の施行日が令和4年4月1日に決まりました。 [法令・通達情報※環境関係]
今日は、久しぶりに環境関連の法改正情報です。
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」は、コンビニや外食産業で配布されており、海洋プラゴミの一因とされてる「使い捨てプラ」の再資源化についての法律です。
環境省HPの「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案概要」
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210309004/20210309004-1.pdf
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」は、コンビニや外食産業で配布されており、海洋プラゴミの一因とされてる「使い捨てプラ」の再資源化についての法律です。
環境省HPの「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案概要」
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210309004/20210309004-1.pdf
また、法令の詳しい解説は、私の尊敬する「佐藤泉弁護士」がアミタさんのHPに書いたコラムが判りやすいです。
https://www.amita-oshiete.jp/column/entry/015807.php
昨日の官報で、施行日を令和4年4月1日に決めたとの公布が有り、併せて、政令2件、省令・命令5件、告示2件も公布されました。なかなかボリュームがありますが、このブログでは、施行規則の一部を紹介したいと思います。
環境省HP http://www.env.go.jp/press/110432.html
以下、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を【プラスチック新法】と記載しています。
法令のポイントは、以下の5点ですので、1/19発出の各政令を並べてみました。
【1】廃掃法に無い「リサイクル」を、【プラスチック新法】では「再資源化」「再資源化等」「再商品化」の三つと定義しています。
「再資源化」 : マテリアルリサイクル
「再資源化等」: サーマルリサイクルを含むリサイクル全般
「再商品化」 : 再資源化等を行う者に有償又は無償で譲渡しうる状態にすること
「再資源化等」: サーマルリサイクルを含むリサイクル全般
「再商品化」 : 再資源化等を行う者に有償又は無償で譲渡しうる状態にすること
他、設計認定等の申請に係る手数料の額、特定プラスチック使用製品及び特定プラスチック使用製品提供事業者の業種、分別収集物の再商品化に必要な行為等の委託の基準等を定める。
【2】プラスチック使用設計指針を定め、基準を満たした製品の認定制度
別紙5プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づく設計認定及び指定調査機関に関する命令
設計認定の申請手続及び設計調査を行う指定調査機関の指定申請手続
設計認定の申請手続及び設計調査を行う指定調査機関の指定申請手続
再商品化計画の認定の手続きについて規定
【3】使い捨てプラ(ワンウェイプラスチック)の使用削減・有料化制度
「特定プラスチック」の使用の合理化のために取り組むべき判断基準
「特定プラスチック」の使用の合理化のために取り組むべき判断基準
外食産業のお店とかコンビニとかを「 特定プラスチック使用製品提供事業者」と定義しています。
こちらは、その他すべての排出事業者の取り組みについて規定しています。
【4】市町村の分別回収した廃プラ類の再商品化の促進施策
【4】市町村の分別回収した廃プラ類の再商品化の促進施策
【5】製造者・販売者による自主回収の制度化
リサイクルを促進するために、廃棄物処理業の許可を不要とする制度
家電リサイクルなどの広域認定制度と同様の、自主的取り組み+認定制度の並列
リサイクルを促進するために、廃棄物処理業の許可を不要とする制度
家電リサイクルなどの広域認定制度と同様の、自主的取り組み+認定制度の並列
以上に加えて、
別紙9プラスチックに係る資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するための基本的な方針
にて、国の目標、一般の事業者、特定プラスチック排出事業者、フランチャイズ事業者、自治体、それぞれについて、取り組むべき事項が整理されています。
以上、かなり濃い内容ですので、不明点は、各リンク先を参照してください。
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学,#筆記試験,#記述式試験
大防法の政令の改正、排水基準の改正(9/24) [法令・通達情報※環境関係]
9月24日に、大防法の政令の改正、排水基準の改正がありましたので、ご紹介します。
「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令」
※バイオマス発電用のボイラーなど、バーナーを有しない設備に関しての基準の考え方を見直して、「伝熱面積」の要件を廃止し、規模要件を「燃料の燃焼能力」に変更。
(株)イクロス様のHPにある、木質系バイオマスボイラーの模式図
「排水基準を定める省令の一部を改正する省令」
窒素又は燐りがん海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある海域に排出している特定事業場に関しての、一部事業者に対する暫定排水基準の延長。
天然ガス鉱業に係る暫定排水基準を、2年間延長し、他の4業種と同じ期限に
赤潮発生のイメージ図 (横浜市HPより)
「排水基準を定める省令等の一部を改正する省令の一部を改正する省令」
亜鉛含有量の一般排水基準を5mg/Lから2mg/Lに強化した際に、10業種について5年の期限を設けて暫定排水基準を設定し、現在は3業種について暫定排水基準を適用。
今回の改定で、2業種については、暫定排水基準を廃止。1業種(電気めっき業)について、基準を5mg/Lから4mg/Lに強化して令和6年12月10日まで延長。
以下、詳細です。
「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令」
【改正の概要】
令別表第1におけるボイラーの規模要件を以下のとおり改正する。
令別表第1におけるボイラーの規模要件を以下のとおり改正する。
1)「伝熱面積」の規模要件を撤廃する。
2) 伝熱面積の規模要件撤廃に伴いバーナーを持たないボイラーについては、バーナーを持つボイラーと同規模であるにもかかわらず規制対象外となることから、公平な規制にするため「バーナーの燃料の燃焼能力」から「燃料の燃焼能力」に改正する。
2) 伝熱面積の規模要件撤廃に伴いバーナーを持たないボイラーについては、バーナーを持つボイラーと同規模であるにもかかわらず規制対象外となることから、公平な規制にするため「バーナーの燃料の燃焼能力」から「燃料の燃焼能力」に改正する。
※大気汚染防止法施行令 別表第1 第1の項ボイラー
(改正前)
環境省令で定めるところにより算定した伝熱面積が10平方メートル以上であるか、又はバーナーの燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50リットル以上であること
↓
(改正後)
燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50リットル以上であること
(改正前)
環境省令で定めるところにより算定した伝熱面積が10平方メートル以上であるか、又はバーナーの燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50リットル以上であること
↓
(改正後)
燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50リットル以上であること
【施行日】令和4年10月1日
「排水基準を定める省令の一部を改正する省令」
(窒素又は燐りがん海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある海域)
特定施設からの窒素の排水基準の、一部事業者に対する緩和基準を延長する。
現在、窒素・燐について5業種の工場・事業場に対して暫定排水基準が設定されている(天然ガス鉱業:令和3年9月 30 日まで、その他の4業種:令和5年9月 30 日まで)
改正後は、天然ガス鉱業に係る暫定排水基準を、引き続き2年間を期限(令和5年9
月 30 日まで)に延長する。(その他4業種と同じ期限となる)
改正後
天然ガス工業 窒素暫定排出基準 160(日間平均150)
畜産農業(令別表第一第一号の二イに掲げる施設を有するものに限る。)
窒素暫定排出基準 130(日間平均110)
酸化コバルト製造業 窒素暫定排出基準 130(日間平均110)
バナジウム化合物製造業及びモリブデン化合物製造業
(バナジウム化合物又はモリブデン化合物の塩析工程を有するものに限る。)
(バナジウム化合物又はモリブデン化合物の塩析工程を有するものに限る。)
窒素暫定排出基準 4100(日間平均3100)
畜産農業(令別表第一第一号の二イに掲げる施設を有するものに限る。)
燐暫定排出基準 22(日間平均110)
「排水基準を定める省令等の一部を改正する省令の一部を改正する省令」
亜鉛含有量の一般排水基準を5mg/Lから2mg/Lに強化した際に、10業種について5年の期限を設けて暫定排水基準を設定し、現在は3業種について暫定排水基準を適用。
今回の改定で、2業種については、暫定排水基準を廃止。1業種(電気めっき業)について、基準を5mg/Lから4mg/Lに強化して令和6年12月10日まで延長。
暫定排水基準を廃止されるのは、
①金属鉱業、
②電気めっき業と金属鉱業事業所から排水を受け入れている下水道業
の2業種。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
下記のリンクをポチっとクリックして頂けると更新の励みになります。
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学,#筆記試験,#記述式試験
六価クロムの水質環境基準値の見直し [法令・通達情報※環境関係]
7月19日、「六価クロムの水質環境基準等の改定について」、中央環境審議会(環境省)から答申が出されました。来年4月施行(予定)。
https://www.env.go.jp/council/49wat-doj/y490-02b/mat02_1.pdf
項目名 現行の基準値 → 新たな基準値
六価クロム 0.05 mg/L以下 → 0.02 mg/L以下
(地下水基準値も、遅れて改正されると思われます)
経緯:
2018年9月
内閣府食品安全委員会において、
六価クロムの耐容一日摂取量(TDI)が1.1μg/kg体重/日と評価
2020年4月
水道水質基準の基準値が0.05mg/Lから0.02mg/Lに改正
土壌溶出量基準まで改正の議論が影響するかどうかは不明です。
今回の基準値強化で、現行の測定法の一部が、検出感度不足となるため、
測定法についても改正される予定です。
分析方法への影響JISK0102規格
65.2 .1:ジフェニルカルバジド吸光光度法
→使用するセルを原則として光路長50mmと明記
65.2 .3~6:電気加熱原子吸光法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、流れ分析法
→標準品を用いた添加回収率確認作業を追加
65.2 .2:フレーム原子吸光法
→目標とする定量下限値(0.01mg/L)等を満たさないことから削除
秋ごろ環境省告示が発出されるということです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。 下記のリンクをポチっとクリックして頂けると更新の励みになります。
にほんブログ村
資格・スキルアップランキング
にほんブログ村
資格・スキルアップランキング
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学
令和元年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果 [法令・通達情報※環境関係]
環境省のホームページに、標記の調査結果が公開されました。
令和元年度に法に基づく土壌汚染状況調査結果が報告された件数は、1,257件(前年度1,051件)でした。
令和元年度に法に基づく土壌汚染状況調査結果が報告された件数は、1,257件(前年度1,051件)でした。
法第3条の調査結果報告件数(510件)は、法第3条第8項が平成29年改正法により新たに創設されたことから、前年度(243件)に比べて増加しました。
調査の結果、
土壌の汚染状態が指定基準を超過し、
要措置区域に指定された件数は52件(前年度70件)、
形質変更時要届出区域に指定された件数は439件(前年度387件)、
合計で491件(前年度457件)でした。
調査件数は、年々増加傾向ですが、令和元年については、有害物質を使用していた特定施設を廃止した事業所において、事業を継続している場合に、土壌調査を猶予が求められていたケースでも、知事が調査を命じることが出来るようになったことがきっけかけになって、法3条の土壌調査が増えているように見受けられます。(実際に、法3条8項の知事の命令は、273件あったということです。) <下記参照>
<調査報告書 p2>
令和元年度における有害物質使用特定施設の使用の廃止件数は 931 件、うち、調査義務の一時的免除件数は 664 件であり、令和元年度における法第3条第1項に基づく土壌汚染状況調査の結果報告件数は 271 件であった。また、令和元年度における法第3条第7項に基づく形質変更時の届出件数は 293 件、うち、法第3条第8項に基づく調査命令の発出件数は 273件であり、令和元年度における法第3条第8項に基づく土壌汚染状況調査の結果報告件数は239 件であった。
法令改正の狙い通り、土壌調査を行うケースが増えているということだと思われます。
法対象外の事例を含めた土壌汚染調査事例
また、法に基づく事例に加え、条例・要綱等に基づくもの、 自主的に行われたものなど、都道府県・ 政令市が把握している土壌汚染調査・ 対策事例を調査対象としてとりまとめた結果も公開されています 。
元度における土壌汚染調査事例の件数は 2,505 件、うち法対象事例の件数は 1,257 件であった。土壌汚染調査事例のうち基準不適合事例の件数は 936 件、うち法対象事例の件数は 613 件であった。
条例や、自主調査が、法による調査とほぼ同数実施されているということになりますね。
実際に、工場敷地内で、新たな建物を建てるなど、形質変更を行う場合に、土壌調査の期間と経費は大きなインパクトがあるのですが、法の規制が厳しくなったことで、やるべきことはきちんと調べて、土壌汚染がなければ安心して施工できるという方法を選ぶ事業者が増えているのだと思います。
汚染物質としては、VOCも多いのですが、重金属等では「鉛及びその化合物」、「ふっ素及びその化合物」、「砒素及びその化合物」の順に多いです。
鉛も砒素も、自然由来もあるので、なかなか難しいです。
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学
令和2年度国内の廃プラスチック類の処理に関する状況調査結果 [法令・通達情報※環境関係]
環境省から「令和2年度国内の廃プラスチック類の処理に関する状況調査結果」が公表されました。
下記のように、アンケート調査を行った結果の集計です。
実施期間:令和2年11月末時点の状況について回答依頼
回答対象:自治体及び、廃プラ処分業(中間処理・最終処分)の優良認定業者
回答対象:自治体及び、廃プラ処分業(中間処理・最終処分)の優良認定業者
廃プラの禁輸によって、一時期、国内の廃プラ中間処分の能力がひっ迫しましたが、新型コロナ感染拡大によって、一旦、廃プラの発生量が減少している状況が続いていますが、増加傾向に転じており、禁輸措置以前の状況まで戻りつつあるとのことです。
結果概要
①産業廃棄物に係る廃プラスチック類処分施設の処理量、稼働率、保管率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、一時期輸入禁止措置以前の平成29年末の水準より大きく低下しましたが、その後再び上昇していることが確認された。
稼働率が80%以上となっている中間処理施設の割合は、
・ 輸入禁止措置(平成29年末)以前で15.1%、
・ 前回調査時点(令和2年2月末)で51.6%、
・ 新型コロナウイルス感染症の影響が最も大きい時期※で7.4%、
(令和2年5月)
・ 今回調査時点(令和2年11月末)で13.2%であった。
・ 輸入禁止措置(平成29年末)以前で15.1%、
・ 前回調査時点(令和2年2月末)で51.6%、
・ 新型コロナウイルス感染症の影響が最も大きい時期※で7.4%、
(令和2年5月)
・ 今回調査時点(令和2年11月末)で13.2%であった。
②令和2年11月末時点では、平成29年末以前の水準に戻りつつあり、今後も状況の注視が必要。
③一部地域においては、不法投棄事案及び保管上限超過等の基準違反が確認されており、廃プラスチック類処分施設の処理量、稼働率、保管率の変化次第では、今後も廃プラスチック類の適正処理に支障が生じる、あるいは廃プラスチック類の不適正処理事案が発生する可能性がある。
保管上限超過 立ち入り検査など 7件
不法投棄 住民通報 1件
保管上限超過 立ち入り検査など 7件
不法投棄 住民通報 1件
今後、新型コロナ感染予防対策が進んで、経済が本格的に上向き始めると、廃プラの発生量も増加する可能性がありますので、生産が戻る過程で、廃プラを抑制する方策を織り込んだ「グリーンリカバリー」が求められますね。
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学
日経ヴェリタス 2020年10月4日号 コロナ復興 緑の処方箋 水素・蓄電池…グリーンリカバリー銘柄は
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2020/10/04
- メディア: 雑誌