厚労省のホームページに告示された内容を、数回に分けて整理しています。

連載の2回目は、特定化学物質に指定された場合の規制の概要です。


1.新たに規制の対象となった物質
溶接ヒューム(金属アーク溶接等作業(※)において加熱により発生する粒子状物質)について、新たに特化則の特定化学物質(管理第2類物質)として位置付けました。



特定化学物質に指定されると、以下の規制が掛かってきます。


2.特定化学物質としての規制





(1)
全体換気装置による換気等(特化則第38条の21第1項)


(2)
溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等(特化則第38条の21第2項~第8項)


(3)

特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条、第28条)




(4)
特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条)


(5)
その他必要な措置




このうち、(1)・(3)・(4)は①作業環境管理、②作業管理、③健康管理の、いわゆる3管理を具体化したものですね。そして(2)は、作業環境測定と、その結果に基づくリスク評価と対策の決定・実施に該当します。


他の特化物では、局所排気装置が求められることが多いのですが、 溶接ヒュームの場合は作業場所が建設現場や、造船所などの大きな工場を想定しており、また、溶接の実施個所で、それなりの風速の流をつくることで、溶接が困難になるとの技術的な見地から、全体換気・または同等以上の装置(=局所排気装置やプッシュプル換気装置)という規制になっています。


こういったその物質の使用方法に合わせた規制を掛けるのは、特化物の規制の特徴であり、そのため、特化則には物質ごとの条項が多くなっているのが、この規則の特徴となっています。





また、この告示は「屋内で金属アーク溶接を行う」場合の規制事項なのですが、「屋外作業で金属アーク溶接を行う」場合にも、特化則が適用されています。(こちらのパンフレット参照)

屋外作業場や、毎回異なる屋内作業場で行う場合には、個人ばく露量が、毎回異なることが予想されるため、上記(2)の「溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等」省略され、(2)「有効な呼吸用保護具の使用」に置き換わっています。


次回以降、特化物としての規制(2)以降を整理したいと思います。




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すっきりわかる特化則―化学物質ごとに検索できる法規制



  • 作者: 木村 嘉勝

  • 出版社/メーカー: 中央労働災害防止協会

  • 発売日: 2020/08/14

  • メディア: 単行本