連載の四回目は、規制の2番目、「溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等」の後半、呼吸用保護具の使用とフィットテストについてです。
2.特定化学物質としての規制
(1) | 全体換気装置による換気等(特化則第38条の21第1項) | |||
(2) | 溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等(特化則第38条の21第2項~第8項) | |||
(3) | 特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条、第28条) | |||
(4) | 特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条) | |||
(5) | その他必要な措置 | |||
理屈としては、「呼吸用保護具の内側が管理濃度未満になることを確実にするように、マスクの性能を選択し、装着状態を管理しなさい。」ということになっています。
マスクの選択についてですが、
管理濃度が0.05mg/m3なので、「個人ばく露測定から求めた「作業環境濃度」が、0.5mg/3の場合は、防護係数10超のものを用いなさい。」ということになります。
使い捨ての粉じんマスクの防護係数は10以下、取り換え式の粉じんマスクも、高性能のものを除いて殆どが10以下、なので、面体式かフェイスシールド式の電動ファン付き呼吸用保護具が必須、ということになります。
実際の現場感が無いので、溶接工場の中でマンガン粉じんの濃度が、0.5mg/m3というのが、よくあることなのかどうかが分かりませんが、最近の粉じん作業の現場では、半面型の面体を使っている方をよく見かけますので、現場でも違和感はないのかもしれませんね。
次に、装着状態の管理なのですが、フィットファクターを求めて管理することが求められています。
現場では、一人一人の顔の形が違うこともあり、全員の評価をすることが求められています。また、粉じんで代表するのではなく、対象物質の濃度を評価しなさいとなっているので、作業者と作業主任者の人の手間が大変大きいと思います。
それだけに、今回の改正は、影響が大きいため、施行日が2022/04/01であり、実施義務が発生するまでの準備期間がと長くなっています。
作業環境測定の技術者の育成や、作業主任者の特別教育などの、行政の行う準備を活用し、しっかり準備する必要がありますね。
→施行日は、その⑦にまとめました。(8/25公開)