埼玉産業保健総合支援センター主催の産業保健セミナー
「第13回 【オンラインセミナー】作業者の経皮吸収ばく露防護のための化学防護手袋の選定、交換を提案する。」を受講してきました。
講師:十文字学園女子大学大学院 教授 田中茂先生
講義のうち、前半は、過去の災害事例(吸入ばく露と、経皮吸収ばく露)の事例を丁寧に紹介して頂き、生々しい事例が、保護具選定の難しさやその意義が、記憶に刻み込まれる、素晴らしい講義でした。
その中でも紹介されていましたが、化学防護手袋の使用にあたっての法的要件と、通達等で示されている留意事項をご紹介します。
保護手袋の法令
有害物全般(安衛則第594条)
事業者は、次の業務では、労働者のために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋または履物など適切な保護具を備えなければなりません。
・皮膚障害を与える物を取り扱う業務
・皮膚からの吸収・侵入により健康障害(注1)や感染をおこすおそれのある業務
・皮膚障害を与える物を取り扱う業務
・皮膚からの吸収・侵入により健康障害(注1)や感染をおこすおそれのある業務
特定化学物質(特化則第44条)
① 事業者は、皮膚障害等のおそれのある特定化学物質(注2)を取り扱う作業等(注3)については、労働者のために、事業者は不浸透性(注4)の保護衣、保護手袋および保護長靴、ならびに塗布剤を備え付けなければなりません。
H29以前は、備え付けていれば良かった!のですが、H29以降以下が規定されました。
② 事業者は、一定の特定化学物質(注5)について、皮膚に障害を与えたり、皮膚から吸収されることにより障害をおこすおそれがある作業(注6)では、労働者に保護眼鏡、不浸透性(注4)の保護衣(化学防護服)、保護手袋(化学防護手袋)および保護長靴(注7)を使用させなければなりません。
③ 労働者は、②により保護衣等の使用を命じられたときは、これを使用しなければなりません。
③ 労働者は、②により保護衣等の使用を命じられたときは、これを使用しなければなりません。
化学防護手袋:通達による義務
平成29年1月12日付け基発0112号
解説
労働衛生のしおり(令和3年版)のp.182
事業者は、各作業場ごとに保護具着用管理責任者を指名し、必要な業務を行わせる
①化学防護手袋の適正な選択、
②着用及び取扱方法について労働者に対し必要な指導
③化学防護手袋の適正な保守管理
事業者は、
①作業に適した化学防護手袋を選択し、
②労働者に対し、化学防護手袋の適正な装着方法及び使用方法について十分な教育や訓練を行う
化学防護手袋の選択に当たっての留意事項
①使用されている手袋の素材によって、防護性能、作業性、機械的強度が変わるため、対象となる有害な化学物質を考慮して作業に適した手袋を選択する
②手袋の説明書に記載された耐透過性クラスを参考に、作業に使用する化学物質の種類と、作業時間に応じた耐透過性を有し、作業性の良い手袋を選択する
化学防護手袋使用にあたっての留意点
①着用する前には、傷、孔あき、亀裂等の外観上の問題がないことを確認する
②使用可能時間を越えて化学防護手袋を使用させない。作業中断した時には、再使用させない。
③化学防護手袋とその他の手袋を二重装着した場合でも、化学防護手袋の使用可能時間の範囲で使用する。
④脱ぐときは、付着している化学物質が、身体に付着しないよう注意する。
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