日測協の「溶接ヒュームの科学と測定の実際」のZoomセミナーを聴講しました。

なかなか、濃い内容で、video配信するなら、是非ご覧いただきたい内容でした。

 

セミナー冒頭の、日測協 飛鳥副会長の「溶接ヒュームにかかる規制のあらまし」は、

講演タイトルには入っていないのですが、10分間にこの規制のポイントを凝縮した内容でした。この規制のややこしい点を、スッキリさせてくれています。

日測協の機関紙にも掲載されることを期待しています。


 





【この改正のややこしい点(その1)】
・R2/4/22公布の労安衛法施行令で、「溶接ヒューム」と「塩基性マンガン」が特化則に追加されたが、塩基性マンガンは「溶接作業における溶接ヒュームにかかる危害防止」が目的で追加されたわけではない。
  
???となりますが、
元々、特化物「マンガンおよびその化合物」から除外されていた「塩基性酸化マンガン」に神経機能障害を起こすリスクがあることが判明した。
  
元々、「溶接ヒューム」には、遊離ケイ酸が含まれていたので、粉じん作業として規制されていたが、特定粉じん作業ではなかったため、工学的対策は全体換気が基本であり、作業環境測定の対処でもなかった。
  
「溶接ヒューム」は、肺がんリスクがあることが判明したので、特化物2類に指定。発がん性があるものの、原因物質などの知見が不足しているので「特別管理の特定化学物質」ではない。
 
にも拘わらず、「溶接ヒューム」の作業環境測定をマンガンを指示物質として分析するので、誤解を招きやすくなっている
  
ということだそうです。
 

 
【この改正のややこしい点(その2)】
「溶接ヒューム」の作業環境測定は、法65条の測定対象外???
(参照:https://www.jawe.or.jp/sokutei/sokuteikiso.html
(1)安衛法65条の作業環境測定は、作業環境の平均的状況を把握するために行うもの。
◆定期的に(半年に一度)測定し、作業環境を維持管理するために実施する
◆工学的対策を行い、第一管理区分にする必要がある
 
溶接作業では、溶接点付近の風速を上げると、溶接不良となるため実施できない
 →第一管理区分にならなくても、適切な保護具を選定するための情報が必要
 
そこで、
(2)安衛法22・23条の必要な措置の一つとして行う作業環境測定は、危害(死亡、健康障害等)を防止するために必要なときに行うもの。
を実施し、
◆作業者が「溶接ヒューム」に出来るだけばく露しないように、現在の「全体換気」が十分か、改善の必要があるかを判断する。
◆「溶接ヒューム」の個人ばく露濃度に応じた、必要な防護係数の呼吸用保護具を決定する目安とする。
 
なるほど!と思いました。



労働衛生コンサルタントの試験勉強をされている方にとっては、最新の改正内容を問われることは少ないとは思いますが、作業環境測定の目的の部分は、記憶しておくと良いと思います。

 




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