標記の通達が令和2年8月17付で発信されています。





(公社)福井県労働基準協会
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建築物の塗膜中のpcbや鉛が解体作業中に飛散することが問題になっていますが、今度は、飛散防止のための剥離剤に含まれる、溶剤(ベンジルアルコールとか、ジクロロエタンとか)が作業者の健康被害を起こしています。


四回目は、国土交通省の『土木鋼構造用塗膜剥離剤技術』を参照して、内容を確認したいと思います。


新技術活用システムの活用方式「テーマ設定型(技術公募)」を使って、標記の技術の試験を行い、一覧表をつくっています。

細かくて見づらいけど、様々な視点で並べて評価しているのは役に立ちますが、この一覧表で、消防法非該当であり、労働安全衛生法でも通知対象物質ではない「ベンジルアルコール」で労災が発生しているのには、もう一段の安全配慮が必要ということになりますね。



比較表では、塗膜剥離剤の安全な取り扱いに対する取り組みについても、一覧表で紹介されています。そこにはもちろん、






施工者に対する剥離剤使用前の施工指導、安全教育の実施



SDS(安全データーシート)の他、製品カタログにも安全管理に関する注意事項を記載



カタログ、SDS(安全データシート)の製品使用前の確認を徹底




ということは記載されており、開発した各社の担当の方々は、十分に安全に配慮されていることがうかがえます。



とはいえ、ベンジルアルコールは確かに引火点が93℃以上であり水と混合した剥離剤は非危険物なのでしょうが、東名高速の補修工事の火災では延焼の原因となったと思われますし、厚労省の通達では、いくつかの密閉された工事現場で中毒症状の原因となっていますので、シンナーなどに比べ、相対的は安全な物質ですが、換気や呼吸用保護具などの適切な管理が、末端まで行き渡っていないと言えるのではないでしょうか?


現場監督さんの意識と、施工会社の安全巡視などで、





 
「嫌なにおいがするね」
→換気を良くしよう。


 
 
→マスクの吸着缶は定期的に交換しよう。


 
「剥離くずが多くて、足元が狭いね」
→毎日、産廃置き場に片付けよう。




といった、現地現物でのコミュニケーションが、重要なんだろうなと思います。


労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントに求められるのも、こういった現場ならではの気付きへの、技術的・法的な裏付けのあるアドバイスなのではないでしょうか?



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