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労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
 
労働衛生工学(記述式)過去問【更新】R04分追加完了
健康管理(記述式)過去問R03分まで[R04分連載開始]
 
労働衛生工学:記述式の出題ポイント 索引【更新】
(各種労働衛生関係の講習会での修了テスト問題から編集)
  

事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。

 
口述試験:衛生工学の情報のまとめ(クリックすると開きます)
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。

副業・兼業を行う場合の健康確保措置について [法令・通達情報※保健衛生]

労働政策審議会 (安全衛生分科会)の第130回~133回において、兼業・副業についての実態調査の結果を踏まえ、「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」議論され、ガイドラインの改定が行われました。






1)時間管理

ポイント①「時間管理の適用範囲」

「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」ですので、

労基法41条の時間管理除外対象以外の使用人となります。

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの


管理職については、法的には時間制限の適用の範囲外となっていますが(自己管理のため)、労災認定の場合は、時間制限の基準が過重労働起因か否かの判断基準となります。


ガイドライン文章

・労働者が事業主を異にする複数の事業場において「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、労働時間が通算される。

事業主、委任、請負など労働時間規制が適用されない場合には、その時間は通算されない

・ 法定労働時間、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)について、労働時間を通算して適用される。

・ 労働時間を通算して法定労働時間を超える場合には、長時間の時間外労働とならないようにすることが望ましい。



ポイント②副業・兼業の確認

どこまで、労働者が使用者に申告すべきかという点については、審議会でもプライベートの保護の点でも議論がされていましたが、


ガイドライン文章

・ 使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認する。

・ 使用者は、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましい。



ポイント③労働時間の通算、④時間外労働の割増賃金の取扱い

どっちが本業で、どっちが副業か?という問題が発生すると思いますが、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、雇用契約の順番になっている点に注意が必要だと思います。


ガイドライン文章

・ 副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者は、労働時間を通算して管理する必要がある。

・ 労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行う。

・ 副業・兼業の開始前に、自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分は後から契約した会社の時間外労働となる。

・ 副業・兼業の開始後に、所定労働時間の通算に加えて、自社の所定外労働時間と他社の所定外労働時間を、所定外労働が行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分が時間外労働となる


・上記③の労働時間の通算によって時間外労働となる部分のうち、自社で労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を 支払う必要がある。 

事業主A、Bが契約順(勤務時間順でないことに注意)


ポイント⑤簡便な労働時間管理の方法(「管理モデル」)

副業・兼業を開始する前に、労働時間の上限をそれぞれ設定するやり方などが、モデル事例として提案されています。使用者Aと、労働者及び、使用者Bで合意して進めるような事例になっています。


ガイドライン文章

・上記③④のほかに、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労働基準法が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法(「管理モデル」)によることができる。

・ 「管理モデル」では、副業・兼業の開始前に、A社(先契約)の法定外労働時間とB社(後契約)の労働時間について、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の範囲内でそれぞれ上限を設定し、それぞれについて割増賃金を支払うこととする。

これにより、副業・兼業の開始後は、他社の実労働時間を把握しなくても労働基準法を遵守することが可能となる。

・ 「管理モデル」は、副業・兼業を行おうとする労働者に対してA社(先契約)が管理モデルによることを求め、労働者及び労働者を通じて使用者B(後契約)が応じることによって導入される。






2)健康管理

健康管理に関しては、兼業・副業の労働時間を労働者からの申告に基づいて、通算時間による管理が必要になる点がポイントですね。実施内容は、労安衛法に定められた通りです。

改定ガイドラインでは、使用者の指示が有った場合、使用者が兼業・副業を認めた場合での、使用者側に発生する責務が具体化されています。


ガイドライン文章

・ 使用者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後措置等を実施しなければならない。

使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、原則として他社との情報交換により、難しい場合には労働者からの申告により他社の労働時間を把握し、自社の労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当である。

使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ、副業・兼業を行う者の健康確保に資する措置を実施することが適当である。

・ 使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、実効ある健康確保措置を実施する観点から、他社との間で、労働の状況等の情報交換を行い、それに応じた健康確保措置の内容に関する協議を行うことが適当である。


3)労働者の対応理

健康管理や使用者との状況の共有など、一定程度の責務を、労働者側にも求めています。


ガイドライン文章

・労働者は、自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある。

・ 労働者は、副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、自ら業務量や進捗状況、時間や健康状態を管理する必要がある。

・ 他社の業務量、自らの健康の状況等について報告することは、企業による健康確保措置を実効あるものとする観点から有効である。


4)労災保険・雇用保険

以下、赤字部分がポイントですね。

(1)労災保険の給付

・ 複数就業者について、非災害発生事業場の賃金額も合算して労災保険給付を算定する。

複数就業者の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定を行う。

副業先への移動時に起こった災害は、通勤災害として労災保険給付の対象となる。

(2)雇用保険

・ 令和4年1月より、65歳以上の労働者本人の申出を起点として、一の雇用関係では被保険者要件を満たさない場合であっても、二の事業所の労働時間を合算して雇用保険を適用する制度が試行的に開始される。

 

関連する通達が、2件出ています。

 
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