事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
除じん性能を有する電動工具に係る石綿等粉じんの発散防止措置を見直し [法令・通達情報※労働衛生]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33709.html
先日紹介したパブコメに関連して、厚労省から「除じん性能を有する電動工具に係る石綿等粉じんの発散防止措置を見直し」の情報が、発出されています。
「石綿等の切断等の作業における石綿等粉じんの発散防止措置について、「湿潤化」に限定せず、「湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用、その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置」のいずれかの実施を義務付けることなどについて、提言しています。」
「厚生労働省は、この報告書を受けて、速やかに労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則の改正を進める予定です。」
分かり易い!!
但し、以下補足があるので、原則「手バラシ」を外すことは無いようですね。
まぁ、除じん装置付きの電動工具でも、使い方がいい加減だと、粉じんまき散らしてしまうので。。
<見直しにあたっての留意事項>
今回の見直しは、電動工具による石綿等の切断等を推奨するものではない。石綿等は切断等以外の方法(ボルトや釘等を撤去し、手作業で取り外すこと)で行う必要があり、これを実施することが技術上困難な場合に限り、電動工具等で石綿等の切断等を行うことが認められているという従来の考え方を変えるべきではない。
こんな装置もありますので、現場で導入されると良いな
HEPAフィルター付充電式背負い集塵機
https://www.monotaro.com/g/04149534/
サンワ・リノテック株式会社さん
ディスクグラインダ用集塵カバー(切断・研削)各種
カタログhttps://sanwa-renotech.com/wp-content/uploads/2021/06/catalog1.4.pdf
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パブコメ 石綿障害予防規則の一部を改正する省令(案) [法令・通達情報※労働衛生]
パブコメ 石綿障害予防規則の一部を改正する省令(案)が発出されています。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495230076&Mode=0
ポイント
①石綿等の切断等の作業、②石綿含有形成品の切断と、石綿含有仕上塗材の除去作業において、除じん性能を有する電動工具の使用を、石綿等を湿潤な状態のものとすること、と同等とする。湿潤化の代替方法として、効果が認められたことによる。
建築物解体業におけるアスベスト被害の増加傾向を止めたいという政府の方針を受けて、石綿則関係は、改正が頻繁に行われています。
この改正案では、「石綿含有成形品を常時湿潤化しながら手作業で解体することを原則」としながらも、やむを得ない場合に電動工具での切断作業を行う時に、これまでは「湿潤化」を基本にしていたのですが、「集じん機付きの電動工具でも良い」としています。
検討会の資料を見ると、実に、湿潤化よりも、集じん機付きで湿潤化しないときの方が、粉じんの発散が抑えられているという結果です。
石綿含有スレート板の切断 実証実験※石綿則第13条の規定の対象となる作業
個人ばく露測定による粉じん濃度変化
湿潤化といっても、水を人が吹き付けているので、作業のバラツキも心配ですので、集じん機付きに限定しても良いのではと思うくらいですね。
以下、抜き書きですが、詳細は、パブコメ本文、あるいは、検討会資料を参照して下さい。
①石綿等の切断等の作業等(石綿則第6条の2第3項及び第6条の3に規定する作業を除く。)において実施が義務付けられる措置を、石綿等を湿潤な状態のものとすること、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置とすること。
② 石綿含有成形品のうち特に石綿等の粉じんが発散しやすいものを切断等の方法により除去する作業及び建築物等に用いられた石綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する作業において実施が義務付けられる措置を、当該石綿含有成形品を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置とすること。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_567968.html
資料1 建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会報告書案(一式)[PDF形式:10.9MB]
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皮膚等障害化学物質への有効な保護具の選択等に関するリスクコミュニケーション(意見交換会) [講習会情報]
厚労省から「令和5年度「皮膚等障害化学物質への有効な保護具の選択等に関するリスクコミュニケーション(意見交換会)」の開催の発表がありました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33584.html
化学物質の自律管理に向けた法整備が進んでいますが、
化学物質の経皮吸収による健康障害についての対応ですね。
これまでは、皮膚刺激・眼刺激の物質については、GHSで分類されているので、保護具着用の対象物質は明確でした。一方、経皮吸収による健康障害を起こす物質については、対象物質や保護具選定方法について、十分な知見が無いのが実情です。
この意見交換会では、
①保護具の使用による皮膚等障害化学物質等への直接接触の防止についての解説
②規制対応上重要となる皮膚等障害化学物質の選定方法と現時点での結果
③保護具着用管理責任者が実施しなければならない、保護具の選択
が、討論されるようです。
特に、③については、今後の現場対応に関わる内容ですので、私もZOOMでの聴講を申し込みました。
意見交換会では、
「皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれが明らかな物質の特定方法」
JNIOSH(労働安全衛生総合研究所)の報告書が紹介されるようです。
資料5-1:「皮膚等障害化学物質の選定のための検討会」報告書(概要パワポ)
資料5-2:「皮膚等障害化学物質の選定のための検討会」報告書
この報告書の別表1に356物質のリストがあり、その取扱いにおいて保護手袋等の使用が今年4月1日からが努力義務、来年4月1日から義務となります。
保護具着用が義務付けられる対象物質について、どういう根拠で選ばれているのかの紹介になりますので、興味深いですね。
報告書で、理解の難しい部分をよく勉強する良い機会だと思います。
また、保護具メーカーのメンバーも交えたパネルディスカッションも期待できそうです。
蛇足ですが、対象の356物質には、「ニトログリセリン」が含まれています。
心臓発作のお薬に「ニトログリセリン」の経皮吸収シートが医療用で使われていますね。
<<参考>>
安衛則第594条の2
「化学物質又は化学物質を含有する製剤(皮膚若しくは眼に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがないことが明らかなものを除く。)を製造し、又は取り扱う業務(法及びこれに基づく命令の規定により労働者に保護具を使用させなければならない業務及びこれらの物を密閉して製造し、又は取り扱う業務を除く。)に労働者を従事させるときは、当該労働者に保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を使用させなければならない。」
(R5年4月1日から努力義務、R6年4月1日から義務)
以下、厚労省の意見交換会開始のページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33584.html
令和4年5月31日公布の労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)等の施行により、令和6年4月1日以降、皮膚等障害化学物質等に対して、化学防護手袋等の保護具着用が義務化されます。
(参考:「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について(基発0531第9号)」https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000945516.pdf)
本意見交換会では、保護具の使用による皮膚等障害化学物質等への直接接触の防止について解説したうえで、規制対応上重要となる皮膚等障害化学物質の判断や保護具の選択について意見交換を行います。職場での化学物質の取り扱いに関心を持つ皆様方のご参加をお待ち申し上げます。
大阪会場 令和5年7月3日(月)14:00~17:00
TKPガーデンシティ新大阪6階(バンケット6A)
(大阪市淀川区宮原4-1-4 KDX新大阪ビル)
東京会場1 令和5年8月8日(火)14:00~17:00
TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原3階(ホール3B)
(東京都千代田区外神田1-7-5 フロントプレイス秋葉原)
東京会場2 令和5年8月10日(木)14:00~17:00
TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原3階(ホール3B)
(東京都千代田区外神田1-7-5 フロントプレイス秋葉原)
※対面式の会場セミナーに加え、Web(Zoom)でも同時配信を行います。
開催案内リーフレット(大阪会場)[PDF形式[443KB]]
開催案内リーフレット(東京会場1)[PDF形式[493KB]]
開催案内リーフレット(東京会場2)[PDF形式[493KB]]その他の法整備については、
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会で討議が進められるようですので、注目していきたいと思います。
検討会https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html
第一回
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33455.html
今後の予定
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001103905.pdf
○第1回検討会(6月8日10:00-12:00)
① 令和5年度検討スケジュール
② 皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれが明らかな物質の特定方法
③ その他
○第2回検討会(7月18日14:00-17:00)
① 濃度基準値の検討
② その他
○第3回検討会(8月28日14:00-17:00)
① 濃度基準値の検討
② その他
③ 対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
④ ばく露測定関係
⑤ その他
○第4回検討会(10月6日14:00-17:00)
① 濃度基準値の検討
② その他
③ 対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
④ ばく露測定関係
⑤ その他
○第5回検討会(11月6日14:00-17:00)
① 濃度基準値の検討
② その他
③ 対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
④ ばく露測定関係
⑤ その他
○第6回検討会(12月22日14:00-17:00)
① 濃度基準値の検討
② その他
○第7回検討会(1月15日14:00-17:00)
① 濃度基準値の検討(積み残し分)
② 対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
③ ばく露測定関係
④ 今年度の検討事項のとりまとめ(報告書)
⑤ その他
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保護具着用管理責任者について [法令・通達情報※労働衛生]
今日は令和5年5月25日に発出された基発0525第3号「 防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、 使用等について」について勉強してみたいと思います。
防じんマスクや防毒マスクなどの呼吸用保護具については、従来から「防じんマスク通達」及び「防毒マスク通達」で、その適切な選択、使用、保守管理等に当たって留意すべき事項が示されてきています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001100843.pdf
現在、自律管理に向けて法改正や法令の強化が進む中での見直しとなっています。
【1】管理体制
①-1 保護具着用管理責任者の選任
事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に呼吸用保護具を使用させるときは、保護具に関して必要な教育を受けた保護具着用管理責任者(安衛則第12条の6第1項に規定)を選任する。
①-2 保護具着用管理責任者の責務
ア:呼吸用保護具の適正な選択
イ:労働者の呼吸用保護具の適正な使用
ウ:呼吸用保護具の保守管理(点検)
エ:特定化学物質の第三管理区分に区分された場所における
改正特化則36条の第4項、同条第5項第1~3号のうち、呼吸用保護具に関する措置
オ:第三管理区分場所における特定化学物質作業主任者に、呼吸用保護具についての指導を行うこと
「エ」が判りにくいのですが、R6/4/1改正後に、第三管理区分の場所で、
エー1:個人ばく露測定の結果を反映した防護係数の保護具を選定して着用させる
エー2:作業中の着用を監視する
エー3:年に一回以上、フィットテストを行う
エー4:1,2,3の結果を記録し3年保管する
エー5:請負事業者にも、装着すべき保護具の種類とその着用の必要性を周知する
ということです。
② 保護具着用管理責任者による作業員の教育
取り扱う化学物質の有害性やばく露の程度の他、呼吸用保護具の着用方法と日常のフィットチェック方法を教える
③ 保護具着用管理責任者によるばく露の状況の記録と呼吸用保護具の適正な保守管理
【2】呼吸用保護具の選択
①基本的な留意事項
・酸欠作業や引火性物質使用環境への配慮
・要求防護性能の順守
・有機則や特化則で定めた規制についての順守
・その他、事業者の責務に関すること、眼の保護、作業性への配慮、など
②フィットテストとシールチェックについて
・フィットテストは、機器を使って年一回以上実施する点検
・従来「フィットチェック」と言っていた日常の簡易的な漏れ確認を「シールチェック」と呼ぶようにしたようですね。
金属アーク溶接等作業を行う作業場所においては、アーク溶接告示で定める方法により、第三管理区分場所においては、第三管理区分場所告示に定める方法により、1年以内ごとに1回、定期に、フィットテストを実施しなければならないこと。
アーク溶接告示:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12725.html
JIS T8150(呼吸用保護具の選択、使用および保守管理方法)に定める方法、および同等の方法
第三管理区分場所告示https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29393.html
JIS T8150(呼吸用保護具の選択、使用および保守管理方法)に定める方法(代替法なし)
JIS T8150:
③電動ファン付呼吸用保護具(Powered Air-Purifying Respirator:PAPR)の故障時の注意
以下、後半については、次の機会に勉強したいと思います。
【3】防じん機能付き電動ファン付呼吸用保護具(P-PAPR)について
【4】有毒ガス用電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)について
【5】保守管理について
自律管理に向けての法令改正の一覧ページの紹介も併せて紹介しておきます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
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建設工事現場に関連する労働安全法令の改正一覧 [法令・通達情報※労働衛生]
大阪4S キャラクターがちょっと可愛い
「フォーSおおさかくん」だそうです。
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/news_topics/_120152.html
大阪中労働局のホームページのお知らせに、令和5~6年度の法改正のうち、建設工事現場に関連のある8種の法令(計18項目)をまとめたリーフレットが公開されています。
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/content/contents/001452801.pdf
足場・荷役作業・化学物質・溶接ヒューム・石綿などの8つの種類別に、
各規制項目毎に改正項目と施行期日が一瞥できるようになっていますので判り易いです。
コンサルタント試験の法令関係の勉強のまとめにちょうど良いですね。
【足場】
①幅が1メートル以上の場所においては、一側足場ではなく、本足場の使用が義務付けられます。
②また、点検者をあらかじめ指名すること、組立・変更・悪天候等後の点検者の氏名の記録が義務付けられます。
【荷役作業】
①昇降設備の設置・保護帽の着用が義務付けられている貨物自動車の範囲が最大積載量5トン以上から2トン以上に拡大されます。
②テールゲートリフター特別教育義務化
【化学物質】
①ばく露を最小限度にすること
②ばく露を濃度基準値以下にすること※濃度基準値設定物質のみ
③皮膚等障害物質への直接接触の防止※健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質は義務化
④がん原性物質の作業記録の保存
⑤保護具着用管理者の選任義務化
⑥別容器保存時の措置の強化
⑦安衛法第31条の2の対象設備の範囲拡大
⑧特定化学物質の有害性等掲示の対象の拡大
⑨防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定の新設※~R8.9.30猶予期間あり
【溶接ヒューム】
①金属アーク溶接等作業主任者の新設
【石綿】
①有資格者による事前調査の実施
【一人親方等に対する保護措置の義務化】
【騒音ガイドラインの改訂】
【時間外労働の上限規制(働き方改革)】
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