事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
表示通知対象物質の削除に関する政令の発出 [法令・通達情報※労働衛生]
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会 第三回資料:その(2) [行政ニュース 化学物質管理]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html
第3回の資料が公開されていましたので、勉強してみました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34842.html
開催日は、令和5年8月28日(月)
議題は、
(1) 濃度基準値の検討
(2) 濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について
(3) 個人ばく露測定の精度管理について
でした。
今日は、「(2) 濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について 」を見ています。
「濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について」
これまでのように、国が細かく決めるのではなく、リスク評価書に、提案されている方法から、事業者が選んで、検証して使うということのようです。
資料5-2:令和4年度濃度基準値設定物質に係る測定法個票案 (例:アセチルサリチル酸)
資料5-3:令和4年度濃度基準値設定物質に係るリスク評価書 (例:アセチルサリチル酸)
濃度基準値設定候補物質に係る測定法について、安全衛生総合研究所に設置された濃度基準値設定候補物質の測定法選定WGにおける測定法の評価内容を踏まえ、測定法を選定・提案することとなり、その基準が示された。
① 測定範囲が現在のOELの1/10から2倍の範囲をカバーすること
② OELの1/10の濃度で捕集剤からの脱着率や添加回収率が75%より良好であること
③ 捕集試料の冷蔵時の保存安定性が90%を超えること、または溶液試料としてその値を確保できることが推測されること
④ OELの2倍の濃度で破過なく測定できる条件があること 以上の項目のうち、3~4項目について定量的なデータのある方法は、原則として採用する。
c. 定量的なデータが不足していても、同様の測定法を用いる他の物質において測定法の検証がされている場合又は測定法の検証実験が行われている場合には、コメントを付して採用する。
d. 従来、作業環境測定において使用されることが少ない、前処理に誘導体化を用いる方法、クロマトグラフによる分離法と金属分析を組み合わせる方法も、コメントを付して測定法として採用する。
e. 従来、作業環境測定においてガスクロマトグラフ法の検出器として使用されている、電子捕獲型検出器(ECD)や炎光光度計(FPD)は採用する。質量分析計に置き換える際は、測定者が各自の作業環境に適合する方法を検証する。質量分析計による分析事例があれば参考文献として記載する。
f. 常温で気体であるような物質で特に測定法が示されていない場合、不活性プラスチックバッグによる捕集方法やキャニスターによる捕集方法、また、連続測定が可能なセンサーを利用する方法であっても、コメント付きで採用する。
g. 常温で気体と液体、気体と固体、使用法を考慮してミストと混合ばく露するような物質については、相補型捕集やIFVサンプラーを使用することになるが、IFVについては検証法が確立していないため、少なくとも相補型で捕集するコメント付きで提案する。
h. 試料の保存安定性は、実験が実施されていないことが多いが、他の項目の検証がなされている場合には、なるべく早く分析する等のコメント付きで採用する。なお、安定な粒子状物質については保存安定性の評価がなされていなくても許容する。
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会 第三回資料 [行政ニュース 化学物質管理]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html
第3回の資料が8月28日に公開されていましたので、勉強してみました。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34842.html
開催日は、令和5年8月28日(月)
議題は、
(1) 濃度基準値の検討
(2) 濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について
(3) 個人ばく露測定の精度管理について
です。
濃度基準値については、前回、時間切れだった、スズ化合物の残りの7物質について
および、追加の12物質について、議論されています。
有機スズ化合物の哺乳類に対する有害性はアルキル基の種類及びその数により毒性が異なるとの知見から、令和5年度対象物質についてモノブチル-、ジブチル-、トリブチル-、トリフェニル-、テトラブチルとして評価した。なお、ジブチルスズ化合物はその有害性が最も高いと判断したジブチルスズクロリドの文献を基に濃度基準値を検討した。 とのことで、
スズ化合物の残りの7物質について0.1ppmに濃度基準値が提案されています。
その他の 種については、イソシアネート系の物質などの呼吸器への感作性が強いため、0.005mg/m2など、基準値がかなり低いです。
また、今回、議論された物質は、蒸気圧が低いので、空気中の粉じん(ミスト)と、ガス成分の両方の合計を計測する必要があり、その旨の測定法を使うような注意が必要とのことです。
(労働衛生コンサルタントの試験にも、こんな化合物の問題がでたのを思い出しますね)
無水マレイン酸 CAS108-31-6 八時間濃度基準値 : 0.08 mg/m3
1,2,4-ベンゼントリカルボン酸1,2-無水物(無水トリメリット酸)CAS552-30-7 八時間濃度基準値 : 0.0005 mg/m3 短時間濃度基準値 : 0.002 単位: mg/m3
ヘキサメチレン=ジイソシアネート(HDI)CAS822-06-0 八時間濃度基準値 : 0.005ppm
ここまでは、呼吸器感作性や喘息を引き起こすので、基準値がかなり低いですね。
ジシクロペンタジエン CAS77-73-6 八時間濃度基準値 :0.5ppm
りん酸トリ-n-ブチル CAS126-73-8 八時間濃度基準値 :0.5ppm
O-エチル=O-4-ニトロフェニル=フェニルホスホノチオアート(別名:EPN)CAS2104-64-5 八時間濃度基準値 :0.1ppm
六塩化ブタジエン CAS87-68-3 八時間濃度基準値 :0.01ppm
プロピレングリコールモノメチルエーテル CAS107-98-2 八時間濃度基準値 :50ppm
ジエチルアミン CAS109-89-7 八時間濃度基準値 : 5 ppm
短時間濃度基準値 : 15 ppm
ノルマル-ヘプタン CAS 142-82-5 八時間濃度基準値 : 500 ppm
2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(別名:エンフルラン)
CAS 13838-16-9 八時間濃度基準値 : 20 ppm
今までは、ヘキサンだけが有機則対象だったけど、
今年度の予定では、ヘプタンとペンタンに、濃度基準値が設定されますね
石油エーテルとかにも混じっているので、気にせず使っている現場とか多そうだから心配です。
エンフルランは、麻酔薬だけど、2008年には、使用禁止になっています。
まだ、どこか別の用途で使っているのかな?
R5年度濃度基準値設定予定の物質
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001103907.pdf
今日は、ここまで。
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職場における化学物質管理のあり方に関するラウンドテーブルディスカッション開催報告 [行政ニュース 化学物質管理]
産業衛生学会のサイトに
「職場における化学物質管理のあり方に関するラウンドテーブルディスカッション開催報告」というトピックスが掲載されているのを見つけました。
https://www.sanei.or.jp/topics/statement/individual.html?entry_id=1078
開催と公開が少し古いのですが、内容は、「新たな化学物質管理」を実効性をもって進めるために、どういう人材を育成していく必要があるのかという点にフォーカスしているように思いますので、コンサルの資格や、作業環境測定士など、衛生工学にかんする資格をお持ちの方、関心のある方は、興味深い内容だと思います。
参加メンバーも、飛鳥滋様(日本作業環境測定協会副会長)、大前和幸様、尾崎智様(日本化学工業協会常務理事)、神村裕子様(日本医師会常任理事)、木口昌子様(厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長)、土肥誠太郎様、橋本晴男様、松井玄考様(日本労働安全衛生コンサルタント会常任理事)他、そうそうたるメンバーです。
詳細は、ご覧いただければと思いますが、
結論として、自律的化学物質管理を担う人材像が提示され、確認されています。
1)化学物質管理の責任者は、曝露のコントロールと化学物質管理に起因する健康影響を結びつけることができることが求められる。
2)化学物質管理者には高い専門性が求められ、化学物質管理経験の不十分な衛生管理者が兼務するのでは業務遂行が困難である。そのため、管理の進め方については、企業の状況に応じ、外部委託を含めたさまざまなモデルが許容されるべきである。
3)化学物質管理を担う人材は、企業内・外を問わず、常に最新の知識を有することが求められる。従って、期間を定めた更新制が適当であり、また大学教育からの人材供給も必要である。
様々な意見が出ていますが、産業安全を担う資格が、これから担う若い人たちに魅力のある(稼げる)資格になってほしいなと思います。
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令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会 第二回議事録 後半 [行政ニュース 化学物質管理]
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html
第2回の議事録が8月14日に公開されていましたので、勉強してみました。
厚労省事務局より、個人ばく露測定に係る測定精度の担保等について検討したいとの提案があり、次回以降検討することになった。【資料5】
今の作業環境測定と、個人ばく露測定の、作業場所と資格の関係
①指定作業場(①)では、作業環境測定士による作業環境測定が義務付けられている。
②第三管理区分作業場(②)では、令和6年4月1日から、個人ばく露測定が義務付けられるが、法令上、測定実施者に限定はない。
③リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う作業場(③)では、リスク見積りのため、化学物質リスクアセスメント指針・技術上の指針に基づき、個人ばく露測定を行う。
④金属アーク溶接等作業を継続的に行う屋内作業場(④)では、個人ばく露測定が義務付けられているが、法令上、測定実施者に限定はない。
⑤濃度基準値設定物質を製造・取り扱う行う作業場(⑤)においては、令和6年4月1日から、技術上の指針に基づき、個人ばく露測定(確認測定)を行う。
【議論の進め方】
本格的な議論は第3回にばく露担当の先生方に入っていただいてから
【実態調査の予定】
現時点で個人ばく露測定を行っている金属アーク溶接等作業を継続的に行う作業場
事業場は約2万5,000。その中約2,000事業場を抽出
・現状どういった方が個人ばく露測定を行っているかとか、そ
・結果を読み解いて、実際にマスクの選定が適切にできたか、
・精度についてはどうなのか
・測定を行う人間について資格を設けるべきかという意見の聴取
出たご意見としては、
①直接ヒトの健康影響に関わるようなデータを採るので、精度を担保するという仕組みが是非必要。
②濃度基準値が非常に低濃度化しているため、分析の精度管理をいかに担保するのかが重要
③対象の化学物質以外のものがどんどん増えるので、今測定機関が持っている方法、今まで作業環境測定士が測っていたものでは対応できない。(事業者のマンパワーや技術も必要)
④均等ばく露作業のデザインのところは客観的に見てグルーピングできるような能力が要求されます。しっかりしたデザインができる能力のある人をセレクションし、精度管理をすることが、不適切なデザインがされることに対しての抑止力になる
⑤全体的に精度のよい分析をして、かつ現場を分かっている人がどう関与できるのかというシステムも見直しが必要
⑥社内で第二種(個人サンプリング法)測定士、デザイン、サンプリングできる方を養成すれば良いのではないか?
次回、8月28日月曜日14時から17時を予定、だそうです。注目しておきたいと思います。
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