昨日11/6に開催された「第10回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」について、事前に資料が公開されていましたので、勉強してみたいと思います。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14534.html

議事は、以下の3点となっています。
(1)これまでの議論のまとめと今後の検討論点について
(2)作業管理と作業環境管理について
(3)化学物質規制の仕組みの見直しについて
資料のリンク
資料1_これまでの議論のまとめ

資料2_今後検討すべき論点の整理

資料3_作業環境測定が義務付けられている個別管理物質に関する作業管理と作業環境管理について

資料4_化学物質規制の仕組みの見直しについて

「作業管理と作業環境管理について」では、①第三管理区分となっている作業場所が増加傾向にあること、②工学的対策が取れない場合に「個人用保護具の着用」で対策が止まっている懸念、③適切な個人用保護具の使用方法が担保できていない懸念、などから、見直しを進めるようです。
カギになるのは、諸外国で進んでいる個人ばく露評価の活用だと思われます。今年の特化則の改定でも、アーク溶接作業の金属ヒューム測定に関して、個人ばく露測定が本格導入されましたが、経皮ばく露の問題もあり、作業環境=気中濃度の評価管理だけでは、有害物質のばく露による障害の予防が困難であると考えられているからかもしれません。
もう一点は、保護具の適切な使用・管理の仕組みの導入ですが、こちらも、今年の法改正に関連していて、一つはいま述べたアーク溶接の作業における作業管理主任者の役割に個人用保護具の点検管理の追加であり、もう一つは、切羽付近の粉じん作業についての「ずい道等の掘削作業主任者の職務への個人用保護具の点検管理の追加です。
資格を取らせて専任した有資格者が、現場で活用されていないという実態が見え隠れしていますね。
いずれも、人的管理にゆだねられる仕組みなので、【インダストリアル・ハイジニスト】による現場確認などを付加的条件とするなどが、検討されているようです。有資格の専門家による現場監査のイメージなのでしょうか?お役所による確認ではなく、自主管理や民間委託の方向性なのかもしれません。北米などでの【インダストリアル・ハイジニスト】の育成と活用を睨んでいるということらしいです。
個人的には、我々「労働衛生コンサルタント】にもお声がけして欲しいものだと思います。

一方、化学物質規制の仕組みの見直しについては、以下のような項目が議論されるようですが、
①ばく露限界値を指標とした管理について
②有害性情報がない物質の管理について
③十分な安全率を見越した暫定ばく露限界値を指標とした管理について
④自律管理物質に共通するルールについてや自律管理を支える人材の確保及び支援
⑤個別管理物質について自律管理を認める場合の基準について

ベースには、現行の個別管理物質と自主管理物質の枠組みを、新たな枠組みとしての、個別管理物質と自律管理物質という区分に変える提案・議論があります。

第9回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会の資料より


今後の議論の項目の中には、「ばく露リスクに応じた健康診断の実施頻度等の見直し」が含まれており、【気中の有害物質の濃度が管理濃度以下に維持されるなど、ばく露リスクが低いと認められる場合に、当該物質に係る特殊健康診断の実施を免除又は頻度を減らす仕組み】なども議論・検討されるようです。
ばく露の極端に少ないような作業や現場に関しては、過剰な規制の一部緩和が期待できそうです。


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