労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
R02労働衛生工学 記述式試験 回答速報(遅いけど) ⑪ [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
労働衛生コンサルタント、労働安全コンサルタントの筆記試験、お疲れ様でした。
受験者の方から問題を入手して、順番に紹介してきましたが、いよいよ、専門外の問2。
例年の傾向通り、騒音ばく露の作業管理と、ばく露評価の問題です。今日は問2の後半です。
問2 振動ばく露作業における作業管理に関して、以下の設問に答えよ。
(2)ある作業者が一日の作業でA,B及びCの3種類の振動ばく露作業を行う場合を考える。3種類の振動ばく露作業それぞれで使用する振動工具のahv(設問(1)における破線部のahvと同じ)及び作業時間は表2の通りになる。
①日振動ばく露量A(8)を5.0m/s2以下とするために作業Cで使用する振動工具の最大使用可能時間[分]を、計算過程を示し、求めよ(有効数字2桁)。
②実際の作業では、一日当たりの作業Cの作業時間は90分かかることが判明した(表3のとおり)。
このときの日振動ばく露量A(8)及び振動ばく露限界時間TLを計算過程を示し、求めよ(いずれも有効数字2桁)。
③上記②に従い作業Cの作業時間を90分として、一日当たりA,B及びCの3種類の振動ばく露作業を行うとする。一週間の就業日数が5就業日で、一日の就業時間が8時間である場合(週40時間)に、一週間当たりの日振動ばく露量Aw(8)が5.0m/s^2を超えないようにするためには、振動ばく露作業を実施できる日数を、一週間で最大何日間としたらよいか、計算過程を示し、答えよ。
ただし、振動ばく露作業を実施する日は、A,B及びCの3種類の振動ばく露作業を行い、各作業における一日当たりの作業時間は変更できないものとする。
小生の回答案
①1日のうちに振動の強さの異なる工具を用いた作業が行われる場合 は、振動の合成値は下記の式により得られる。
作業Aについては、ahvの二乗[×]時間=9.0×9.0×作業Bについては、ahvの二乗[×]時間=6.0×6.0×30分
作業Cについては、ahvの二乗[×]時間=5.0×5.0×X分
作業Cの作業時間をX分とすると、振動の合計値A(8)は、SQRT{(9.0×9.0×120+ 6.0×6.0×30+5.0×5.0×X)/480}
A(8)の制限値は5.0なので、
5.0>SQRT{(9.0×9.0×120+ 6.0×6.0×30+5.0×5.0×X)/480}
25> (9.0×9.0×120+ 6.0×6.0×30+5.0×5.0×X)/480
25×480> (9.0×9.0×120+ 6.0×6.0×30+5.0×5.0×X)
12000>9720+1080+25X
1200>25X
48>X
作業Cは、一日最大48分まで実施可能
②上記の式で、X=90と置いて、ahvを求めます。
ahv = SQRT{(9720+1080+25*90)/(150+90)}
= SQRT{(9720+1080+2250)/(240)}
=SQRT(13050/240)
=7.3
振動作業の合計時間は240分=4時間なので= SQRT{(9720+1080+2250)/(240)}
=SQRT(13050/240)
=7.3
A(8)=7.3×SQRT(240分/480分)=7.3/1.4=5.2
∴A(8)=5.2
TL=200/(ahv の二乗) =3.6時間
∴TL=3.6
作業A、B,Cの合計時間は、4時間ですが、3.6時間までしか作業してはいけないという結果です。
∴TL=3.6
このままでは、日振動ばく露限界時間2時間を超えていますので、何らかの対策で、振動ばく露量を減らす必要があるという結果です。
③厚労省の振動障害予防のパンフレットには、下記のような記載があります。
作業の性格上、同一の作業者が同一の作業現場で連続して作業を行なうことが不可欠である場合でかつ日振動ばく露量限界値(A(8):5.0m/s2)を超える場合には、1週間の作業の計画を作成した上で、振動ばく露を1日8時間×5日(週40時間)として算出し、日振動ばく露量A(8)を5.0m/s2以下とする1日の振動ばく露許容時間としてもやむを得ないこととしています。(ただし、チェーンソーの取扱い業務を除きます。)
上記の計算を週40時間=として計算し、週Y日作業するとすると、
作業Aについては、ahvの二乗[×]時間=9.0×9.0× 120分×Y日
作業Bについては、ahvの二乗[×]時間=6.0×6.0× 30分×Y日
作業Bについては、ahvの二乗[×]時間=6.0×6.0×
作業Cについては、ahvの二乗[×]時間=5.0×5.0× 90分×Y日?
振動の合計値A(8)は、
SQRT{(9.0×9.0×120×Y+ 6.0×6.0×30×Y+5.0×5.0×90×Y)/2400}
A(8)の制限値は5.0なので、
5.0>SQRT{(9720Y+1080Y+2250Y)/2400}
25> (13050Y)/2400
25×2400> 13050Y
60000÷13050>Y
4.59>Y
週4日であれば、作業可能となる。
SQRT{(9.0×9.0×120×Y+ 6.0×6.0×30×Y+5.0×5.0×90×Y)/2400}
A(8)の制限値は5.0なので、
5.0>SQRT{(9720Y+1080Y+2250Y)/2400}
25> (13050Y)/2400
25×2400> 13050Y
60000÷13050>Y
4.59>Y
週4日であれば、作業可能となる。
間違っているよというご意見があれば、コメントで頂けると有りがたいと思います。
一応これで、令和二年分の解答を一通り作成できました。
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振動ばく露限界時間TL=2時間以下としなければならないので、3.6時間と計算されても、作業可能時間はMAX2時間だと思います。
by 田口光孝 (2023-06-23 03:15)
田口さん、コメントありがとうございます。仰るとおり、一日の振動ばく露限界時間TL2時間までが、原則ですね。
by ちょまぷ (2023-06-23 07:38)