令和2年度の労働衛生コンサルタントの筆記試験問題が公表されています。健康管理の問題に関しても、傾向の確認と回答を考えてみたいと思います。

今日は問1の(3)と(4)

(3)オルト-トルイジンに関する次の問に簡潔に答えよ。
① 発生するおそれのある健康障害は何か。
② 健康障害を早期発見するための検査法を三つ挙げよ。
③ 取り扱う作業者が着用すべき保護具を三つ挙げよ。
 
(4)インジウム・スズ酸化物に関する次の問に簡潔に答えよ。
① 発生するおそれのある健康障害は何か。
② 健康障害を早期発見するための検査法を二つ挙げよ。
③ 取り扱う際の目標濃度とは何か。
④ 取り扱う作業者が着用すべき保護具の指定防護係数とは何か。



以下、回答案と参考リンク

(3)オルト-トルイジンに関する次の問に簡潔に答えよ。
オルトトルイジンの健康障害防止対策パンフレット


① 発生するおそれのある健康障害は何か。
膀胱がん

② 健康障害を早期発見するための検査法を三つ挙げよ。
・尿中潜血、??頭痛・尿の着色などの自覚症状、・・・
あと二つは、医療関係者でないと思いつかないかも
・尿沈渣(さ)検鏡の検査
・尿沈渣(さ)のパパニコラ法による細胞診
特化則、別表3の(7)参照

③ 取り扱う作業者が着用すべき保護具を三つ挙げよ。
吸入ばく露、経皮ばく露の防止の他、目刺激もあるので以下の三つを選択
・呼吸用保護具、
・不浸透が確認されている手袋の他皮膚接触を防ぐ保護具、
・保護メガネ、




(4)インジウム・スズ酸化物(ITO)に関する次の問に簡潔に答えよ。
① 発生するおそれのある健康障害は何か。
肺がん、肺疾患
② 健康障害を早期発見するための検査法を二つ挙げよ。
・血清インジウム濃度の測定
・血清KL-6値の測定
あと付け加えるとしたら、呼吸器系の自覚症状と胸部CT
③ 取り扱う際の目標濃度とは何か。
ITO等の取扱い作業における当面の作業環境の改善の目標とすべき濃度基準
※ITOについては、NOAELが定めされておらず、LOAEL=0.01mg/m3だけが知られている。そのため、「第一・第二管理区分において呼吸用保護具が不要」との判断できる管理濃度を定めることが出来ていない。そのため、このような「目標濃度」が定められた。⇒目標濃度が定められた経緯リンク


④ 取り扱う作業者が着用すべき保護具の指定防護係数とは何か。
防護係数とは、面体外部の有害物質量を面体内部の有害物質量で割った値であり
指定防護係数とは、その保護具が正常に機能している際に期待される防護係数を言う。
インジウムスズ酸化物については、作業環境中の濃度ごとに、使うべき呼吸用保護具とその指定防護係数が定められている。⇒保護具の防護係数のリンク




問2以降については、また後日。


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