2/15に開催予定の「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 リスク評価ワーキンググループ」の資料が公開されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16680.html
議題は「国によるリスク評価のあり方について」で、有害性情報の不十分な化学物質を自律管理する上での、国による情報提供のあり方を決める議論で有り、重要な局面だと思います。


資料→https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000737421.pdf

 

1.国によるGHS分類

2.モデルラベル・モデルSDSの作成・公表

3.ラベル表示・SDS交付の義務化

4.ばく露限界値(仮称)の設定

5.暫定ばく露限界値(仮称)の設定

6.経皮吸収のある化学物質


などについて議論されます。

 

内容も濃く、ヴォリュームもあるので、二回にわけて、ポイントを書き出してみたいと思います。

 

1.国によるGHS分類/2.モデルラベル・モデルSDSの作成・公表

<基本方針>
製造・輸入量にかかわらず、重大な労働災害の要因となった物質、許容濃度又はTLV-TWAが設定された物質、一定程度の高い「危険有害性」が確認された物質等について、国によるGHS分類の対象物質とする。


<想定スケジュール>
○ 2021年度より、毎年50~100物質程度を抽出・選定し、当該物質を新規にGHS分類
○ 新規にGHS分類され危険有害性が確認された全ての物質について、モデルラベル・モデルSDSを作成


<実施主体>
○ GHS新規分類:関係省庁が連携して参画する検討会等において分類(調整中)
○ GHS再分類 :(調整中)
○ モデルラベル・モデルSDSの作成:厚生労働省

 

 

「製造・輸入量にかかわらず」というところは、前進したと感じますし、

GHSの決定に「関係省庁が連携して参画する」ので、環境省と厚労省が別々に出すという混乱も回避できると思いますが、実施主体は「調整中」というのがお役所ですね。

毎年、50~100というのも、まずまずのスピード感かもしれません。

 


 

3.ラベル表示・SDS交付の義務化


<基本方針>
○ 国は、現在モデルラベル・モデルSDSを作成している約3,000物質(既にラベル表示・SDS交付義務対象である673物質は除く)に関して、まず危険有害性について精査。危険有害性が認められるものに関して、順次、ラベル表示・SDS交付を義務化○ 約3,000物質(-673物質)の対応が完了後、2021年度以降新規に国がGHS分類した物質に関して、順次、ラベル表示・SDS交付を義務化


<想定スケジュール>
○ 既存の約3,000物質(-673物質)に関して、毎年700物質程度を対象として義務化を想定。
○ 施行までの経過措置期間は2~3年を想定。
○ ただし、重大な労働災害が発生している物質に関しては、上記によらず迅速に義務化する場合がある。


<対象物質の考え方>
○ 約3,000物質(-673物質)を精査し、危険有害性が確認されない物質【Category A0】の洗い出し『【Category A0】 以外の物質』に関して、順次、ラベル表示・SDS交付の義務対象化とする。


スケジュールは、

1年目 【Category A1】CMR及び急性毒性のカテゴリーで区分1相当の有害性

2年目 【Category A2】上記以外の区分1の物質+区分2の物質

3年目 約3000物質のうち、上記と、危険有害性が確認されない物質【Category A0】以外の物質

4年目 1~3年目に、GHSの決定分類が決められた物質

5年目以降 前年にGHSの決定分類が決められた物質


順次SDS交付を義務づけると言いますが、混合物とか毎年変わることになりそうなので、一辺にやってくれた方がたすかるところもあると思われます。

 


先にやるのは良い方向なんで、

→→3000物質、一括義務化。

→→→猶予期間が、カテゴリー別の方が良いのかなぁ、

とか思います。

 


4.ばく露限界値(仮称)の設定


<基本方針>
○ 現在国が実施している『国によるリスク評価』対象物質のうち、リスク評価が終了した物質以外の物質(100物質程度)(=『リスク評価由来対象物質』)に関して、優先的にばく露限界値を設定
○ 『リスク評価由来対象物質』の対応が完了後、ラベル表示・SDS交付義務対象物質に関して、順次、ばく露限界値を設定
○ ばく露限界値を設定した物質について、設定後に許容濃度等が変更となった場合は、ばく露限界値の見直しを検討


<定義>
○ 自律管理における判断基準を明確化し、化学物質へのばく露防止対策の適切な実施を促進するために設定する指標値。「労働者が吸入する有害物の濃度」を当該濃度以下に保つことを義務とする。
○ 労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で化学物質にばく露される場合に、当該化学物質の平均ばく露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと考えられる濃度。有害性情報に応じて、最大許容濃度(作業中のどの時間でも、ばく露濃度がこの数値以下であれば、健康上悪影響を及ぼさないと判断される濃度)としてのばく露限界値を示す。

  
<暫定スケジュール>
○ 毎年度 200物質程度を対象としてばく露限界値の設定を想定。
○ 施行までの経過措置期間は1年程度を想定。
○ ただし、重大な労働災害が発生している物質に関しては、上記によらず迅速に対象とする場合がある。

 

※『リスク評価由来対象物質』・・・日本語の意味がわかりません・・・

【『国によるリスク評価』対象物質】が、どのように決められたのか?というと

『これまで国際がん研究機関(IARC)の発がん性指標の高いグループ1→2A→2B の順に物質を選定するとともに、最近では、生殖毒性や神経毒性の高い物質についても選定してきた』というのが、厚労省の『職場における化学物質のリスク評価』のHomepageにありますので、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000113892.htmlの資料リスク評価対象物質・案件の選定の考え方〔平成30年度第2回企画検討会〕[ PDF - 434KB ]

 

毎年、ばく露報告を事業者に数件~10数件求め、その結果も踏まえてリスク評価を行ってきたので、物質数としては、今後毎年100件程度と、かなり速いペースで進めることになっています。お役所としてもかなりのMPを書ける必要がありると思われます。

 

ただここで、【Category B1】とか【Category B2】とかが、また出てくるので、現場で混乱しないように、注意が必要ですね。

 


 

 


 

残りの5.暫定ばく露限界値(仮称)の設定、6.経皮吸収のある化学物質については、気になる点が多いので、明日のブログでまとめたいと思います。


 

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