令和3年度の「健康管理」の問題か公表されましたので、回答案を考えています。
 
問1は熱中症予防ガイドライン(症状・予防法・応急措置)
問2は有機溶剤の健康障害とその防止
問3は健康管理情報の管理
問4はTHP(健康つくり指針)
 

今日は問4の回答案を考えます。

問題文

問 4 厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP 指針)」に基づく労働者の健康保持増進対策に関し、以下の設問に答えよ。
(1)労働者の健康保持増進が求められるようになった背景には、近年の社会情勢の変化の中で労働者のどのような健康面の問題があったか、二つ挙げよ。
(2)事業者が労働者の健康保持増進対策を行うメリットは何か、三つ挙げよ。
(3)対策を推進するに当たり事業者が留意する必要がある事項に次のものがある。何を意味するか簡単に述べよ。
① 健康保持増進対策における対象の考え方
② 労働者の積極的な参加を促すための取組
③ 労働者の高齢化を見据えた取組
(4)事業者は健康保持増進対策を中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行うため、次の基本事項に沿って積極的に進めていくことが望まれる。
健康保持増進方針の表明 → 推進体制の確立 → 課題の把握 →
健康保持増進目標の設定 → 健康保持増進措置の決定 → 健康保持増進計画の作成 →
健康保持増進計画の実施 → 実施結果の評価
以下について簡潔に述べよ。
① 「健康保持増進方針の表明」において、方針にはどのような項目を含めるべきか、四つ挙げよ。
② 「推進体制の確立」に当たり活用する事業場内の推進スタッフを四つ以上挙げよ。同様に、取組に応じて連携可能な事業場外資源を五つ挙げよ。
③ 「課題の把握」を行い、「健康保持増進目標の設定」を行うに当たり、どのように進めるのが良いか。
④ 「健康保持増進措置の決定」はどのように進めるか。
⑤ 健康保持増進措置の内容を大きく二つ(健康指導とその他の健康保持増進措置)に分類して簡潔に述べ、どのような取組が含まれるか具体例をそれぞれ二つ以上挙げよ。
⑥ 健康保持増進計画の作成に際し、事業場としてその計画をどのような位置づけにするのが望ましいとされているか。
⑦ 健康保持増進計画に含める事項を三つ挙げよ。
(5)本指針が策定されてから 30 年余りが経過し、その間の社会経済情勢の大きな変化の中で、健康保持増進対策の見直しが行われてきた。これは、どのような社会的ニーズの高まりや取組によるところと考えられるか、三つ挙げよ。
 

 



THPについては、今年改正されていますので、ヤマを張っておられた方も多いかもしれませんね。

 


 

回答案
 

問 4 厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP 指針)」に基づく労働者の健康保持増進対策に関し、以下の設問に答えよ。
(1)労働者の健康保持増進が求められるようになった背景には、近年の社会情勢の変化の中で労働者のどのような健康面の問題があったか、二つ挙げよ。

 

健康面での問題なので

①有所見率の増大、②メタボリック症候群予備軍の比率増大

の2点だと思います。

 
(2)事業者が労働者の健康保持増進対策を行うメリットは何か、三つ挙げよ。

 

①医療費の削減

②疾病による休職・離職・退職の防止による生産性の向上

③社会的評価の向上による、人材の確保や離職防止

どう区切るかにもよりますが、この辺りで、どうかなと思います。

 
(3)対策を推進するに当たり事業者が留意する必要がある事項に次のものがある。何を意味するか簡単に述べよ。
① 健康保持増進対策における対象の考え方
② 労働者の積極的な参加を促すための取組
③ 労働者の高齢化を見据えた取組

 

THP指針通り

①対策が個人対象か、集団対象か

②健康づくりに無関心な層への有効な働きかけ。スポーツイベントなどの楽しい取り組み

③雇用継続を踏まえ、若い世代からの継続的な働きかけ

 

(4)事業者は健康保持増進対策を中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行うため、次の基本事項に沿って積極的に進めていくことが望まれる。
健康保持増進方針の表明 → 推進体制の確立 → 課題の把握 →
健康保持増進目標の設定 → 健康保持増進措置の決定 → 健康保持増進計画の作成 →
健康保持増進計画の実施 → 実施結果の評価
以下について簡潔に述べよ。
① 「健康保持増進方針の表明」において、方針にはどのような項目を含めるべきか、四つ挙げよ。

  ・事業者TOP自らの支援

  ・労働者の健康増進であること

  ・労働者の参加・協力の元で行うこと

  ・施策の確実な実施を行うこと

 

② 「推進体制の確立」に当たり活用する事業場内の推進スタッフを四つ以上挙げよ。同様に、取組に応じて連携可能な事業場外資源を五つ挙げよ。

 

【事業所内】:産業医、衛生管理者、保健師など保健スタッフ、人事スタッフ

【事業所外】:医療機関、地域医師会、健康保険組合、産業保健支援センター等の行政機関、

       スポーツセンターなどの民間機関、

 
③ 「課題の把握」を行い、「健康保持増進目標の設定」を行うに当たり、どのように進めるのが良いか。

 

現在の課題・過去の達成状況を踏まえ、一定期間内に達成できる目標を設定すると共に、中長期的な目標となりうる指標も併せて設定する。

 
④ 「健康保持増進措置の決定」はどのように進めるか。

 

事業者の方針、課題を踏まえた「健康増進目標」に基づき、事業所の実情に合せた施策とする。

 
⑤ 健康保持増進措置の内容を大きく二つ(健康指導とその他の健康保持増進措置)に分類して簡潔に述べ、どのような取組が含まれるか具体例をそれぞれ二つ以上挙げよ。

 

健康指導

 ・健康診断や必要に応じて行う健康測定等により労働者の健康状態を把握し、その結果に基づいて実施する

 ・具体的には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔ケア、など

その他健康増進措置

 健康保持増進に関する啓発活動や環境づくり等、

 健康教育、健康相談など、


この設問は、ちょっと変な感じ。その他健康増進措置については、指針には多くは書かれていないので、現場感のある答えを期待している可能性もありますね。


⑥ 健康保持増進計画の作成に際し、事業場としてその計画をどのような位置づけにするのが望ましいとされているか。

 

 ・労働安全衛生計画の一部に位置付け、安全衛生委員会、及びその仕組みを活用する

 
⑦ 健康保持増進計画に含める事項を三つ挙げよ。

 

 ・具体的実施事項と実施時期

 ・計画の期間・目標達成時期

 ・実施状況・進捗管理と見直し評価の項目

PDCAを回しなさいってことで

 
(5)本指針が策定されてから 30 年余りが経過し、その間の社会経済情勢の大きな変化の中で、健康保持増進対策の見直しが行われてきた。これは、どのような社会的ニーズの高まりや取組によるところと考えられるか、三つ挙げよ。

 

 ・労働人口の高齢化

 ・技術革新などの社会情勢の変化

 ・労働者の意識や働き方の変化

   (非正規の増加、テレワークの増加、女性の社会進出、など)


以上で、「健康管理」の問題も終了です。

 

今年の傾向としては、問1と問2の選択問題は、厚労省のガイドラインに沿いつつも、熱中症や有機溶剤取り扱いについての実際的な知識を答えさせる問題になっており、一方、問3と問4の選択問題は、ここ2-3年で大きく取り上げられている、あるいは追加や改正が行われた行政の施策に関しての「指針」の内容を問う問題になっていました。

 

出題範囲としては、狭い範囲の知識を深く問う問題だったように感じます。

 


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