2022年1月31日(月)の「第145回労働政策審議会安全衛生分科会」にて、3つの法令改正に関しての諮問について、すべて妥当との答申がなされました。

1)事務所則の改正
 事業者が空気調和設備を設けている場合の、労働者を常時就業させる室の気温の努力目標値について、18度以上28度以下とすること。※現在の基準は17度以上28度以下。

 施行日は、令和4年4月1日の予定



 

2)労働安全衛生規則等の改正

 ~一人親方等も労働安全衛生法に基づく保護措置の対象に~

 建設アスベスト訴訟最高裁判決において、労働安全衛生法第22条の規定は、労働者と同じ場所で働く労働者以外の者も保護する趣旨との判断を受けたもの


① 安全確保のための設備設置関係の規定の改正
・安全確保の為の設備は、請負人のみが作業を行うときにも稼働させるよう配慮する。
② 作業方法、保護具使用等の作業実施上の安全確保に係る規定の改正
・安全確保のための作業方法の遵守や保護具の使用等の必要性について、請負人に対しての周知義務を設ける。
・保護具の使用等の規定については、当該作業場で(他の)作業に従事する者全員を周知対象とする。
③ 退避、立入禁止等に係る規定の改正
・立入禁止、特定行為の禁止、退避、入退室管理等の措置は、労働者以外の者(請負人や当該場所で(他の)作業に従事する者)も措置対象に追加。立ち入り禁止表示の明確化。
④ 有害物の有害性等を周知するための掲示に係る規定の改正
・有害性等周知の掲示は、労働者以外の者(請負人や当該場所で(他の)作業に従事する者)も措置対象に追加。
・掲示すべき事項「有害物の人体に及ぼす作用」を、「有害物により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状」に変更し、「保護具を使用しなければならない旨」を掲示事項に追加

・有害物の有害性等を周知するための掲示の規定を、鉛則、四アルキル鉛則、粉じん則、安衛則(ダイオキシン関係)についても、新たに設けることとする。( 現在、石綿則、有機則、特化則のみ)
⑤ 労働者以外の者による遵守義務
・特定行為の禁止、退避、立入禁止等の措置など、労働者に遵守義務があるものは、労働者以外の者にも遵守義務(ただし罰則の対象にはならない)。

⑥施行日は、令和5年4月1日



 

 


3)「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」及び「労働安全衛生規則及び特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令案要綱」の答申

 

化学物質管理のあり方の見直しにおいて「自律管理」に向けての改正

 

①請負人の労働災害防止のため、注文者が必要な措置を講じなければならない対象設備の範囲に、表示・通知対象物の製造・取扱設備を追加。


②職長等に対する安全衛生教育が必要となる業種に「食料品製造業」「新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業」を追加。※食料品製造業のうち、うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業は既に職長教育の対象となっている。


③表示・通知対象物質(234物質)の追加。加えて、当該234物質の裾切値を設定。


④令和5年4月1日に施行(3については、令和6年4月1日に施行)

  実施にあたっての猶予措置有り。




大幅な改正になっていますので、施行日までに抜けもれなく準備できるよう、現場への周知や掲示物の準備、現場リーダーと作業員への教育が必要ですね。

 

2)は有害作業の配慮範囲が、請負人や近くで別の作業している作業員にまで拡大した内容ですので、対象となる法令の範囲が広いです。


3)は、化学物質管理のあり方の大きな方向転換であると同時に、事業者だけでなく、現場作業人の人が気をつけなければいけない対象物質が膨大な数になっているという現実に、危機感を持って対応を始める必要がありそうですね。



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