労働衛生コンサルタントの筆記試験まであとわずかですね。受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>


昨日に引き続き、健康管理の問題を解答していきます。

特に、本ブログの5/26にも記載した通り、問1または問2の選択問題では、有害物質管理、特に有機則や特化則に関連した問題が、毎年のように出題されています。これらの問題は、科目:労働衛生工学でも基本的な事柄ですので、復習するのにちょうど良いと思われます。口述試験でも問われる内容ですので、衛生工学・保健衛生、両方の受験者の方々にご覧頂くと、お役に立てるのかなと思います。(口頭試問の受験の記録・感想や小職の提案する勉強法については、年末位からこのブログでも紹介したいと考えています)



昨年令和元年の健康管理 問2の後半 です。


問 2 近年、危険性や有害性の情報を十分に把握せずに使用した化学物質のばく露をうけた作業者にがんが発生している。職業がんに関する以下の設問に答えよ。


 

(3)化学物質による「多段階発がん」について説明せよ。

(4)化学物質の有害性をスクリーニングするエームス(Ames)試験について説明せよ。

(5)有機溶剤として使用されている化学物質には、発がんのおそれがあるものがある。 ① 発がんのおそれのある有機溶剤を二つ挙げよ。ただし、(1)の ① 及び ② 以外の化学物質とする。

② 発がんのおそれのある有機溶剤を取り扱う作業場において、事業者が講ずべき作業環境管理及び作業管理に関する措置並びにそれ以外の措置を合わせて五つ挙げ、それぞれの内容を説明せよ。

 

(3)、(4)は、ちょっと衛生工学屋さんには、縁が無いかもしれませんね。

(5)は労働衛生工学でも出そうな問題です。


回答例

(3)がん細胞は、正常な細胞の遺伝子に2個から10個程度の傷がつくことにより、発生します。これらの遺伝子の傷は一度に誘発されるわけではなく、長い間に徐々に誘発されるということもわかっています。正常からがんに向かってだんだんと進むことから、「多段階発がん」といわれています。(これは知りませんでした)


(4)微生物に対する変異原性を検査する方法。(ここまではなんとなく知っていましたが)

ヒスチジン要求性突然変異を持ついくつかの菌株を用いる。これらはヒスチジンを合成できないため生育にヒスチジンが必要だが、変異原により復帰突然変異が起こるとヒスチジンなしでも生育できるようになる。


(5)エチルベンゼン、クロロホルム スチレン 四塩化炭素 1.1.2.2-テトラクロルエタン、1,4-ジオキサン テトラクロルエチレン  1.2-ジクロルエタン、トリクロルエチレン ジクロルメタン メチルイソブチルケトン、などなど、特別有機溶剤になったモノを書いておけば良いかなと思います。


5つの措置は、おおむね有機溶剤と同じなので






ばく露測定とリスク評価

(リスクアセスメントの実施)




代替化や使用量の削減


密閉化・局所排気設置等の工学的措置


作業環境測定


作業記録


健康診断と結果の保管30年


従事者への教育


有害性の掲示


緊急事態(多量漏洩やばく露)への準備



保護具を備え付けるときは

その使用方法の教育と点検






こんなところかと。

リスクアセスメントの対策の順番とか、3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)を思い浮かべれば、いろいろと思い浮かべられると思います。


ラスト一週間ですが、ポイントとなりそうな課題を少しずつ紹介してみたいと思います。




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