「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書


 

■業務の過重性の評価について「長期間にわたる疲労の蓄積」と「発症に近接した時期の急性の負荷」が発症 に影響を及ぼすとする現行基準の考え方は妥当


 

■「長期間にわたる疲労の蓄積」(「長期間の過重業務」)について、現行基準に加えて


 ・労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められ、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと評価できることを明示


 ・労働時間以外の負荷要因として、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」及び「身体的負荷を伴う業務」を新たに規定し、他の負荷要因も整理


■「発症に近接した時期の急性の負荷」(「異常な出来事」と「短期間の過重業務」)について


 ・業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化


■認定基準の対象疾病に、「重篤な心不全」を追加


 

長期間の過重労働に関しては、現行基準の労働時間①②③


①発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症との関連性は強い(※)


②月45時間を超えて長くなるほど、関連性は強まる


③発症前1~6か月間平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱い


に加えて、


④「左記(※)の水準には至らないがこれに近い時間外労働」+「一定の労働時間以外の負荷」のある場合を、業務と発症との関連が強いと評価することを明示


 

されています。下記のような「労働時間以外の負荷要因」がある場合には、①を越えなくても近い水準であれば、労災の原因として関連性を評価しなければならないということになりますね。


 

また、この「労働時間以外の負荷要因」については、


現行基準の


①拘束時間が長い勤務


②出張の多い業務


に加えて


③勤務間インターバルが短い勤務


④身体的負荷を伴う業務 


などが追加されました。


 

さらに、


「短期間の過重業務・異常な出来事」に、


業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化


→「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合」等を例示


 

ここで「異常な出来事」とは、以下のような例が示されています。


① 極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態


  *業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与し、著しい精神的負荷を受けた場合


② 急激で著しい身体的負荷を強いられる事態


  *事故の発生に伴って、救助活動や事故処理に携わり、著しい身体的負荷を受けた場合


③ 急激で著しい作業環境の変化


  *野外作業中、極めて暑熱な作業環境下で水分補給が著しく阻害される状態や特に温度差のある場所への頻回な出入りなど


 


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