労働衛生工学の記述式試験に頻出している化学物質リスクアセスメントについて、ポイントを整理します。

 

リスクアセスメントの対象・実施時期・実施体制
 
実施義務の対象物質は、
事業者の業種、規模にかかわらず
表示・通知義務対象物質 (674物質:2021年1月1日現在)です。
製造するだけではなく、取り扱うすべての事業者が対象です。
 
尚、今後の改正で、「アクリル酸二―(ジメチルアミノ)エチル他235物質」が追加される見込みです。
  
実施する時期・タイミングについては、法的な義務のあるタイミングと、法的には努力義務になっているタイミングがあります。
 
【法律上の実施義務】
1. 対象物を原材料などとして新規に採用 したり、変更したりするとき
2. 対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順新規に採用したり変更したりするとき
3. 前の2つに掲げるもののほか、対象物による危険性または有害性などについて変化が生じたり、生じるおそれがあったりするとき(新たな危険有害性の情報が、 SDS などにより提供された場合など)

 

【指針による努力義務】
1. 労働災害発生時(過去のリスクアセスメントに問題があるとき)
2. 過去のリスクアセスメント実施以降、機械設備などの経年劣化労働者の知識経験などリスクの状況に変化があったとき
3. 過去にリスクアセスメントを実施したことがないとき (施行日前から取り扱っている物質を、施行日前と同様の作業方法で取り扱う場合で、過去にリスクアセスメントを実施したことがない、または実施結果が確認できない場合)

 

つまり、改正労働安全衛生法の施行日(平成28 年 6 月 1 日)以降の表示・通知対象物質の新規採用・変更はリスクアセスメントの実施が義務となります。

これまで使用してきている化学物質については努力義務なのですが、①作業者が交代したり、②現場での作業の改善・変更が計画されたり、③使用量が大きく変動したりする場合も想定されるので、計画的に実施する必要がありますね。

 

実施体制に関しても、詳細に定められており、過去にも出題されています。






担当者
説明
実施内容


総括安全衛生管理者など
事業の実施を統括管理する人
(事業場のトップ)

リスクアセスメントなどの実施を統括管理
(計画・評価・対策・周知など、全般)



安全管理者
または
衛生管理者
作業主任者、
職長、班長など

労働者を指導監督する地位にある人
リスクアセスメントなどの実施を管理


化学物質管理者
化学物質などの適切な管理について必要な能力がある人の中から指名
リスクアセスメントなどの技術的業務を実施


専門的知識のある人
必要に応じ、化学物質の危険性と有害性や、化学物質のための機械設備などについての専門的知識のある人
対象となる化学物質、機械設備のリスクアセスメントなどへの参画


外部の専門家
労働衛生コンサルタント、
労働安全コンサルタント、
作業環境測定士、
インダストリアル・ハイジニストなど

より詳細なリスクアセスメント手法の導入など、技術的な助言を得るために活用が望ましい




上記に加え、実際に作業に従事する人も、リスクアセスメントに参画することが望ましいとされています。

 

作業者が参画することで、

①業務の作業内容の実態を反映、 ②リスクアセスメントの内容の共有化、 ③安全意識の向上、 につながります。

  

化学物質管理者に関しては、今後、一定規模や業種での専任が、義務づけられる方向で検討が進んでいます。


 


 


 



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