今日はリスクアセスメント手順と各種評価手法について、復習してみたいと思います。
 
先ずは【リスクアセスメントの進め方】
何度も過去問に登場する項目ですね。 ステップ1~3を狭い意味で、リスク評価と言ったりします。





ステップ
実施内容



ステップ1


化学物質などによる危険性または有害性の特定


【義務】
(法第57条の3第1項)



ステップ2


特定された危険性または有害性による
リスクの見積り



【義務】
(安衛則第34条の2の7第2項)



ステップ3


リスクの見積りに基づく
リスク低減措置の内容の検討



【義務】
(法第57条の3第1項)



ステップ4


リスク低減措置の実施


【努力義務】
(法第57条の3第2項)



ステップ5


リスクアセスメント結果の労働者への周知


【義務】
(安衛則第34条の2の8)



ステップ4が努力義務というのは意外ですが、法的に義務のある管理策は実施されている前提ですね。

  

リスクの見積もりに関しては、一時期、手法に関する問題、特に有害物質に関する測定の不要な手法「コントロールバンディング」などが良く出題されてましたが、昨今の行政や各安全機関の発表の主流は、個人ばく露や簡易測定などの測定結果に基づくリスク評価手法のように思います。

 

【リスクを見積る方法】

 

【A】<ばく露量を測定せず、作業内容と有害性の程度から見積もる方法>

対象物が労働者に危険を及ぼし、または健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)

と、危険または健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法

 

【B】<ばく露量を測定・あるいは、推定してリスクを見積もる方法>

労働者が対象物にさらされる程度(ばく露濃度など)とこの対象物の有害性の程度を考慮する
方法


【C】その他、【A】、【B】に準じた方法

危険または健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関係法令の各条項に規定
されている場合に、これらの規定の実施状況を確認する方法などがあります。


爆発や火災などの危険性のリスクアセスメントは、ばく露量とは関係が無いので、【A】か【C】に限られます。







【A】

<ばく露量を測定せず、作業内容と有害性の程度から見積もる方法>
対象物が労働者に危険を及ぼし、または健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)と、危険または健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法




 


マトリクス法
発生可能性と重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめ発生可能性と重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法


数値化法
発生可能性と重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算または乗算などしてリスクを見積もる方法


枝分かれ図を用いた方法
発生可能性と重篤度を段階的に分岐していくことによりリスクを見積もる方法


コントロール・バンディング
化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)1 などを用いてリスクを見積もる方法


災害のシナリオから見積もる方法
化学プラントなどの化学反応のプロセスなどによる災害のシナリオを仮定して、その事象の発生可能性と重篤度を考慮する方法(スクリーニング支援ツール 2 など)


 
 


 
 


【B】<ばく露量を測定・あるいは、推定してリスクを見積もる方法>
労働者が対象物にさらされる程度(ばく露濃度など)とこの対象物の有害性の程度を考慮する方法



 


実測値による方法
対象の業務について、作業環境測定などによって測定した作業場所における化学物質などの気中濃度 3 などを、その化学物質などの ばく露限界と比較する方法


使用量などから推定する方法
数理モデルを用いて、対象の業務の作業を行う労働者の周辺の化学物質などの気中濃度を推定し、その化学物質のばく露限界と比較する方法


あらかじめ尺度化した表を使用する方法
対象の化学物質などへの労働者のばく露の程度とこの化学物質などによる有害性を相対的に尺度化し、これらを縦軸と横軸とし、あらかじめばく露の程度と有害性の程度に応じて リスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法




 





【C】その他、【A】、【B】に準じた方法


 


① 特別則(労働安全衛生法に基づく化学物質等に関する個別の規則)の対象物質(特定化学物質、有機溶剤など)については、特別則に定める具体的な措置の状況を確認する方法


② 安衛令別表1に定める危険物および同等の GHS 分類による危険性のある物質について、安衛則第四章などの規定を確認する方法



 


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