今日は、個人サンプラーを用いたばく露測定についてまとめてみたいと思います。
「個人ばく露測定を用いたリスク評価」と「個人サンプラー法による作業環境測定」の二つがあり、混乱しないように理解しておく必要があります。
「個人ばく露測定を用いたリスク評価」は、「作業者個人のリスク評価」であり、
「個人サンプラーによる作業環境測定」は、「作業場所の作業環境の評価」という区別になるかと思います。
比較表を作ってみました。
個人サンプラーを用いた作業環境測定 | 「化学物質の個人ばく露測定のガイドライン」 | |||||
個人サンプラーを活用した作業環境管理のための専門家検討会 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02129.html | 日本産業衛生学会 産業衛生技術部会 http://jsoh-ohe.umin.jp/old/kojinbakuro/kojinbakuro.html | |||||
測定の ガイドライン 本文 | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09446.html | http://joh.sanei.or.jp/pdf/J57/J57_2_09.pdf | ||||
改正告示 | https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000594924.pdf | |||||
目的 | 作業する環境中の気中濃度の把握 | 個⼈ばく露濃度の把握 | ||||
対象 | 管理濃度が低い特定化学物質や鉛の濃度の測定と、塗装作業等発散源が一定しない作業が対象。通常の作業環境測定のA測定・B測定では、適切な作業環境の評価とならないと想定されるケース。 | 全ての化合物に適用可能。 実際の作業を行っている作業者がばく露する量を実測し、作業者の化学物質によるリスクを直接正しく評価する。 | ||||
サンプリング 機器 | 個人サンプラー | 個人サンプラー | ||||
サンプリング 位置 | 呼吸域 | 呼吸域 | ||||
一回の測定で 求める値 | 1日の作業時間の全時間の平均値 15分程度の短時間測定も併用可能(D測定) | 作業者の一日8時間の平均値、または、 作業時間中平均値の8時間換算値 | ||||
サンプリング 回数 | 5回以上(C測定) | 5回以上推奨だが、1回でもリスク評価可能 | ||||
評価値 | 測定値から求めた幾何平均値と標準偏差を用い、 第一評価値(作業場所の高濃度側から五%に相当する濃度の推定値)と 第二評価値(作業場所の算術平均濃度の推定値) | X95=対数正規分布の上がわ95%値=第一評価値 (サンプリング回数が4回以下の場合は、AM×3を使用) AM=測定値の算術平均値 | ||||
評価の基準値 | 管理濃度 | ばく露限界値(8時間) =(許容濃度、あるいは、TLV-TWA) | ||||
管理区分 | 第一管理区分、第二管理区分、第三管理区分 | 管理区分は、1A、1B、1C、2A、2B、3の6区分 | ||||
個人サンプラーを使うところは同じですが、
評価方法のうち、測定データの計算方法や、管理区分が異なっていることもポイントですね。
見にくいので画像でも載せておきます。
このうち、個人ばく露測定の6区分の管理区分については、以下の基準です。
管理 区分 | 定義 | 判定(対策) | ||||||
1A | X95<OEL かつ | X95<OEL×10% | 極めて良好 | |||||
1B | AM<OEL×10% | 十分に良好 | ||||||
1C | OEL×10%≦AM | 良好 | ||||||
2A | AM≦OEL≦X95 かつ | AM≦OEL×50% | 現対策の有効性を精査、 更なるばく露低減に努める | |||||
2B | OEL×50%≦AM | リスク低減措置を行う | ||||||
3 | OEL<AM | リスク低減措置を速やかに行う | ||||||
それぞれの管理区分の意味を考えてみました。
各管理区分の意味(本ブログの主作成) | ||||||
1Aの意味 | ほとんど(95%の確率で)、 作業者のばく露量が、許容濃度の10%以下 | |||||
1Bの意味 | ほとんど(95%)人のばく露量が許容濃度以下で、 そのうち、半分以上の人のばく露量は許容濃度の10%以下 | |||||
1Cの意味 | ほとんど(95%)の人のばく露量が許容濃度以下だが、 半分以上の人のばく露量は許容濃度の10%を越えている | |||||
2Aの意味 | ばく露量が許容濃度を越えている人は半分以下で、 さらに、許容濃度の50%を越えていない人が半分以上。 | |||||
2Bの意味 | ばく露量が許容濃度を越えている人は50%以下だが、 半分以上の人が許容濃度の50%を越えている | |||||
3の意味 | 半分以上の人のばく露量は、許容濃度を越えている | |||||
なかなか複雑で難しいのですが、新しい有害物質の規制の方向は、個人ばく露測定によるリスク判定が主流になってくると思いますので、しっかり覚えておきたいと思います。
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