労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>> 





昨日に引き続き、局所排気装置計算書の問題で、よく出ている技術的な話題について。
 

合流部での静圧バランスを取る」ということが、良く出題されています。

 

沼野先生の本にも、さらっと触れられていますが、実際の局所排気装置は、一部屋に有害物質の複数の発生源があるので、一台のファンとダクト系統で、一度に排気してしまいたいと思うことが良くあります。

そのため、単純な一本のダクト系統より、合流している方が多いのが実態です。

 

それぞれ、フードの開口面積や、必要は排風量、ダクトの長さ・経路の異なる主ダクトと枝ダクトが合流するので、合流部分で静圧が変わってくるのは、容易に想像が出来ると思います。

 

静圧バランスがずれていると、静圧の大きい(マイナスに)ほうは、抵抗が大きいので流量が下がります。静圧の小さい(マイナスに)ほうのダクトからは、沢山流れ込むことになります。

増えるほうは良いとして、減った場合は末端のフードで制御風速に足りなくなるので、局所排気装置としては、不完全ということになります。

そこで、静圧バランスをとる必要が出てくるわけです。

 

さて、静圧バランスをとる方法は、大きく二つあります。

(この問題は、隔年で出題されていますね。)

 

抵抗調節平衡法

  排風量やダクトの断面積を変えないでダンパーの圧力損失により静圧バランスをとる

流速調節平衡法

  排風量を変えないでダクトの断面積を変えることにより静圧バランスをとる

 

【抵抗調節平衡法】  

ダンパー法とも言うそうです。ダンパーを使う方法は、よく現場でやられますが、局所排気装置を作ったあとから、枝ダクトを追加した後で調整するときによく使います。設備変更が少ないので簡単そうですが、そもそも排風量やファンの能力が足りていないとできないので、上手くいかないことも多いです。

ファンの静圧を無駄にしていることにもなるので、省エネ的にも好ましくないですね。但し、風速(搬送速度)は変わらないので、粉じんの場合のように管内の風速を落としたくないときは、こちらも使えます。ダンパーに粉じんが堆積する心配は残りますが。

 

【流速調節平衡法】

ダクトの断面積を変える方法は、最初の設計段階で使われることが多いです。出来上がった局所排気装置に変更を加えるのは、大規模なダクト変更が必要となるので実施は難しいです。また、流速が下がってしまうなど、粉じんには使えない場合があります。有機溶剤の場合には、 設計の初期に行うことで、最適なファンを選ぶことが出来るなど、トータルのパフォーマンスはこちらの方法の方が良いと思います。




  

昔、枝ダクトに囲い式フードを付けた、ダクト配置図です。






最後まで読んで頂きありがとうございます。 下記のリンクをポチっとクリックして頂けると更新の励みになります。

にほんブログ村
資格・スキルアップランキング





沼野先生の本で、みっちり勉強しましょう。













ダクト設計入門



  • 作者: 内山武夫

  • 出版社/メーカー: 学芸出版社

  • 発売日: 2015/03/06

  • メディア: Kindle版