労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>> 

 


労働衛生工学 第47回(令和元年)

例年、問3問4は、局所排気装置設計に関わる計算問題で、どちらか一方はがっつりとダクトの各位置での風速や圧力損失を計算して、局所排気装置計算書を完成させる問題ですが、令和元年は、問4が局所排気装置計算書を埋める問題でした。

 
令和元年の局所排気装置計算書は、主ダクトと二つの枝ダクトの計算を行って、さらに、静圧バランスをとる方法についての考察を求めています。前々年の平成29年の問4とよく似た構成になっています。

令和元年のダクト系統図 

平成29年のダクト系統図


似てる(笑)



問4 図に示す局所排気装置の系統線図について、以下の設問に答えよ。

ただし、ダクトの断面は全て円形とし、空気密度は1.20 kg/m3、フード3 の必要排風量は40.0 m3/min とする。(1)、(2)及び(7)については計算過程を示せ。計算は有効数字4桁で行い、解答は4桁目を四捨五入して有効数字3桁で答えよ。(3)及び(4)の局所排気装置計算書は有効数字4桁で答えよ。

(1)フード1の側方吸引型外付け式フードについて必要排風量[m3/min]を求めよ。ただし、フード1の詳細を図2に示す。制御風速1.0 m/s が確保される捕捉点のフード開口面からの距離X[m]を0.30 m とする。なお、外付け式フード開口面から距離X[m]における等速度面の面積Ac[m2]は次式で計算するものとする。



(2)フード2 の囲い式フードについて必要排風量[m3/min]を求めよ。ただし、制御風速0.70 m/s、開口面の気流分布の補正係数k は1.1、開口部の断面積は1.0 m2 とする。



例年通り、まずは各フードの排風量を求めます。

(1)外付け式フード 与えられた式でAcを求め、制御風速を掛けます。m/sをm3/分に変えるので、60秒を掛けるのを忘れないように。

Ac=0.75*(5*0.3*0.3+0.3*0.6)=28.35 Q=Ac×1.0m/s=28.4

28.4m3/分

流速は、28.35/0.0452/60=10.45  ∴10.4m/s

速度圧は、1.2/2×10.35の二乗=65.52 ∴65.5Pa


(2)囲い式フード Q=制御風速×開口部面積×補正係数×60秒=0.7×1.0×1.1×60=46.20

46.2m3/分 →合流後は、74.6m3/分→表に74.6と記入します。


流速は、74.6/0.0962/60=12.92  ∴12.9m/s

速度圧は、1.2/2×12.92の二乗=100.1 ∴100Pa



また、フード3の排風量は、問題文冒頭の40m3/分を用います。

 →合流後は、115m3/分→表に記入します。

  

(3)フード1から始まる主ダクト系列の局所排気装置計算書①の空欄(解答用紙)に計算結果を記入せよ。 合流部の圧力損失は合流前の速度圧に圧力損失係数を乗じて求めるものとする。空気清浄装置の圧力損失は、排風量100 m3/min のとき150 Pa である。空気清浄装置の圧力損失は排風量の2乗に比例するとして計算せよ。 また、直線ダクトの圧力損失は、計算書に直管圧損が未記入の番地については、ダクトの摩擦係数を0.02 として計算せよ。

 

(4)フード2 から主ダクト系列との合流まで(図1の6 番地)の枝ダクト系列の局所排気装置計算書②の空欄(解答用紙)に計算結果を記入せよ。 また、直線ダクトの圧力損失は、計算書に直管圧損が未記入の番地については、ダクトの摩擦係数を0.02 として計算せよ。

 

ここまでの問題で計算した各フードの排風量を表に書き込んで、その後は表中のダクト径を用いて、流速と速度圧を計算します。

流速=排風量÷ダクト断面積

速度圧=1.2×流速の二乗÷2

此処までの結果を表に赤字で書き込みました。

また、直線ダクトの圧損は、摩擦係数÷ダクト直径の式を使って計算しますが、直管圧損(Pa/m)で答える為、その部分の速度圧をかけて同じく表に青字で書き込みました。

 

注意点としては、

①直管の圧損が表に記載してある数値を用いる区画と、問題文の摩擦係数を使って計算する区画があることで、この部分は、速度圧も使って直管圧損Pa/mに変換していること

②空気清浄機の圧力損失を排風量の二乗に比例するとして、計算すること

の二点です。


①は表中の直管圧損5.85Pa/mと管長4m、あるいは、2mを掛けて、部分圧力損失、それぞれ23.4Pa、11.7Paを記入します。また、摩擦係数から計算する区画は、例えば6-7の区画ですが、0.02÷ダクト直径0.35×速度圧100.1=5.72を表に記入します。

 

②の計算は、風量100m3の時150Paなので、フード3か所分の合計風量115m3の時は

150×115の二乗÷100の二乗で求めた、198.4Pa→198Paを表に入力します。





明日以降で(力仕事で)各区画の部分圧力損失・累計圧力損失・静圧の順に計算します。




平成30年の計算書は、ひねり満載でしたが、令和元年の問題は、少しシンプルになっているようでした。

 


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