労働衛生コンサルタントを受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>


衛生工学 R01 (問3の後半です)

問 3 有機溶剤業務を行う作業場に設置されているダクトの断面積(0.0452 m2)が一定で、排風量が12.0 m3/min である図1の局所排気装置について、以下の設問に計算過程を示して答えよ。

ただし、計算は有効数字3桁(4桁目は切り捨て)で行い、解答は有効数字3桁目を四捨五入して有効数字2桁で答えよ。なお、空気密度を 1.20 kg/m3、重力加速度を 9.80 /s2 とする。



問3)






3)図1の局所排気装置のA 点からB 点について、以下の問に答えよ。


① フードからA 点までの圧力損失が15.5 Pa であるとき、A 点の全圧をパスカル(Pa)単位で求めよ。


② B 点に図4のように水柱マノメータ(水の入ったU 字管マノメータ)を設置し、圧力測定を行った結果、水柱マノメータの左右の水面の高さの差の値が2.5 mm であった。A 点からB 点間の圧力損失をパスカル(Pa)単位で求めよ。





回答案






①フードの外側の全圧0の状態から、ダクト内に空気が流れ込んでいくので、

ダクト内部の静圧はであることが判断できます。


局排計算書では 風速から速度圧を求めて、静圧=-圧損-速度圧を求めていますが、

ダクト内の全圧は、静圧+速度圧ですので、ここでは、フードの圧損そのものが、全圧になります。


答えは、全圧=-15.5Pa(=フード圧損)です。






②ピトー管は全圧を求めるように設置されています。

 マノメーターの値の2.5mmH2OをPaに変換すると

 (2)の答えを使って

 2.5*9.8=-24.5Paです。


 A点の全圧が-15.5Pa、B点の全圧が-24.5Paなので、

 A点-B点間の圧力損失は、Paとなります。←訂正しました。






感想と解説






冒頭の図1で、ファンがC端にあることに注意しましょう。


速度圧は、この設問の最後で使いますが、ここでは、全圧を問われているので、計算する必要はありません。







問4)





4)位置圧が無視できない場合は、全圧を求めるときに位置圧を考慮する必要があるが、2点間の高低差が20.0 m であるとき、2点間の位置圧の差をパスカル(Pa)単位で求めよ。 





回答案







位置エネルギーは密度 ρ [kg/m3] と 重力加速度 g [m/s2]、基準位置からの高さ z [m] の積で表されます。

 よって、位置圧=1.2*9.8*20=235.2Pa








感想と解説






ちょっと、この答えは自信がないです。無視できるくらいに小さいのかと思っていたら、意外と大きいので。。。

高さ20mの縦ダクトって、一階から7-8階までの高さなので、確かに局所排気のフードとしては、あまり見かけないんですけどね。

 

(2021/10追記:大気圧が1013.25hPa=101325Paだと気がつくと、高山で気圧が下がるという知識と相まって、235Paの納得感が出てきました。

こちらをご参考にしてください。)










問5)





5)位置圧が無視できる場合は、全圧は静圧と速度圧の和となるが、位置圧が無視できない場合は、静圧と速度圧の和に位置圧を加えたものが全圧となる。図1 のB 点とC 点の高低差( h )が20.0 mあり、この間の圧力損失が19.4 Pa であるとき、C 点の速度圧と静圧をパスカル(Pa)単位で求めよ。
なお、B 点からC 点間は、ベンドの圧力損失とベンドの高さは無視し、長さh の直線ダクトとみなすものとする。 





回答案







『速度圧と静圧を求めよ』となっていますので、簡単な速度圧から求めましょう。


速度圧は、排風量(Q=12m3/分)とダクト断面積A(0.0452 m2)から流速(Fm/秒)を求めて計算します。

ここでは、排風量(分あたり)と流速(秒速)の換算に気を付けます。


 Q=Q×F → 12÷60=0.0452×F → F=4.425m/s


 速度圧Ps=空気の比重×(速度)の二乗×1/2

 =1.2*4.425*4.425*0.5=11.74Pa ←訂正しました。

  答え:11.7Pa  ←訂正しました。





静圧は、全圧から速度圧を引いて求めます。


全圧は、フード入口から、圧損を順番に引いていくことになるので、

入口=0

A地点=-15.5Pa(問題文から)

B地点=-15.5ー9.0(問3②)=ー24.5Pa ←訂正しました。

C地点=-24.5-19.4-235.2(問4)=ー279.1Pa ←訂正しました。


C地点の静圧=全圧ー速度圧=-279.1ー11.7=ー290.8Pa  ←訂正しました。


 答え:-291Pa           ←訂正しました。











感想と解説






排気量(分速)と流速(秒速)の切り替えが、ダクト設計表では頻繁に行われているのですが、普段の業務では、EXCELシートに計算式が入っていて自動計算されていると、忘れてしまいがちだと思いますので、受験準備では必ず電卓手計算で練習しておきましょう。 




まあ、同じ問題は出ないでしょうが、位置圧の計算が判らなくても、速度圧だけでも計算しておけば、ひょっとして部分点を取れるかもしれないので、試験の時には、諦めずに速度圧だけでも計算しておくことをお勧めします。






 


問4は、また後日。

 

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