今日は、記述式試験に頻出する、化学物質リスクアセスメントに関する用語について整理してみます。

 

【1】毎年のように問われている5項目

ハザード、ばく露量、リスク、NOAEL、不確実係数の5つは、良く問題になっています。




①ハザード
化学物質固有の有害性が引き起こす、災害の種類と程度(健康障害などの有害性や、爆発などの危険性)


②ばく露量
作業者の体内に摂取される、有害因子の量。有害因子の種類、取り扱い方法や設備、作業環境に依存する。人体に取り込まれる場合、経口(呼吸、および、飲食)、経皮の3つの経路が主。


③リスク
化学物質に対するばく露の程度と、起こりうる健康障害の酷さ等の有害性の程度の、両方から求める有害な事象の影響の大きさ


④NOAEL
無毒性量。様々な条件での動物実験において、いかなる有害影響も観察されなかった最大のばく露量(NoObservedAffectedExposureLevel )


⑤不確実係数
人への有害性を推定する際に、実験動物などに起こる障害から、体重あたりの摂取許容量を算出する場合に、生物種差による発生の可能性の差や、同じ種(人)同士でも、影響の出る可能性の差がある個体差を、考慮するための、倍率。



 

NOAELに関連して、毒性の指標一覧

<経産省のガイドブックを参考にしました>


 






有害性の程度を表す指標の例


有害性
の分類

指標
定義



急性
毒性


LC50
Median Lethal
Concentration

半数致死
濃度

1 回の暴露(通常 1 時間~4 時間)で、
試験動物の群の 50%が死亡する濃度



LD50
Median Lethal
Dose

半数致死

試験動物の群の 50%が死亡する投与量



慢性
毒性


LOAEL
Lowest Observed
Adverse Effect Level

最小
毒性量

動物試験等で
有害な影響が認められた
最低の投与量



NOAEL
No Observed
Adverse Effect Level

毒性
動物試験等で
有害な影響が認められない
最高の投与量



NOEL
No Observed
Effect Level

影響
動物試験等で
いかなる影響も認めら れない
最高の投与量




ヒトの
経口
暴露の
慢性
毒性


TDI
Tolerable
Daily Intake

耐容
一日摂取量

一生涯毎日摂取してもこの量までの
摂取は耐容されると判断される量
(一般には、NOAEL/不確実係数積で算出)



ADI
Acceptable
Daily Intake

許容
一日摂取量

TDIと同様だが、食品添加物のように
意図して使用される場合に
用いられることが多い






TDIとADIの違いは無いんですけどね。



NOEL/NOAELなどを示す、用量-反応曲線

判りやすい図がありました。

 


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