労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問を一問ずつ紹介していきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答・ご不明な点についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>


 

H24衛生工学 問1


 

少し古い問題ですが、化学物質管理のあり方の基本的な知識を問う問題ですので、似たような問題が再出してもおかしくは無いと思います。


 


問1


作業環境に存在する化学物質による健康被害防止の為の有害性の調査(化学物質リスクアセスメント)について、以下の設問に答えよ。


 


(1)化学物質のリスクアセスメントの目的を簡潔に説明せよ


 


(2)次のリスクアセスメントに関する用語を簡潔に説明せよ


①リスク、②ハザード、③曝露量、④不確実性係数、⑤NOAEL


 


(3)化学物質の健康障害リスクの判定に用いられる指標の一つに、厚生労働省の管理濃度があるが、それ以外に公表されている国内外の指標を三つあげよ


 


(4) ある作業場では、慢性中毒を示す物質Aを取り扱っている。表1に示す物質Aの作業環境測定結果および、表2に示す物質Aの毒性値、作業者の呼吸量、作業時間等の情報を用い、


①ばく露推定値


②年平均の1日の作業時間


③その時間内の呼吸量


④作業者のばく露量


⑤作業者の許容ばく露量


を計算し、物質Aの慢性毒性についてリスクの判定結果を示せ。


 


(5)同じ化学物質の使用を続ける場合のリスク低減のための措置について、優先順位の高い順に三つ上げよ


 


計算式を順次示し、数値には単位を記すること。またばく露の推定に使用した作業環境測定の数値には、その選択理由を簡潔に記せ。なお、物質Aは作業場以外には存在せず、毒性は物質Aの吸入ばく露によってのみ生じ、他の要因の関与はないものとする。また、肺からの吸収率はAとする。


 


小職の回答例


(1)化学物質のリスクアセスメントの目的を簡潔に説明せよ


化学物質の有害性の情報を適切に入手し、作業の実態に合わせた化学物質の曝露量を推定した結果を用いて、健康障害の発生の可能性を推定し、健康障害発生の為の適切な暴露防止方法を選択し、健康障害発生を未然に防止すること。


 


(2)次のリスクアセスメントに関する用語を簡潔に説明せよ


①リスク、


化学物質に対するばく露の程度と、起こりうる健康障害の酷さ等の有害性の程度の、両方から求める有害な事象が起こりうる可能性。


②ハザード、


化学物質の有害性が引き起こす、災害の種類と程度(健康障害などの有害性や、爆発などの危険性)


③曝露量


作業者の体内に摂取する、有害因子の量。


有害因子の種類により、暴露の経路も異なる。


④不確実性係数、


人への有害性を推定する際に、実験動物などに起こる障害から、体重あたりの摂取許容量を算出する場合に、生物種による発生の可能性の差や、同じ種(人)同士でも、影響の出る可能性の差があることを、考慮するための、倍率。


⑤NOAEL


無毒性量、複数の用量群を用いた反復投与毒性試験、生殖・発生毒性試験などの動物実験において、毒性学的なすべての有害な影響が認められなかった最高の暴露量のこと


 


(3)化学物質の健康障害リスクの判定に用いられる指標の一つに、厚生労働省の管理濃度があるが、それ以外に公表されている国内外の指標を三つあげよ


①日本産業衛生学会の許容濃度


②ACGIHのTLVs(Threshhold Limit Value)


③OHSAのPEL(許容ばく露限界 Permissible Exposure Limit)


④英国HSEのWEL(WorkplaceExposureLevel)




小問(4)は計算もあるので、明日以降で。



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