今日から H27年実施の問4に取りかかります。

例年ですと、ダクト内の静圧や全圧に関する問題でしたが、この年(H27)は、除害設備の設計に関する設問で、出題された例が少ない分野です。但し、必要なパラメーターは提示してくれてあるので、落ち着いて考えることが出来れば正解にたどり着くのでは無いかと思います。

問4:有機溶剤を使用する作業場に設置された囲い式フード、吸引ダクト、ファン排気ダクト、および、排気口で構成される局所排気装置(ダクトはすべて円形で、直径は0.20mとする)に、空気清浄機を追加設置する場合について、以下の設問に答えよ。

(1)空気清浄機のない既設の局所排気装置に関する次の問いに答えよ。
①囲い式フードの排風量を計算せよ。平均風速は。0.48m/s、開口部面積は1.0m2で、気流分布のばらつきを表す値は1.2とする。

②この囲い式フードを用いて有機溶剤を取り扱う作業時のみフード内の有機溶媒気中濃度が100ppmになると仮定したとき、ダクト内に単位時間当たりに排出される有機溶媒の量(単位時間当たりに移動する、有機溶剤の量)を求めよ。
なお、この有機溶剤のモル質量は、100g/mol、1モル当たりの体積は、24.47Lとする。


③図1に示したように、ファンの入り口とファンの出口で水柱マノメーターによる圧力測定を行った結果、水中マノメーター(A)および(B)の水面の高さの差がそれぞれ56mm、30mmであった。
ファン前後の静圧差(ファン出口の静圧-ファン入り口の静圧)を求めよ。


回答例


・円形ダクトの直径は0.2mなので、半径は0.1m

    ダクト断面積Aは、A=0.1*0.1*3.14=0.0314m2

・排風量Qは、平均風速0.48m/秒を用いて、

    Q=0.48×60=28.8   有効数字2桁なので 29m3

  気流分布のバラツキk=1.2は、計算には使用しません。

  時々、出される「引っかけ」ですね。

 

②有機溶剤の時間排出重量を計算するので、排風量(体積)と溶剤濃度(ppm)を掛ければ良いのですが、濃度100ppmの単位は、体積分率であると気付くのが第一のポイント。

第二のポイントは、排風量は分単位→時間あたりの量にするため60倍(60分=1時間)することです。


1gの溶剤の体積は、1g/分子量M×24.47リットル→【24.47×10-3/分子量M】m3なので、


 有機溶剤の量=排風量×濃度×60×(分子量÷ 24.47×10-3  )

       =29×100×10-6×60×100÷(24.47×10-3)

       =29×60×10÷24.47

       =711


  有効数字2桁なので。710g

 

③水中マノメーター(A)は、ファン前の静圧 -56×9.8=-548.8

 水中マノメーター(B)は、ファン後の全圧 30×9.8=294

 

 ダクト断面積は、円形ダクトの直径は0.2mなので、半径は0.1m

    ダクト断面積Aは、A=0.1*0.1*3.14=0.0314m2

 排風量とダクトの直径から、搬送速度は29/0.0314/60=15.4m/秒

    速度圧は、0.6×15.4×15.4=142Pa


  ファン後の静圧=ファン後の全圧ー速度圧=294-142=152


    ファン前後の静圧差は、152-(-549)=701 答えは、700Pa

 

小問(2)以降は明日。

 

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