今日は昨日の続き問4(3)(4)を考えてみます。
例年通り、問3と問4は、局所排気装置の設計に関する問題ですが、問4は、フード設計における流体力学の知識と活用事例について問う問題になっています。
問題文と図
問4

局所排気装置に関する以下の設問に答えよ。計算問題は計算過程を示し。計算は有効数字3桁で行い、解答用紙の解答欄(空欄)には有効数字3桁目を四捨五入して有効数字2桁で解答を記入せよ。なお、ダクトの断面は円形とし、空気密度は1.20Kg/m3とする。


小問(3)図4に示した空気清浄装置前後の水柱マノメーターによる圧力測定の結果、水柱マノメーターの水面の高さの差(絶対値)は、水柱マノメーターAが10mm、水柱マノメーターBが63mmであった。この結果から空気清浄装置の圧力損失を求めよ


 

但し、排風量は40m3/分、空気清浄装置前後の円形ダクトの直径は0.38mとする。

 

なお、1mm水柱は、9.8Paとし、解答欄には、計算過程を示し、計算には有効数字3桁で行い、解答は、有効数字3桁目を四捨五入して有効数字2桁で答えること。




回答案:
速度圧を先に求めます。排風量40m3/分、
ダクト直径0.38mから断面積は0.113m2なので
流速=40/60/0.113=5.90m/s 
速度圧は、5.90×5.90×1.2÷2=20.9Pa
 
水柱マノメーターAは、全圧で、ファン前なので負圧
   ー10mmH2O=ー98Pa
※空気清浄装置の前の静圧は、-98.0Pa-20.9Pa=ー118.9Pa=-119Pa
水柱マノメーターBは、静圧で、ファン前なので負圧
   -63mmH2O=-617.4Pa

※ 空気清浄装置の後の静圧は、-617Pa


空気清浄装置前後の静圧差=空気清浄装置の圧力損失であり
   ー617Pa-(119Pa)=498Pa

         答え 500Pa



 

小問(4)ろ過式除じん装置には、ろ過材としてバグフィルタと呼ばれるフォルト状のろ布を使用したものと、充填層フィルタ(または、エアフィルター)と呼ばれるHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタを使用したものがある。どちらも粒子径の小さい粒子の補修が可能であるが、捕集原理が異なる。この捕集原理の違いについて、簡潔に説明せよ。

 また、粉じんが高濃度の場所では、どちらのろ過材を使ったろ過式除じん装置を選択すべきかを答えよ



回答案:

どちらのフィルタも、使用開始直後は、フィルター繊維による、さえぎり効果により補修される。HEPAフィルターは、粉じんが堆積すると空隙が小さいため目詰まりするが、バグフィルターの場合は、繊維の目は荒いがフィルターに堆積した粉じんが、更に後から来た粉じんをさえぎる効果があり、元のフィルターより細かい粒子の捕捉も可能になる。【エアフィルタ(ろ材ろ過)に対し、 バグフィルタ(ろ滓ろ過)「ろさいろか」と読みます。】

従って、粉じん濃度が高濃度の場所では、バグフィルターを使った除じん装置を選択するのが良い。


<以下、参考まで>
HEPAフィルタは、直径1~10 µm以下のガラス繊維でできている。繊維の充填率は10%程度であり、空隙は数10 µmの大きさである。蛇腹式に折りたたんだ状態になっているため、空気中の微細粒子が複数回繊維にさえぎられて捕集される。数ミクロンの粒子の捕捉率が99%程度あるのが特徴。ただし、粉じん濃度が高いと、HEPAフィルターでは、目詰まりを起こして、圧力損失がすぐに大きくなる。


バグフィルターは、10um~数100umの通常の合成繊維でできたフェルト布で作られている。空隙は、HEPAフィルターより大きいが、ろ滓ろ過の効果で、サブミクロンの粉じんまで除じんできると言われています。ただし、捕捉率は90%程度。

   

続きは、明日。

 


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