労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問を一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答・ご不明な点についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>

2020/09/29 修正しました。


労働衛生工学 第45回


問 1 労働環境における有害要因とそのばく露に関する以下の設問に答えよ。

今回は、問1後半の小問(4)と(5)





4)以下に示す工程について、有害物質発生源を二次的な発生源も含めできるだけ挙げるとともに、従事する労働者がどのように有害物質にばく露される可能性があるか、考えられる状況を説明せよ。


「前工程で製造された金属製部品の表面に付着した油分を拭き取るため、容器から有機溶剤を含む溶剤をウェスに染み込ませて、屋内の作業室の台上に整列された部品を一台ずつ払拭する。作業を行う労働者は、作業衣、使い捨て式マスク及び手袋を着用している。」



さすがにコンサルの記述式問題だなと言う設問ですね。

とは言うものの、上の小問(3)でばく露経路を3種類書いているので、それに従ってかければ、半分以上正解ですね。二次的な発生源というのが使い終わったウエスとか空き瓶の残液とかなのですが、現場ならでは課題なので知らないと困惑するかもですね。


組み立てや加工の事業所で安全衛生担当とかしていると、めっちゃアルアル( ̄∇ ̄)



小生の回答案は






①不適切な保管状態にある中の容器からの揮発、

②使用中のウエスからの揮発、

③部品を払拭後の揮発・乾燥、などの工程での、経気道暴露





④払拭中に手袋を透過する経皮ばく露





⑤使用済みウエスからの揮発による経気道暴露





⑥使い捨てマスク・手袋・空き瓶を廃棄した後の廃棄物からの揮発による経気道暴露と廃棄物処分時の皮膚接触による経皮ばく露







  

最後の問題も、ほぼ同じ作業現場でのリスクを洗い出す問題なのですが、有害物質だけではない!とところに気がつけば簡単。溶接現場を知っていれば、光とか、熱とかが出て来ると思います。良くあるのは電気アーク溶接なので炭酸ガスアーク溶接って何かしらなくても、想像で書いちゃってOKだと思います。






5)タンク、船舶、管などの狭あいな場所の内部において炭酸ガスアーク溶接作業に従事する労働者について、労働衛生上の有害要因を六つ挙げ、それぞれの発生原因や有害性を簡潔に述べよ。




有害性を簡潔に述べよってというところがくせ者で、端的にどんな労災になるのかを書けば良いんじゃ無いって思いますね。六つ目が厳しい・・・タンク・船倉内という説明があるので、酸欠を上げるか?、狭い場所での無理な姿勢を書くか?


まあ、満点の回答である必要はありませんが、原因と有害性の関係が間違っていなければ、リスク・発生の可能性

は、ゼロではないので加点があるかもしれませんね。

 


<9/29加筆>溶接の火花による火災も大きなリスクなので、そちらも書いてみました。

熱による熱射病や火傷とは、ちょっと対策も違うので。


 


小生の回答案










金属ヒューム:加熱帰化した金属蒸気が空気中で冷やされ生成する微小な浮遊粒子。金属熱などの症状の他、金属成分による中毒(急性・慢性)、肺に到達して蓄積してじん肺の発症などのリスクがある。




溶接時のCO発生;溶接時に不活性ガスのCO2が一部還元されてCOとなる。赤血球のヘモグロビンとの親和性が酸素の200倍以上あるため、窒息に似た症状を示す。






アークの紫外線:電光性眼炎、角膜炎、皮膚炎

遮光面体のつけ忘れや劣化などによることが多い。






溶接の暑熱・赤外線、:やけど、熱射病

狭隘な場所なので、熱がこもりやすい





アーク溶接用の高圧電源による感電。アースの不備や電源・配線の劣化など整備不良が原因のことも多い




タンク内、船倉、管など、換気の良くない場所での作業のため、炭酸ガスそのものによる窒息:酸欠






狭隘な作業場所のため、不自然な作業姿勢??:腰痛??


溶接火花による火災。

作業場所周辺の可燃物の除去、ぼろ等の清掃、










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