労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問を一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答・ご不明な点についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
労働衛生工学 第44回(平成28年)
問 1 化学物質等の有害性のリスクアセスメントに関する以下の設問に答えよ。
今日は、問1の最後の問題(3)をまとめてみます。
小問の(3)は実際の化学物質リスクアセスメントを想定して、混合物のSDSから有害性の情報を読みとっていくという問題です。各成分の個別の有害性情報を、混合物として用いるときに、どのような区分に割り付けるのかというプロセスが問題になっています。
いわば、混合物のリスクをどう判断しますか?という問題ですね。
3)ある事業所において、水性塗料Pを用いて吹き付け塗装作業を実施した。 GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)分類を基にした、有害性クラスと有害性区分を表2に示す。希釈に使用するシンナーの有害性は考慮しないものとする。 これに関し、次の問いに答えよ。 | ||
①表1の有害性のレベルSの有害性クラスと有害性区分の欄に該当するものをそれぞれ一つ上げよ | ||
②エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(EEGBE)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の有害性のレベルは、表1のどれに分類されるか? | ||
③水性塗料Pの有害性のレベルは表1のどれに分類されるか | ||
④TLV-TWAとは | ||
⑤STELとは | ||
⑥この作業において呼吸用保護具を使用する場合、適切なものは何か、その理由も述べよ。 | ||
①は皮膚刺激や目刺激が、表2にあるので(笑)
②は、一番厳しい評価を拾い出せばOKですが、皮膚刺激・目刺激は追加で(S)を付け加えます。
③も、一番危ない評価に揃えます。
④⑤は用語の定義なので、覚えるしか(・・;)
⑥は、防毒マスクまでは、全員が書けると思いますので、粉じんや目刺激の対策をどう追加するのかがポイントですね。
小生の回答案
①目に対する重篤な損傷・眼刺激性、区分2 (皮膚腐食性・刺激性、経皮毒性などでも良いと思います) | ||
② EEGBE 有害性レベルD(生殖毒性区分2)+S PGME 有害性レベルA+S 二酸化チタン 有害性レベルD(発がん性区分2)+S | ||
③有害性レベルD+S | ||
④スレッシュホールドレベルータイムウエイトアベレージ (Threshold_Limit_Value-Time_Weight_Average) 米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が定めた、時間加重平均のばく露許容濃度。一日当たり8時間・週40時間の繰り返し作業を行う場合にも、作業者に有害な影響を与えない。 | ||
⑤ショートTermばく露レベル (Short_Term_Exposure_Limit) 短時間のばく露でも許容できない下限の濃度 | ||
⑥長時間の作業の場合には、吸収缶の吸気側に、ミスト粉じんフィルターを追加した、防毒マスクが好ましい。目刺激・皮膚刺激もあるので、全面型が良い。 | ||
実際に化学物質リスクアセスメントをやっている人には、サービス問題?ですが、作業環境測定士登録の資格で受験されている方や、産業医さんの中には、SDSを見ることはあっても、ここまで細かく読み解くことは無いかもしれませんので、困る方もいたかもしれませんね。
とはいえ、用語の定義の問題はともかく、落ち着いて考えればかなりの部分は書けるかと思います。
問2は騒音の評価なので、また後日。
明日からは、問3問4の局所排気装置のダクト設計に関する問題のまとめを先にやってみたいと思います。
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