労働衛生コンサルタント筆記試験を受験される方を応援するために、過去問を一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答・ご不明な点についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
労働衛生工学 第44回(平成28年)
前回に引き続いて、問4の局所排気装置の計算書を作成していきます。
三日がかりでの回答となります(笑)
問4粉じん作業の行われている作業場に設置する局所排気装置(図1)について、以下の設問に答えよ。但し、囲い式フードから排気口までを主ダクト系列、スロット型外付けフードから主ダクト系列との合流点までを枝ダクト系列とする。
昨日までに、各区画の速度圧と圧力損失を求めましたので、ここから静圧を計算していきます。
ファンよりフード側の静圧は、
①囲い式フードの外側をゼロ「0」として、フード・ダクト内は、負圧にする必要があります。
(フード側からダクト内に風が流れ込むことを考えると、理解できると思います。)
従って、各区画の静圧=-速度圧ー累計圧力損失で、求めます。
ファンより排気口側の静圧は、
②排気口のの外側をゼロ「0」として、フード・ダクト内は、陽圧にする必要があります。
また、外側に向かっての速度圧なので、各区画の静圧は=累計圧力損失ー速度圧で求めます。
各区画(各行ごと)の圧力損失を、表の圧力損失係数をつかって計算して埋めていきます
区画 | 名称 | 速度圧 | 累計 圧損 | 静圧 | ||||||
0-1 | フード | 151 | 12.0 | -163 | ||||||
1-2 | ダクト | 同上=151 | 57.3 | -208 | ||||||
2-3 | ベンド | 同上=151 | 140 | -291 | ||||||
3-4 | ダクト | 同上=151 | 366 | -517 | ||||||
4-5 | 合流ダクト | 242 | 396 | -638 | ||||||
5-6 | 拡大ダクト | 173 | 436 | -609 | ||||||
6-7 | 空気清浄機 | 同上=173 | 593 | -766 | ||||||
7-8 | ベンド | 同上=173 | 688 | -861 | ||||||
8-9 | ダクト | 同上=173 | 701 | -874 | ||||||
9-10 | ファン | -- | -- | |||||||
10-11 | ダクト | 同上=173 | 764 | 591 | ||||||
11-12 | ベンド | 同上=173 | 626 | 453 | ||||||
12-13 | ルーバー | 354 | 531 | 177 | ||||||
以上を記入すると下表のようになります。
問4の小問(2)もこの表で解いていきます。
主ダクト系列の局所排気装置計算書の計算結果に基づいて、次の問いに答えよ。 計算過程を示し、計算は有効数字3桁で行い、回答は、有効数字3桁目を四捨五入し、有効数字2桁で答えよ。 | ||
①局所排気装置計算書より求めた、ファン前後の静圧の値から、ファン前後の静圧差(ファン後の静圧-ファン前の静圧)を求めよ。 | ||
②この局所排気装置の二つのフードを機密性の高い作業場内に設置して稼働させた結果、作業場内の静圧がー90Paとなったときの、ファン前後の静圧差を求めよ。なお、主ダクト系列の合流部での静圧バランスがとられているものとする。 | ||
小職の回答例
①ファン後の静圧と、ファン前の静圧との差であるので 591-(-894)=1495 有効数字3桁 → 1500Pa | ||
②室内の静圧を-90Paとするので、 ファン前の静圧は、-894-90=-964Pa ファン前後の静圧差は、591-(-964)=1555Pa 有効数字3桁 → 1600Pa | ||
局所排気装置の計算書の意味が分かっていれば、簡単だと思います。
ひたすら沼野先生の局所排気装置の本で勉強しましょう。