労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
労働衛生工学 第46回(平成30年)
問3、問4は、例年局所排気装置設計に関わる計算問題です。問3問4のどちらか一方はがっつりとダクトの各位置での風速や圧力損失を計算して、局所排気装置計算書を完成させる問題です。
平成30年は、問3がダクト内の流れや圧力をじっくり考えさせる問題で、問4が局所排気装置計算書を埋める問題でした。
昨日に続いて、平成30年の問3の後半です。
ファンの特性曲線は解答用紙のグラフに書き込むようになっていますが、解答用紙が入手困難なので、手持ちのグラフ用紙に書き込んでいますのでご容赦ください。
問3 図に示す局所排気装置について以下の設問に答えよ。ただし、ダクトの断面はすべて円形とし、空気密度は1.20 kg/m3 とする。計算は有効数字4桁で行い、解答は4桁目を四捨五入して有効数字3桁で答えよ。また、設問(1)~(4)については計算過程を示せ。
小問1)から4)の解答をまとめておきます。
1)必要排風量Q[m3/min]を求めよ。Q=58.2m3/min
2)3)A 点B点C点の速度圧と静圧と全圧
速度圧 | 静圧 | 全圧 | ||||||
A点 | 113Pa | -225Pa | -112Pa | |||||
B点 | 113Pa | -594Pa | -481Pa | |||||
C点 | 113Pa | 62Pa | 175Pa | |||||
4)排風機前後の静圧差Ps 656Pa
5)設問(1)で得られた必要排風量Q と設問(4)で得られた静圧差Ps を用いて、ダクト系の排風量が0.5 Q及び0.7 Q のときの排風機前後の静圧差を計算せよ。また、その関係を基にダクト系の静圧曲線を解答用紙の図に示し、縦軸及び横軸の( )に数値を記入せよ。
ダクト系列の排風量を0.5Qと0.7Qにした場合、流速がそれぞれ0.5倍、0.7倍になるため
速度圧は流速の二乗に比例するので、0.25倍、0.49倍
吸気系ダクトの累計圧損も、0.25倍、0.49倍
排気系ダクトの累計圧損も、0.25倍、0.49倍
になりますので、
ファン吸気側の静圧=ー速度圧ー累計圧損→それぞれ、0.25倍、0.49倍
ファン排気側の静圧=累計圧損ー速度圧 →それぞれ、0.25倍、0.49倍
結局、静圧差は、0.25倍、0.49倍になります。
・0.5Qのとき 0.25×656=321Pa ・0.7Qのとき 0.49×656=164Pa | ||
回答をグラフに記入します。
二次曲線なのですが、ちょっとわかりにくいですね。
次の質問も実務的な問題かもしれません。
6)一般的な遠心式ファンを用いた排風機の静圧曲線について、設問(1)で得られた必要排風量Q と設問(4)で得られた静圧差Ps の点を通過する場合と、ファンモーターをそれより低速回転で運転した場合の2本の曲線を、解答用紙の図に書き加えよ。 ただし、静圧曲線は、おおよその形を示せばよい。
一度でも勉強したことがある人なら、簡単なのかな?
赤線がPsを通過する特性曲線、
青線は、モーターの回転数を下げた場合です。
7)この局所排気装置で希望する排風量に調整する場合に、排風機を替えずに対応する方法を二つ示すとともに、その利点と欠点を示せ。 | ||
この問題も、小問6)がヒントになっていますね。
利点と欠点は、他にもあるかもしれませんので、ご参考まで。
方法1:モーターの回転数を変える。 ・利点:モーターへの電圧の変更などで容易に行える。また、微調整も難しくない。 ・欠点:風量の大幅な変更は、モーターの特性上出来ない場合がある。 | ||
方法2:ダクト系に調整ダンパーを付けて風量を絞る ・利点:風量を減らす方向には簡単な設備変更で可能 ・欠点:風量を増やすことは出来ない。省エネにならない。 | ||
問3は以上です。明日は、問4に取りかかります。
沼野先生の本で、みっちり勉強しましょう。