労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
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労働衛生工学過去問(H30-3-1) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
労働衛生工学 第46回(平成30年)
問3、問4は、例年局所排気装置設計に関わる計算問題です。問3問4のどちらか一方はがっつりとダクトの各位置での風速や圧力損失を計算して、局所排気装置計算書を完成させる問題です。
平成30年は、問3がダクト内の流れや圧力をじっくり考えさせる問題で、問4が局所排気装置計算書を埋める問題でした。
平成30年の問3は、計算書こそ有りませんが、シンプルな外付けダクト系統の排風量を求め、ダクト内の静圧・速度圧を計算させていますので、問4と問3どちらを選んでも、局排設計書の計算の基本を問う問題でした。また、ファンの特性曲線も出題されていますが、基本的な事項です。問い方は違いますが、前年H29年の問4と類似していますので、過去問の中身をキッチリ勉強した方にはラッキーだったと思います。
いずれにしても、落ち着いて問題を読めば、この年度の次の問4の計算問題よりも計算量は少なくて済むので、所要時間は短かったかもしれませんね。
問3 図に示す局所排気装置について以下の設問に答えよ。ただし、ダクトの断面はすべて円形とし、空気密度は1.20 kg/m3 とする。計算は有効数字4桁で行い、解答は4桁目を四捨五入して有効数字3桁で答えよ。また、設問(1)~(4)については計算過程を示せ。
1)図に示す外付け式フードについて必要排風量Q[m3/min]を求めよ。ただし、外付け式フードの開口断面は直径0.30 m の円、制御風速1.0 m/s が確保されるフード開口面からの距離X を0.30 m とする。
なお、外付け式フード開口面から距離X における等速度面の面積Ac[m2]は次式で計算するものとする。
なお、外付け式フード開口面から距離X における等速度面の面積Ac[m2]は次式で計算するものとする。
基本中の基本の問題ですね。
ほとんど、距離Xで等速度面の面積が決まってしまっています。
回答例
・A0=0.15×0.15×3.1416=0.0707
・Ac=10×0.3×0.3+A0=0.971
・Q=1.0×Ac×60=58.2m3/分
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2)外付け式フードの開口面から1.0 m 下流の点(A 点)での速度圧と静圧を計算せよ。ただし、外付け式フードの圧損係数は0.93、またダクトの摩擦係数を0.02 とする。
①上記のQm3/minを用いて①開口面の流速を求め、速度圧に変換します。
速度圧は、開口面でも地点A点でも同じ。
②A点までの圧力損失は、フードの圧力損失とダクトの圧力損失の和ですね。
ダクトの圧力損失係数は、0.02×ダクト長÷ダクト直径=0.02×1.0×0.3
・フードの圧力損失=速度圧×フードの圧力損失係数
・ダクトの圧力損失=速度圧×ダクトの圧力損失係数
回答例
①流速Va=Q/Ao/60=58.2÷0.0707÷60=13.7m/s
速度圧P1=1/2×Va×Va÷2=112.6
→113Pa
②圧力損失
・フードの圧力損失=速度圧×0.93=104.7
・ダクトの圧力損失=速度圧×0.02×1.0×0.3=7.51
A点の静圧=ー速度圧ー累計圧力損失=-113-112.2
=-225Pa
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3)排風機の上流の点(B 点)における全圧と速度圧及び下流の点(C 点)における速度圧と静圧を計算せよ。ただし、外付け式フードと排風機の間(A 点- B 点)に他からの合流はないものとし、B 点の静圧は-594 Pa、C 点の全圧は175 Pa とする。
全圧=静圧+速度圧なのと、ダクト径・流量が変わらなければ、速度圧は同じ、であることをつかったら、計算は簡単( ̄∇ ̄)
静圧と全圧とを混乱しないように、表に書いちゃうと間違えません。
速度圧 | 静圧 | 全圧 | |
A点 | 113Pa | -225Pa | -112Pa |
B点 | 113Pa | 問題文から-594Pa | →→113-591 |
C点 | 113Pa | 175-113 ←← | 問題文から 175Pa |
小生の回答案
A点の速度圧=B点の速度圧=C点の速度圧=113Pa
B点の全圧=静圧+速度圧
=-594Pa+113Pa=-481Pa
C点の静圧=C点の全圧-C点の速度圧
=175Pa-113Pa=62Pa
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4)排風機前後の静圧差Ps を求めよ。
B点とC点の静圧差は、3)の計算結果を用いて
62Paー(-594Pa)=656Pa |
問3の後半は、また明日。
沼野先生の本で、みっちり勉強しましょう。
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