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労働衛生工学過去問(H23-1-2) 頻出「粉じん」対策 [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
労働衛生コンサルタントの筆記試験を受験される方を応援するために、過去問を一問ずつ紹介しています。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答・ご不明な点についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
H23衛生工学 問1
かなり古い問題ですが「粉じん作業」と「呼吸用保護具の選択」については、良くでる問題です。
(H23、H27、H29、H30、R01:5回/10年)
本日は、小問(4)。粉じんとガス状の両方のばく露があると考えて、総暴露量を求めるという、珍しい設定の問題ですが、実際にこういう場合も想定しなければいけないということだと思います。
問1 防塵マスクによる防護に関する以下の問に答えよ。
(4)化学物質Aの粉じん(固体)および、蒸気が空気中に発生している作業場があり、Aの気中濃度(粉じんおよび蒸気)は、0.6mg/m3であった。このような場合には、呼吸用保護具として、防塵マスクでは蒸気吸入の防護が出来ない為、防塵機能付き防毒マスクを用いるのが一般的である。誤って、粉じんマスクを着用したとき、作業者が吸入するAの吸入暴露濃度を次の手順に従い、計算せよ。
尚、用いた粉じんマスクの防護係数は10とし、気温は25℃、大気圧は1013hPaとする。このとき、1モルの気体の体積は24.47Lである。解答は数値だけでなく、数値に単位を付加した計算式も示すこと。
化学物質Aの物理化学的性質
許容濃度:0.1mg/m3
融点 :200℃
モル質量:180g/mol
飽和蒸気圧:8.0×10^-4Pa
①Aが全て気体であると仮定したとき、許容濃度は何ppmに相当するか
②飽和蒸気圧は、何ppmに相当するか
③空気中のAの蒸気圧が飽和蒸気圧であると仮定したとき、防塵マスクを着用した作業者が吸入するAの固体濃度は何ppmに相当するか?
④空気中のAの蒸気圧が飽和蒸気圧であると仮定したとき、作業者が吸入するAの蒸気濃度は何ppmか?
⑤作業者が吸入するAの全濃度は、何ppmに相当するか?
以下、回答例です。
①:重量/モル質量×24.47(L)/m3
=0.1/1000/180*24.47=0.014ppm
②:飽和蒸気圧/1013hPa×1000000=0.0079ppm
③:物質Aは、飽和蒸気圧分が、ガス状で存在し、残りは、粒子状(粉じん)として存在していると考えられる。
粉じん量は=6*0.014ー0.0079=0.074ppmとなる。
粉じん量=0.6/1000/180×24.47(L)/m3-0.0079
=0.0815-0.0079
=0.074ppm
作業者は、防護係数10の保護具をしているので、実際に粉じんとして吸入するのは、その1/10となる。
防塵マスクの係数10なのでその10分の1=0.0074ppm
④:粉じんマスクは、ガス状の物質Aの吸入は防止できないので、②の飽和蒸気圧分の濃度となる。
0.0079ppm
⑤:③の粉じんとして吸入する量と、④のガスとして吸入する量の合計なので、0.0074+0.0079=0.0153ppm
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はじめまして、ブログにて勉強させていただいてます。
質問なのですが、粉じん量の計算式中の6という数字はどこから来たのでしょうか?
粉じん量は=6*0.014ー0.0079=0.074ppm
気中濃度(粉じんおよび蒸気)は、0.6mg/m3とありますが…
よろしくお願いいたします。
by ファミ吉 (2022-10-15 17:36)
「ファミ吉」様、回答が遅くなり、申し訳ありませんでした、
小問①の許容濃度0.1mg/m3→0.014ppmの変換の数字をそのまま使って、計算をはしょって書いてしまっています。
粉じん量=0.6mg/m3 許容濃度の0.1mg/m3の「6」倍
正確には、0.6/1000÷モル質量×24.47(L)/m3-0.0079ですね。
本文も修正しておきます。
by ちょまぷ (2022-12-26 13:31)