労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況 [法令・通達情報※労働衛生]
令和元年度の過労死等の労災補償状況が、厚労省から公表されました。
その中の一つの脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況についても、簡単にポイントをまとめてみたいと思います。
労働衛生コンサルタントの記述式の保健衛生の過去問でも、取り上げられていますので、背景となる状況を把握しておくと良いと思います。
ここ数年、請求件数は増えていますが、支給決定件数は微減ですね。
働き方改革までは進んでいないけれど、問題意識を持たないといけない法整備も進んでいるので、良い方向に変わりつつあるのであれば良いけれど、と思います。
年齢別では以下の通りです。
請求件数 |
「50~59歳」333件、
「60歳以上」294件、
「40~49歳」248件の順
|
支給決定件数 |
「50~59歳」91件、
「40~49歳」67件、
「60歳以上」42件の順
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40歳以上で9割以上となっています。特に50歳代がメインですが、40歳代、60歳代も横並びですね。
過労働時間については、よく見る必要があります。
過去には、単月100時間越えが労災認定のボーダーラインと言われていましたが、表をみると「評価期間2か月から6か月」の平均過労働時間、「80時間以上~100時間未満」の件数が、支給決定件数全体の1/3を占めていることがわかります。また、「60時間以上~80時間未満」の件数が、支給決定件数の1割もあり、増加傾向にあるのも要注意です。何より、支給決定件数の約4割が死亡している事実は、認識をしておく必要がありますね。
「100時間越え」を減らしても、トータルの業務効率の改善などが進んでいない場合は、長期間に渡って過労働が慢性的に多い状況が続くことが問題になっているのだと思います。
働き方改革は、まだ道半ば。6か月平均の過労働60時間超えでも労災が認められるようになってきたことは確かな歩みなのかもしれませんが。
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