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令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会 第一回議事録 [法令・通達情報※労働衛生]
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html第一回の議事録が7月11日に公開されていましたので、勉強してみました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34103.html開催日は、令和5年6月8日(木) 10:00~12:00
議題は、
①今年度の、「化学物質管理に係る専門家検討会」の検討スケジュール
②皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれが明らかな物質の特定方法
でした。
検討スケジュールは
(1)濃度基準値関係
・対象物質ごとの濃度基準値
・対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
(2)測定関係
・作業環境測定における個人サンプリング法の適用物質の拡大
・個人ばく露測定の精度管理の仕組み
(3)皮膚・眼対策関係
・皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれが明らかな物質の特定方法
・保護手袋等の選定の考え方
本検討会での当面の検討事項と今年度の検討スケジュールスケジュールの濃度基準値の決定に対しては
一人の委員さんから
「67物質の濃度基準値が決まったわけなのですけれども、今建設業でマニュアルづくりを建設業労働災害防止協会(建災防)と一緒に取組んでいるところなのですが、67物質が具体的に建設業で使われているどんな資材等に含有されているか、自分でもかなり調べているのですけれども、よく分からないのです。」
「全部網羅する必要はないのですけれども、例えば塗料に入っている、どういう接着剤に入っている、という情報を出していただきたい」という要望が出されています。
対象物質のSDSの主たる用途を見てほしいとの回答に対して、主たる用途以外で使われている場合には、漏れてしまうという懸念も示されています。
建設関連で使われている、化学製品の種類が膨大で、各現場で実態として、SDSを確認できる人材が不足しているということかなと思われます。
議題2、皮膚から吸収・侵入して健康障害を生ずるおそれが明らかな物質の特定方法について
「皮膚等障害化学物質の選定のための検討会」報告書(概要)「皮膚障害の対象物質、Group1の356物質」が、令和6年4月1日から、安衛則594条の2の適切な保護具を着用させる「義務」の対象として、指定されることが提案されています。
これに対して、「不浸透性の保護衣、保護手袋、履き物を全部使わせなければいけないのですが、作業によっては逆に不浸透性の保護衣を着けさせたら熱中症になる危険性もあります。十把一絡げに不浸透性のものを着けなさいということに罰則つきの事業者責任―を課されるのは非常に厳しいです。22条関係なので、違反すると6ヵ月以下の懲役、50万円以下の罰金を適用されてしまうのです。」という意見が述べられています。
さらに、「今回決めるのであれば、然るべき保護具が示せるもの以外は施行対象にすべきではないと思っています。それだけ重たい法律ということを理解していただきたい。」という意見も出され、
厚労省の「化学物質対策課長」さんからは、「透過情報がない物質につきましては、物性が近いものを参照する、それから物性を入力すると皮膚透過量が推定できるアプケーションなどを活用できれば、適切に保護手袋は選択できると御提言いただいております」
と回答しています。
個人的には、「物性が近いものを参照する」のは、素人にはとても難しく、また、間違いやすいですし、「物性を入力すると皮膚透過量が推定できるアプケーション」が有っても、適切な保護素材が、容易には手に入らないと思われます。
これが、あと1年後に、違反したら6ヵ月以下の懲役、50万円以下の罰金を適用されてしまうのはとても心配ですね。
さらに、厚労省の「化学物質対策課長」さんからは、「手袋メーカーと化学物質を実際に作っているメーカーがきちんとコミュニケーションを取って行っていく必要がある」と発言があり、「素材メーカー、化学製品メーカーが責任を取りなさい、手袋メーカーは協力しなさい」という感じで、事業者の製造物責任として、ユーザー事業者から、製造者に負担をかけていく方向性を示しています。
えらいことになってきましたが、国内の中小の化学メーカーさんは、大変なことですよ。
第二回が、7月18日に開催されますが、要注目です。
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