労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
記述式 健康管理 過去問(R01-2-1) [労働衛生コンサルタント過去問:健康管理]
労働衛生コンサルタントの筆記試験まで僅かですね。受験される方を応援するために、過去問について、一問ずつ解いていきたいと思います。<<尚、回答例は小生の見解ですので、誤解誤答についてはコメントにてご意見を頂きたいと思います。>>
昨日に引き続き、健康管理の問題を解答していきます。
特に、本ブログの5/26にも記載した通り、問1または問2の選択問題では、有害物質管理とくに、有機則や特化則に関連した問題が、毎年のように出題されています。これらの問題は、科目:労働衛生工学でも基本的な事柄ですので、復習するのにちょうど良いと思われます。口述試験でも問われる内容ですので、衛生工学・保健衛生、両方の受験者の方々にご覧頂くと、お役に立てるのかなと思います。(口頭試問の受験の記録・感想や小職の提案する勉強法については、年末位からこのブログでも紹介したいと考えています)
昨年令和元年の健康管理 問2 です。
問 2 近年、危険性や有害性の情報を十分に把握せずに使用した化学物質のばく露をうけた作業者にがんが発生している。職業がんに関する以下の設問に答えよ。
(1)以下の化学物質は、2012年以降に国内で判明した職業がんの原因物質である。それぞれの化学物質による職業がんの発生がみられた作業、ばく露の状況、がんの種類などについて説明せよ。
① オルト-トルイジン
② 1,2-ジクロロプロパン
(2)国際がん研究機関(IARC)による発がん性の分類「グループ1」、「グループ2A」、「グループ2B」及び「グループ3」について、それぞれ説明せよ。
(3)化学物質による「多段階発がん」について説明せよ。
(4)化学物質の有害性をスクリーニングするエームス(Ames)試験について説明せよ。
(5)有機溶剤として使用されている化学物質には、発がんのおそれがあるものがある。 ① 発がんのおそれのある有機溶剤を二つ挙げよ。ただし、(1)の ① 及び ② 以外の化学物質とする。
② 発がんのおそれのある有機溶剤を取り扱う作業場において、事業者が講ずべき作業環境管理及び作業管理に関する措置並びにそれ以外の措置を合わせて五つ挙げ、それぞれの内容を説明せよ。
(3)、(4)以外は、労働衛生工学でも頻出の問題ですね。
回答例
(1)
① オルト-トルイジン:膀胱がん、 |
有機顔料の合成原料として使用、保護具を着用していたが保護具を使いまわしていたため、経年で透過した対象物質が経皮から吸収された。 |
② 1,2-ジクロロプロパン:胆管がん。 |
印刷機器の清掃払拭作業で、作業エリアの換気が不十分だった。主として経気道吸収によるばく露。 |
(2)
「グループ1」: 人に対する明確な、発がん性の情報がある。 |
「グループ2A」: 人に対しておそらく発がん性がある。 実験動物に対して、明確な発がん情報があるが、人に対しては限定的な情報である。 |
「グループ2B」: 人に対して発がん性のある可能性がある。 人に対しての限られた情報があるが、実験動物に関しての情報が不十分である。 |
「グループ3」: ヒト・実験動物、いずれにも、不十分な発がん性の情報しかない |
ちなみに、「グループ4」は発がんの可能性は無い。で滅多にありません。
残り3問は明日。
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皮膚からの吸収・ばく露を防ぐ!―オルト‐トルイジンばく露による膀胱がん発生から学ぶ
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- 出版社/メーカー: 中央労働災害防止協会
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