労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
通達「情報通信機器を用いた産業医の職務」「専属産業医の兼務」 [法令・通達情報※労働衛生]
- 「専属産業医が他の事業場の非専属の産業医を兼務する場合の事業場間の地理的関係について」の廃止について(令和3年3月31日基安労発0331第2号)
実際、私の所属する事業所でも、専属産業医が必要な人数ではないのですが、親会社の組織再編などで、一つの事業所に、複数の子会社が同居しており、産業医が兼務している状況が発生しています。
このやり方には、良い面も悪い面もあると思いますが、今回の通知は、こういった実態に沿って、法の仕組みとして、良い面を引き出して、悪い面が出ないような留意事項を明確にしたものだと思います。
良い面としては、
①作業場を共有していたり、移管したりするため、一人の産業医が見てくれた方が、共通の指導が出来る。
②分社化した子会社でも、引く続き、親会社の優秀な産業医の指導が受けられる
③福利厚生施設なども共有していることが多いので、産業医の指導による改善の効果が、同じ場所に暮らす複数の組織の従業員が、恩恵に与ることが出来る。
③安全衛生委員会などの情報を共有する仕組みを作ることで、ダブルスタンダードなどの弊害を防いで、統一した管理が出来、従業員にとっても分かり易く、ルールを守り易い管理が出来る。
悪い面も無くもないですが、例えば、親会社の活動に「おんぶに抱っこ」となって、指導的立場のキーマンが育たない、などといったことも、逆に組織を超えて、関わり合うことが出来ると乗り越えることが出来るのではないかと思います。
ただ、労基署の方には、どちらかがサボっているように見られる可能性もありますので、各組織のTOPが、それぞれの方針を明確にしている、とか、委員会の議事録は、それぞれのTOPがちゃんと見てから発行する、とか、事業所内のすべての従業員が、組織の枠を越えてみることのできる掲示板やネット環境上で、安全関係の情報が平等に公開されている、とか
いくつか、留意して取り組むことが必要だと思います。
更にこの仕組みは、同日に出された、情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について(令和3年3月31日基発0331第4号)と合わせて活用することで、別拠点の子会社にも拡大することができる仕組みとなっています。
別拠点の産業医を兼務して、web会議などを活用する場合でも、現地で行わないといけない業務項目もありますので、その辺りには留意しつつ、良い産業医さんにしっかり働いてもらう(笑)ことが出来るのではないかと思います。
R03/03/31に上記の三本の通知が発出されました。
ア 医師による面接指導
web面談にて実施可 医師が必要と認める場合には直接対面により実施
web面談での留意事項
イ 作業環境の維持管理及び作業の管理
web不可
定期巡視はweb不可(→オ参照)。追加的な巡視は、必須では無いが現場で情報収集すること。
①定期巡視の実施の際に、実地で作業環境や作業内容等を確認する
②追加的に実地で確認する頻度について検討する
③製造工程や使用する化学物質を変更する等、事業場の作業環境や作業内容等に大きな変更が生じる場合は、産業医が実地で確認する
ウ 衛生教育
eラーニングにて実施可能
別途通達に基づくこと
エ 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置
原則不可:実地で作業環境等を確認
①視覚や聴覚を用いた情報収集だけでなく、臭いや皮膚への刺激等嗅覚や触覚による情報を得る必要もあることが想定
②報告書等を確認する等により、事業場において産業医が実地での作業環境等の確認は不要であると判断した場合には、この限りではない。
オ 定期巡視(安衛則第 15 条関係)
不可
①少なくとも毎月1回(安衛則第 15 条で定める条件を満たす場合は少なくとも2月に1回)
・作業環境や作業内容等を把握する
・健康診断や健康相談だけからでは得られない情報
カ 安全衛生委員会等への出席(法第 17 条、第 18 条及び第 19 条関係)
可
別途通達に基づくこと
web面談にて実施可 医師が必要と認める場合には直接対面により実施
web面談での留意事項
イ 作業環境の維持管理及び作業の管理
web不可
定期巡視はweb不可(→オ参照)。追加的な巡視は、必須では無いが現場で情報収集すること。
①定期巡視の実施の際に、実地で作業環境や作業内容等を確認する
②追加的に実地で確認する頻度について検討する
③製造工程や使用する化学物質を変更する等、事業場の作業環境や作業内容等に大きな変更が生じる場合は、産業医が実地で確認する
ウ 衛生教育
eラーニングにて実施可能
別途通達に基づくこと
エ 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置
原則不可:実地で作業環境等を確認
①視覚や聴覚を用いた情報収集だけでなく、臭いや皮膚への刺激等嗅覚や触覚による情報を得る必要もあることが想定
②報告書等を確認する等により、事業場において産業医が実地での作業環境等の確認は不要であると判断した場合には、この限りではない。
オ 定期巡視(安衛則第 15 条関係)
不可
①少なくとも毎月1回(安衛則第 15 条で定める条件を満たす場合は少なくとも2月に1回)
・作業環境や作業内容等を把握する
・健康診断や健康相談だけからでは得られない情報
カ 安全衛生委員会等への出席(法第 17 条、第 18 条及び第 19 条関係)
可
別途通達に基づくこと
また、二つ目は、専属産業医が、他の事業所の非専属産業医として勤務できるようにということなのですが、事業所内の分社化や子会社化によって、元請会社内に請負会社があるような事業所では、有効に活用できるし仕組みだと考えられます。
実際、私の所属する事業所でも、専属産業医が必要な人数ではないのですが、親会社の組織再編などで、一つの事業所に、複数の子会社が同居しており、産業医が兼務している状況が発生しています。
このやり方には、良い面も悪い面もあると思いますが、今回の通知は、こういった実態に沿って、法の仕組みとして、良い面を引き出して、悪い面が出ないような留意事項を明確にしたものだと思います。
良い面としては、
①作業場を共有していたり、移管したりするため、一人の産業医が見てくれた方が、共通の指導が出来る。
②分社化した子会社でも、引く続き、親会社の優秀な産業医の指導が受けられる
③福利厚生施設なども共有していることが多いので、産業医の指導による改善の効果が、同じ場所に暮らす複数の組織の従業員が、恩恵に与ることが出来る。
③安全衛生委員会などの情報を共有する仕組みを作ることで、ダブルスタンダードなどの弊害を防いで、統一した管理が出来、従業員にとっても分かり易く、ルールを守り易い管理が出来る。
悪い面も無くもないですが、例えば、親会社の活動に「おんぶに抱っこ」となって、指導的立場のキーマンが育たない、などといったことも、逆に組織を超えて、関わり合うことが出来ると乗り越えることが出来るのではないかと思います。
ただ、労基署の方には、どちらかがサボっているように見られる可能性もありますので、各組織のTOPが、それぞれの方針を明確にしている、とか、委員会の議事録は、それぞれのTOPがちゃんと見てから発行する、とか、事業所内のすべての従業員が、組織の枠を越えてみることのできる掲示板やネット環境上で、安全関係の情報が平等に公開されている、とか
いくつか、留意して取り組むことが必要だと思います。
更にこの仕組みは、同日に出された、情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について(令和3年3月31日基発0331第4号)と合わせて活用することで、別拠点の子会社にも拡大することができる仕組みとなっています。
別拠点の産業医を兼務して、web会議などを活用する場合でも、現地で行わないといけない業務項目もありますので、その辺りには留意しつつ、良い産業医さんにしっかり働いてもらう(笑)ことが出来るのではないかと思います。
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タグ:産業医 労働衛生コンサルタント
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