事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
令和4年度「第50回」労働衛生コンサルタント試験:記述式科目【労働衛生工学】(その5) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
GW前に少し余裕が出来たので、昨年2022の労働衛生コンサルタント試験を使って勉強しています。私の回答案を紹介しますが、誤答・誤解については、コメント欄でご指摘いただけると助かります。
令和3年以前の「労働衛生工学」の過去問については、こちらの過去ブログをご参照ください。
リンク先→保健衛生(記述式)過去問R03分追加「#労働衛生工学」の【問2】小問(1)に取りかかります。
問2は、振動関連の問題です。普段関連する作業に巡り会わないのですが、建設業などでは必須の課題です。労働安全コンサルタントの建設の資格をお持ちの方が、労働衛生コンサルタントも受験される場合は、こちらを選択すると良いのでしょうね。
私も数少ないとはいえ、そんな現場もあるので復習が大事です。
パンフレット全体版:
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/090820-2a.pdf
平成21年7月10日付け基発0710第1号
「チェーンソー取扱い作業指針について」
同日付け基発0710第2号
「チェーンソー以外の振動工具の取扱業務に係る振動障害予防対策指針について」
試験問題に関しては、告示だけでなく、測定方法を規定した「JISB7762」の内容も少し求めているようです。
問2 振動に関して、以下の設問に答えよ。
(1)振動ばく露作業における作業管理について、以下の①~⑤の問に答えよ。
① 次の文中の空欄【_A_】 ~ 【_I_】 に当てはまる語句、数式、数値等(空欄F とH については単位も含めること。)を答えよ。
振動工具を使用することによって手腕に伝達される振動を測定する場合、測定対象となる周波数範囲はオクターブバンド中心周波数で【_A_】Hz から【_B_】 Hz までである。この周波数範囲は、1/3オクターブバンド中心周波数では【_C_】 Hz から【_D_】 Hz までに相当する。
日振動ばく露量A(8)は、測定によって得られる振動工具の周波数補正振動加速度実効値の三軸合成値ahv[m/s2]及び1日当たりの振動ばく露時間T [時間] を用いて、【_E_】と表すことができる。
日振動ばく露量A(8)が、振動ばく露限界値(具体的な値は【_F_】 )に等しくなるときの振動ばく露時間を振動ばく露限界時間TL とよび、TL は【_G_】 で表される。これに対して、日振動ばく露量A(8)が、振動ばく露対策値(具体的な値は【_H_】 )に等しくなるときの振動ばく露時間TA は【_I_】で表される。
② ①で求めたTL とTA がそれぞれ満たす関係式(①の波線部)をグラフ上に図示せよ。
③ 日振動ばく露量A(8)がA(8)≦ 2.5 m/s2 を満たすときの振動工具の周波数補正振動加速度実効値の三軸合成値ahv[m/s2]と1日当たりの振動ばく露時間T [時間]が満たす範囲をグラフ上に斜線で図示せよ。
④ 日振動ばく露量A(8)が2.5 m/s2 < A(8)≦ 5.0 m/s2 を満たすときの振動工具の周波数補正振動加速度実効値の三軸合成値ahv[m/s2]と1日当たりの振動ばく露時間T [時間]が満たす範囲をグラフ上に斜線で図示せよ。
⑤ 次の文中の空欄【_J_】~【_N_】に当てはまる語句、数式、数値等を答えよ。なお、文中の【_F_】は、①の文中のF と同じ数値が入る。
1日のうち、それぞれ異なる振動工具を使用して3種類の振動ばく露作業(作業1、作業2及び作業3)を行う場合、それぞれの作業で使用する振動工具の周波数補正振動加速度実効値の三軸合成値及び1日当たりの振動ばく露時間を表1 のように定めると、作業全体の日振動ばく露量A(8)は【_J_】で表される。
今、各振動ばく露作業における周波数補正振動加速度実効値の三軸合成値の二乗と振動ばく露時間の積で表される量を振動ばく露量とよぶことにすると、各作業における振動ばく露量の総量は【_K_】 で表される。A(8)=【_F_】のとき、1日当たりの振動ばく露量の限界値は【_L_】となることから、1日当たりの振動ばく露量の総和が【_L_】を超えないように作業管理をする必要がある。
例えば、周波数補正振動加速度実効値の三軸合成値ahv = 12.5 m/s2 の振動工具を午前中に1時間使用する場合、この作業ですでに1日当たりの振動ばく露量の限界値の【_M_】%を占有してしまうので、午後に同一の振動工具を使用して【_N_】時間しか作業をすることができない。【_A_】8(Hz)、【_B_】1000(Hz)
【_C_】6.3(Hz)、 【_D_】1250(Hz)
【_E_】A(8)=ahv×√(T/8)
【_F_】5.0(m/s^2)
【_G_】200/(ahv)^2
【_H_】2.5(m/s^2)
【_I_】50/(ahv)^2
【_J_】A(8)=√(ahv1^2×T1/8+ahv2^2×T2/8+ahv3^2*T3/8)
【_K_】ahv1^2×T1+ahv2^2×T2+ahv3^2×T3
【_L_】200
【_M_】12.5*12.5/200=156.25/200=78.125%
【_N_】5/12.5=√(Tmax/8)→0.4×0.4×8=Tmax=1.28
午前中に1時間作業作業済みなので、残り0.28時間にほんブログ村
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令和4年度「第50回」労働衛生コンサルタント試験:記述式科目【労働衛生工学】(その4) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
GW前に少し余裕が出来たので、昨年2022の労働衛生コンサルタント試験を使って勉強しています。私の回答案を紹介しますが、誤答・誤解については、コメント欄でご指摘いただけると助かります。
令和3年以前の「労働衛生工学」の過去問については、こちらの過去ブログをご参照ください。
リンク先→保健衛生(記述式)過去問R03分追加【問1】 職場における有害物管理に関する以下の設問に答えよ。
(4)屋内でインジウム化合物を製造している作業場において、従事する労働者のインジウムばく露を低減するための一般的な対策について、作業環境管理、作業管理に分けてそれぞれ四つ挙げよ。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei42/
「インジウム・スズ酸化物等の取扱い作業による健康障害防止に関する技術指針」
に沿って記載すれば良さそうです。
1)作業環境管理
技術指針には、下記の1)~6)が記載されています。
(1) 遠隔操作の導入又は工程の自動化(機械化・自動化)
(2) 粉じんの発散源を密閉又は隔離する設備の設置
(3) 局所排気装置の設置
(4) プッシュプル型換気装置の設置
(5) 湿潤な状態に保つための設備の設置
(6) その他の発散抑制措置
3)と4)を一つにして、以下、私の回答案
①工程の機械化自動化により、人暴露する作業を無くす。
②粉じん発生源の密閉化・隔離
③局所排気装置、あるいは、プッシュプル換気装置を用いて、作業環境の粉じん飛散濃度を下げる。
④湿潤化による、粉じん飛散の防止
インジウムは「管理濃度が定められていない」ので、作業環境測定については、記載するかどうか悩むところです。そこで、回答案としては、作業管理の保護具の選定に追記してはどうかと考えました。
【参考】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei48/pamphlet.html
2)作業管理
技術指針には、下記の1)~6)が記載されています。
作業主任者を選任し、以下の作業管理を実施させる。
(1) 労働者が当該物質にばく露されないような作業位置、作業姿勢又は作業方法の選択
(2) 作業手順書の作成と周知徹底
(3) 当該物質にばく露される時間の短縮
(4) 保護具の使用の徹底
(呼吸用保護具のほか、必要に応じて保護眼鏡を使用する)
(5) 清掃作業について
(6) 作業記録の保存
(6)は、ばく露防止にはならないため、3)と一緒にして記載。
(5)は作業環境管理にも含まれるので微妙。
ということで、私の回答案
①作業手順・作業方法の選択、
②有害性の周知を含む、作業手順書の教育
③作業環境測定を行い、環境中の濃度に応じて定められた防護係数の保護具を選定する。さらに、適切な保護具着用方法の指導と、作業中の保護具着用の監視を行う。
④作業場所の清掃作業(再飛散しないよう、湿潤化あるいは、HEPAフィルター付きの真空掃除機を用いる。)
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令和4年度「第50回」労働衛生コンサルタント試験:記述式科目【労働衛生工学】(その3) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
GW前に少し余裕が出来たので、昨年2022の労働衛生コンサルタント試験を使って勉強しています。私の回答案を紹介しますが、誤答・誤解については、コメント欄でご指摘いただけると助かります。
令和3年以前の「労働衛生工学」の過去問については、こちらの過去ブログをご参照ください。
さて、科目「#労働衛生工学」に取りかかります。
試験問題の構成は、先日のブログを参照して下さい。
今日は【問1】小問(3)
【問1】 職場における有害物管理に関する以下の設問に答えよ。
(3)作業環境測定(C・D 測定)について、以下の文中の【_A_】~ 【_E_】に当てはまる語句又は数値を解答欄に記入せよ。
試料採取機器等の装着は、単位作業場所において労働者にばく露される物質の量がほぼ均一であると見込まれる作業ごとに、それぞれ適切な数の労働者に対して行う。ただし、その数は、それぞれ【_A_】 人を下回ってはならない。適切な数の労働者は、原則として単位作業場所における全ての労働者とするが、作業内容等の調査を踏まえ、単位作業場所における【_B_】状態を代表できる抽出方法を用いて抽出された数の労働者が含まれること。
単位作業場所において作業に従事する労働者の数が【_A_】人を下回る場合にあっては、同一の労働者が同一の【_C_】 のうち単位作業場所において作業に従事する時間を分割し、【_D_】以上の試料空気の採取等が行われたときは、当該試料空気の採取等は、当該【_D_】 以上の採取された試料空気の数と同数の労働者に対して行われたとみなすことができる。
ただし、単位作業場所において作業に従事する全時間を均等に分割する必要がある。この際、測定の定量下限値が測定対象物質の管理濃度の【_E_】 分の1を上回ることがないように測定時間を確保する必要がある。
CD測定が出題されるようになりましたね。個人ばく露測定と混乱しないように注意が必要です。
回答案
【_A_】 5
【_B_】 ばく露
【_C_】 作業日
【_D_】 2
【_E_】 10
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09446.html
の
【別添】個人サンプリング法による作業環境測定及びその結果の評価に関するガイドライン(令和2年2月17日付け基発0217第1号)
に記載されているとおりです。
以上となります。
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令和4年度「第50回」労働衛生コンサルタント試験:記述式科目【労働衛生工学】(その2) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
さて、科目「#労働衛生工学」に取りかかります。
試験問題の構成は、先日のブログを参照して下さい。
今日は【問1】小問(2)
【問1】 職場における有害物管理に関する以下の設問に答えよ。
(2)金属アーク溶接作業が屋内の作業場にて行われている。この作業場の溶接ヒュームにおける吸入性粉じん中のマンガン発生量は10.0 mg/h であった。この作業場に外気を導入して、空気中のマンガン濃度を0.05 mg/m3 にするために必要な換気量[m3/h]を求めよ。
なお、作業中の単位時間当たりのマンガン発生量は常に一定で変化しないものとし、溶接ヒュームは十分に拡散して作業場内の空気と混合されるものとする。また、給気された清浄な空気は作業場内の溶接ヒュームと完全に混合した後に排気されると仮定する。計算過程も記せ。
回答案
発生時に完全混合とあるので、室内の濃度をx、換気量をVと置くと、
1時間で換気によって持ち出される量は、x×換気量V
定常状態では、t時間の内に増加する量=t時間で排気される量なので
10=x×換気量V→x=10/V
x<0.05にするには、
x=10/V<0.05→10/0.05<V ・・・200<V
200m3/時 以上の換気量が必要。
以上となります。
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令和4年度「第50回」労働衛生コンサルタント試験:記述式科目【労働衛生工学】(その1) [労働衛生コンサルタント過去問:労働衛生工学]
GW前に少し余裕が出来たので、昨年2022の労働衛生コンサルタント試験を使って勉強しています。私の回答案を紹介しますが、誤答・誤解については、コメント欄でご指摘いただけると助かります。
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さて、科目「#労働衛生工学」に取りかかります。
試験問題の構成は、例年通りですね。
第一問が、特化物の、作業環境管理と作業管理の法令と実務手法について
第二問が騒音振動の作業管理のどちらかから出題
第三問と第四問は、両方とも局所排気装置の設計に関する問題で、
今年は、第三問が、局所排気装置の設計計算書を作る問題、
第四問が、シンプルな圧損計算とファン選定の問題でした。
【問1】 職場における有害物管理に関する以下の設問に答えよ。
(1)金属アーク溶接等作業が屋内にて継続して行われている。換気装置の風量増加による効果を確認するため、労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる方法(個人ばく露測定)により空気中の溶接ヒュームの濃度の測定を実施した。測定は、ばく露される溶接ヒュームの量がほぼ均一であると見込まれる作業(均等ばく露作業)に従事している労働者a ~ e の5名について、上記の方法により労働者の呼吸する空気中の溶接ヒュームを対象とした。その結果、下記に示した吸入性粉じんに含まれる溶接ヒューム中のマンガン濃度が得られた。
この均等ばく露作業に従事する労働者5名が使用する有効な呼吸用保護具を選定するための要求防護係数を求めよ。また、要求防護係数から選定した適切な呼吸用保護具を、下記の①~⑤のうちから該当するものを全て選び、その理由を記せ。
① 全面形面体電動ファン付き呼吸用保護具 S 級PL 3 (指定防護係数1000)
② 全面形面体電動ファン付き呼吸用保護具 A級PL 1 (指定防護係数19)
③ 半面形面体電動ファン付き呼吸用保護具 S 級PL 3 (指定防護係数50)
④ フード形又はフェイスシールド形電動ファン付き呼吸用保護具
S 級PL 1 (指定防護係数11)
⑤ 使い捨て式防じんマスク DL 1 (指定防護係数4)
さて、私の回答案ですが、
溶接ヒュームの個人ばく露測定による、保護具選定には統計的な手法は使わず、最大値にて保護具の性能を選定するのがポイントと思います。
平均値だと②OKになってしまうのが、引っかけです。
単純に、5回の個人ばく露測定の最大値を用いて
必要防護係数=1.2÷0.05=24なので、
指定防護係数が24以上の①と③を使うこと、となります。
【参考】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00001.html
パンフレットhttps://www.mhlw.go.jp/content/11305000/000654441.pdf【ページ4】
「溶接ヒュームの濃度の測定の結果得られたマンガン濃度の最大の値(C)を使用し、以下の計算式により「要求防護係数」を算定します。」
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