労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」の一部改正について [法令・通達情報※保健衛生]
2021年07月30日 厚生労働省労働基準局は、「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」の一部改正について(令和3年7月26日基発0726第2号)発出しています。
【基発0420第3号】との表2「WGBT値と気温、相対湿度との関係」の取り扱いがどうが変わっているのか、確認してみました。
【基発0420第3号】の(解説)
2 WBGT値(暑さ指数)の活用について
(1)WBGT値の測定方法等は、日本産業規格JIS Z 8504を参考にすること。
(2)WBGT値の測定が行われていない場合には、表2の「WBGT値と気温、相対湿度との関係」等が熱ストレス評価を行う際の参考になること。
(1)WBGT値の測定方法等は、日本産業規格JIS Z 8504を参考にすること。
(2)WBGT値の測定が行われていない場合には、表2の「WBGT値と気温、相対湿度との関係」等が熱ストレス評価を行う際の参考になること。
の部分が、【一部改正 基発0726第2号】では、
2 WBGT値(暑さ指数)の活用について
(1)WBGT値の測定方法等は、日本産業規格JIS Z 8504を参考にすること。
(2)日射及び発熱体がなく、かつ、温度と湿度が一様な、気流の弱い室内作業環境であって、WBGT指数計等によるWBGT値の実測が行われていない場合には、日本生気象学会が作成した「日常生活における熱中症予防指針」における「図2.室内を対象とした気温と相対湿度からWBGTを簡易的に推定する図(室内用のWBGT簡易推定図)」等が熱ストレス評価を行う際の参考になること。
(1)WBGT値の測定方法等は、日本産業規格JIS Z 8504を参考にすること。
(2)日射及び発熱体がなく、かつ、温度と湿度が一様な、気流の弱い室内作業環境であって、WBGT指数計等によるWBGT値の実測が行われていない場合には、日本生気象学会が作成した「日常生活における熱中症予防指針」における「図2.室内を対象とした気温と相対湿度からWBGTを簡易的に推定する図(室内用のWBGT簡易推定図)」等が熱ストレス評価を行う際の参考になること。
と同時に、【基発0420第3号】に含まれていた 表2が削除されて、以下の表の番号が繰り上がっています。
熱ストレスの評価の参考となるWGBT簡易推定図の取り扱いについて、条件を限定すると共に、日本生気象学会での改訂版を参考情報として、通達から外しています。
日本生気象学会のお知らせを見ると、
「(訂正後)この図は気温と相対湿度からWBGT値(暑さ指数)を推定する表である。
日射が強い屋外においてはWBGTを過小評価し、リスクを見落とす可能性があるため、屋外では黒球温度計を有するWBGT測定器を用いて測定し、熱中症のリスクを評価する必要がある。
日射がない室内においては、熱中症のリスクを見落とすことのないよう、この図に示したWBGT値は実際の値より高い値を示している。」
とありますので、表の数字だけが一人歩きしないように気をつける必要がありますね。
うちの事業所では、屋外にWGBT測定装置を取り付けてあるのですが、この夏は、屋内作業用にハンディタイプをもう一台購入しました。
暑い日が続きますので、益々、注意が必要ですね。
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学
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タグ:熱中症 労働衛生コンサルタント
ワクチン証明 [法令・通達情報※保健衛生]
通達情報
予防接種法施行規則 附 則 第 十 八 条 の 二
ワクチン証明の件がニュースになっていますが、予防接種法施行規則の規制の通達が出ています。
附 則 第 十 八 条 の 二
「 法 附 則 第 七 条 第 一 項 の 規 定 に よ る 予 防 接 種 を 行 っ た 者 は 、 当 該 予 防 接 種 を受 け た 者 で あ っ て 、 海 外 渡 航 そ の 他 の 事 情 に よ り 、 第 四 条 第 一 項 の 予 防 接 種済 証 と は 別 に 当 該 予 防 接 種 を 受 け た こ と を 証 す る 書 類 ( 以 下 こ の 条 に お い て「 予 防 接 種 証 明 書 」 と い う 。 ) を 求 め る も の に 対 し て 、 こ れ を 交 付 す る も の と す る
7/12の官報の特別号外としても発出されました。
(7/13補足) 厚労省からの通達も発出されました。
予防接種法施行規則の一部を改正する省令の公布
改正の概要
・新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を行った市町村長(特別区の区長を含む。)は、予防接種を受けた者であって、海外渡航その他の事情により、予防接種証明書を求めるものに対して、予防接種証明書を交付することとする。
・ 予防接種証明書には、予防接種を受けた者の氏名、生年月日、国籍、旅券番号、予防接種に関する情報(予防接種を受けた日、接種回数、予防接種に使用されたワクチンに係る製造販売業者の名称、製品名及び製造番号、予防接種を受けた国)等を記載することとする(英語・日本語併記)。
・ 予防接種証明書には、予防接種を受けた者の氏名、生年月日、国籍、旅券番号、予防接種に関する情報(予防接種を受けた日、接種回数、予防接種に使用されたワクチンに係る製造販売業者の名称、製品名及び製造番号、予防接種を受けた国)等を記載することとする(英語・日本語併記)。
6月は「STOP!転倒災害プロジェクト」の重点取組期間です [法令・通達情報※保健衛生]
6月は「STOP!転倒災害プロジェクト」の重点取組期間です
全国安全週間(7月1日~7日)の準備期間として、重点取り組み期間だそうです。
転倒労災が死傷病災害の25%ということで、重点的に取り組む必要がありますね。
段差などのつまずきやすい場所の対策、滑りやすい場所の掃除や、
床への荷物の放置などの5S対策に加えて
高齢者含めて、転倒防止の運動も大事だと思います。
職場で、下記リンク先の「転倒防止体操」を週一回集まって行っていますが、午後の気分転換に良い感じで、参加してもらっています。
1)パンフレット(チェックリスト)
2)転倒予防体操動画
3)企業における転倒災害防止の取り組み事例 など
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
2)転倒予防体操動画
3)企業における転倒災害防止の取り組み事例 など
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111055.html
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学
医薬品注意情報表示アプリについて [法令・通達情報※保健衛生]
医薬品注意情報表示アプリについて
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、リンク先の通達が発出されています。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210513I0020.pdf
医薬品等の容器等に記載された符号を読み取ることで注意事項等情報が掲載されている機構のホームページを閲覧するスマートフォン等のアプリケーションについて
薬機法(旧薬事法)の改正による添付文書の電子化の運用が本年8月1日から開始されます。
「添付ナビ」というアプリケーションで、
医療用医薬品に表示されるGS1バーコードで、注意書きが読めるようになっているのだそうです。
GooglePlay
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、リンク先の通達が発出されています。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210513I0020.pdf
医薬品等の容器等に記載された符号を読み取ることで注意事項等情報が掲載されている機構のホームページを閲覧するスマートフォン等のアプリケーションについて
薬機法(旧薬事法)の改正による添付文書の電子化の運用が本年8月1日から開始されます。
「添付ナビ」というアプリケーションで、
医療用医薬品に表示されるGS1バーコードで、注意書きが読めるようになっているのだそうです。
GooglePlay
Apple Store
コメントを見ると「このアプリは添付文書の電子化(2021年8月より開始予定)に伴い、製品外箱に印刷されているGS1コード(バーコード)を読み取る事で最新の添付文書にアクセスする事が出来ます。読み取って添付文書を開くのに慣れれば1秒で可能なほど素早く表示されるので実用性が高いと思われる。」とか「非常に重要な情報であり、紙媒体からの移行が目的とされているにもかかわらず、災害・停電等の際にオフラインで使用できないのは、大変問題であると感じています。他社製アプリであればオフラインでも閲覧可能なものもあるので、技術的に対応することは可能なはずです。本格運用までに、設定・事前のデータ一括ダウンロード等でオフラインでの閲覧も可能となるよう改善を希望します。」とか、あるので、期待されているのだと思います。
コメントを見ると「このアプリは添付文書の電子化(2021年8月より開始予定)に伴い、製品外箱に印刷されているGS1コード(バーコード)を読み取る事で最新の添付文書にアクセスする事が出来ます。読み取って添付文書を開くのに慣れれば1秒で可能なほど素早く表示されるので実用性が高いと思われる。」とか「非常に重要な情報であり、紙媒体からの移行が目的とされているにもかかわらず、災害・停電等の際にオフラインで使用できないのは、大変問題であると感じています。他社製アプリであればオフラインでも閲覧可能なものもあるので、技術的に対応することは可能なはずです。本格運用までに、設定・事前のデータ一括ダウンロード等でオフラインでの閲覧も可能となるよう改善を希望します。」とか、あるので、期待されているのだと思います。
わざわざ、独自規格のGS-1コードを使うってところが、理解不能。
一企業でも出来ることを、業界団体が税金使ってやってるような気がして、なんだか得体のしれない団体が、お金タップリかけて作った感満載で、お役所のお金の使い方に疑問がありますね。普通の二次元バーコードで、メーカーサイトに飛ばして読ませれば済む話なのにと思ってしまいます。
こんなことしてるから、日本のITが、ガラパゴスから抜け出せないんだろうな。医薬品メーカーも海外のメーカーを排除するための、参入障壁にしたいんだろうし。
とはいえ、添付文書の電子化運用は、とっとと、SDSや、消費者製品の注意書きにも応用して欲しいです。
こんなことしてるから、日本のITが、ガラパゴスから抜け出せないんだろうな。医薬品メーカーも海外のメーカーを排除するための、参入障壁にしたいんだろうし。
とはいえ、添付文書の電子化運用は、とっとと、SDSや、消費者製品の注意書きにも応用して欲しいです。
#労働衛生コンサルタント,#口述試験,#試験対策,#労働衛生工学
事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正 [法令・通達情報※保健衛生]
2月9日に、【事業場における労働者の健康保持増進のための指針】(令和3年2月8日健康保持増進のための指針公示第8号)が公開されました。https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210209K0020.pdf
前回改正の②で、実施内容を事業者が選択しても良くなったとはいえ、なかなか自力で決めるのも難しいので、事業所外の資源を使うようにという方向性のようです。
背景:
「保険者に事業主健診データを提供することは、PHRの推進やコラボヘルス等の推進による労働者の健康保持増進につながり、さらに、労働者が健康になることによって企業の労働生産性向上や経営改善・経済成長にもつながるため、労働者・事業者双方にメリットがあると考えられる。」
改正のポイント
1.改正のポイント
〇 事業者と医療保険者とが連携した健康保持増進対策がより推進されるよう、基本的考え方に、コラボヘルスの推進が求められていることを記載した。
〇 健康保持増進措置の検討に当たって、法に基づく定期健康診断の結果等を医療保険者に提供する必要があること及びそのデータを医療保険者と連携して事業場内外の複数の集団間のデータと比較して取組の決定等に活用することが望ましいことを記載した。
〇 個人情報の取扱いについて、医療保険者から定期健康診断に関する記録の写しの提供の求めがあった場合に、事業者が当該記録の写しを医療保険者に提供することは、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づく義務であるため、第三者提供に係る本人の同意が不要であることを記載した。
今後の方向性に、
昨年の4/1に大幅に改定されて
①幅広い労働者の健康保持増進が促進されるように、直ちに生活習慣上の課題が見当たらない労働者も対象に含まれ、一定の集団に対して活動を推進できるように「ポピュレーションアプローチ」の視点を強化
②定型的な内容が時間や費用等の観点からハードルが高く結果的に浸透していないため、事業場の規模や事業等の特性に応じて健康保持増進措置の内容を検討し実施できるように見直し。
③指針に基づく措置内容について柔軟化する一方、PDCAの各段階で事業場で取り組むべき項目を明確にし、事業場が健康保持増進対策に取り組むための進め方を規定
という内容でした。
今回の改正ポイントが、指針の公示だけでは分かりにくいので、改正が審議された第136回労働政策審議会安全衛生分科会(令和3年2月1日)の資料も引用しておきます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000730260.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16431.html
改正のポイントは「基本的考え方に、コラボヘルスの推進が求められていることを記載」ですね。
今回の改正ポイントが、指針の公示だけでは分かりにくいので、改正が審議された第136回労働政策審議会安全衛生分科会(令和3年2月1日)の資料も引用しておきます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000730260.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16431.html
改正のポイントは「基本的考え方に、コラボヘルスの推進が求められていることを記載」ですね。
前回改正の②で、実施内容を事業者が選択しても良くなったとはいえ、なかなか自力で決めるのも難しいので、事業所外の資源を使うようにという方向性のようです。
背景:
「保険者に事業主健診データを提供することは、PHRの推進やコラボヘルス等の推進による労働者の健康保持増進につながり、さらに、労働者が健康になることによって企業の労働生産性向上や経営改善・経済成長にもつながるため、労働者・事業者双方にメリットがあると考えられる。」
改正のポイント
1.改正のポイント
〇 事業者と医療保険者とが連携した健康保持増進対策がより推進されるよう、基本的考え方に、コラボヘルスの推進が求められていることを記載した。
〇 健康保持増進措置の検討に当たって、法に基づく定期健康診断の結果等を医療保険者に提供する必要があること及びそのデータを医療保険者と連携して事業場内外の複数の集団間のデータと比較して取組の決定等に活用することが望ましいことを記載した。
〇 個人情報の取扱いについて、医療保険者から定期健康診断に関する記録の写しの提供の求めがあった場合に、事業者が当該記録の写しを医療保険者に提供することは、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づく義務であるため、第三者提供に係る本人の同意が不要であることを記載した。
今後の方向性に、
・事業者の同意なしで健診機関から保険者に直接健診結果を送るための条項を盛り込んだ、事業者と健診機関の契約書のひな形を作成し、健診機関から保険者に健診データを直接送ることを推進する。
・ 健診機関から保険者を経由してマイナポータルで提供されるまでの健診データの流れをスムーズにするために必要な保険者番号や被保険者番号等を健診時に 取得するため、その記載欄を設けた問診票のひな形を作成し、その使用を推進する。
・ 安衛法の定期健診時に、運用上、定期健診と特定健診の全項目を一体的に実施することを推進する。また、血糖検査の取扱いを特定健診に揃える。
とありますが、事業者が健康管理をキチンとできるように、産業医や衛生管理者が役割を果たすことが前提だと思われますが、多くの企業で、なかなか進んでいない部分でもあり、ちょっと心配ですね。
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