事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
労働衛生コンサルタント試験:過去問「健康管理」令和4年度(10) [労働衛生コンサルタント過去問:健康管理]
私の回答案を紹介しますが、誤答・誤解については、コメント欄でご指摘いただけると助かります。
令和4年までの受験区分保健衛生の記述式科目「健康管理」の過去問については、こちらのリンクをご参照ください。→→健康管理(記述式)過去問R03分まで
令和4年度の「健康管理」は、各問とも、専門分野の幅広い正確な知識を問う問題になっています。
問1「放射線の有害性について」
問2「インジウムの有害性と対策について」
問3「メンタルヘルスについて」
問4「健康診断全般について」
今回から、問4に取りかかります。
問4は、定期健康診断についての設問です。
まずは、問4全体を眺めてみましょう。
問4 労働者に対して行う健康診断に関し、以下の設問に答えよ。
(1)常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に行う健康診断(「一般定期健康診断」という。)について、以下の問に答えよ。
① 一般定期健康診断を実施する目的は何か。事業者側と労働者側の立場からそれぞれ簡潔に述べよ。
② 例年の受診率が95 %前後であって未受診者がほぼ固定されている状態は、どのように評価するか述べよ。
③ 未受診者を減らすために、どのような取組があるか、五つ述べよ。
④ 事業者が計画的に実施する一般定期健康診断を受診しなかった者に対して、どのような取組が必要か述べよ。
⑤ 一般定期健康診断を行った後に事業者が行う事項を六つ挙げよ。
⑥ 一般定期健康診断の結果を健康管理上どのように区分するか述べよ。
(2)労働安全衛生規則で実施が定められている健康診断のうち、「特定業務従事者の健康診断」及び「海外派遣労働者の健康診断」の対象者(特定業務従事者の健康診断については例示でよい。)及び実施時期について述べよ。
(3)労働者が一般定期健康診断に代えて別途受診した人間ドック等の健康診断の結果について、事業者がその結果の提出を受けたときの取扱いと留意すべき点について述べよ。
(4)一般定期健康診断の実施時に肝炎ウイルス検査をオプション項目として行うことにした。その意義と配慮について述べよ。
(5)健康診断の結果(個人票)はどのくらいの期間保存しておくべきと考えるか、一般定期健康診断と有害業務の特殊健康診断を比べ、違いがあるものについてその理由を述べよ。
(6)産業医が情報機器等を用いて遠隔で健康診断後の保健指導を行う場合に、事業場の体制・仕組みの構築及び使用する情報通信機器に関して事業者が留意すべき事項を五つ挙げよ。
一方で、回答案を作ろうとすると、「知ってるけれど、コンサルタント試験の答えとして、正解は何だろう」という悩みの多い問題でした。そこで、出来るだけ厚労省のガイドラインなどの公的な出所を検索して、回答を作ってみました。
【私の回答案は赤字で】
(1)常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に行う健康診断(「一般定期健康診断」という。)について、以下の問に答えよ。
① 一般定期健康診断を実施する目的は何か。事業者側と労働者側の立場からそれぞれ簡潔に述べよ。
事業主にとって
法的義務・安全配慮義務
従業員の健康状態の監視 適正配置のための情報
労働者にとって
自身の健康管理、病気の早期発見、成人病予防
② 例年の受診率が95 %前後であって未受診者がほぼ固定されている状態は、どのように評価するか述べよ。
③ 未受診者を減らすために、どのような取組があるか、五つ述べよ。
④ 事業者が計画的に実施する一般定期健康診断を受診しなかった者に対して、どのような取組が必要か述べよ。
②③④の三つの問は、未受診を以下に減らすかという取り組み全体に関わる内容ですが、こうやって、分けて聞かれるとなかなか答えにくいですね。
②の回答
法で健康診断の実施が定められており、従業員の受診義務があるため、法令順守できていない状況である。
また、職場環境による従業員の健康リスクに安全配慮義務が果たせていない状況で有り、さらには、従業員の疾病による休業リスクとそれに伴う事業継続リスクが伴う。
③の回答
1)健康診断の受診が法的に定められていること、健康診断の目的、従業員にとってのメリットを、従業員に教育する。
2)計画的に一斉に実施し、その日はラインに補充を入れるなど、受診しやすいようにした上で、職制に対して業務上の配慮を行うように依頼する。
3)一斉検診の未受診者に対し、受診機関や受診日の希望を聞いた上で、受診機関を斡旋して受診を指示する。
4)人間ドックやかかりつけ医など希望の受診機関で受診できるよう配慮し、受診した場合に、受診結果を保健スタッフに送付するよう周知する。
5)未受診者に対し、懲戒が可能なように就業規則に謳い、未受診者に対して受診が義務であることを徹底する。
④の回答
③の回答の、3)、4)と同じで良いのかと思います。
a)=3)一斉検診の未受診者に対し、受診機関や受診日の希望を聞いた上で、受診機関を斡旋して受診を指示する。
b)=4)人間ドックやかかりつけ医など希望の受診機関で受診できるよう配慮し、受診した場合に、受診結果を保健スタッフに送付するよう周知する。
⑤ 一般定期健康診断を行った後に事業者が行う事項を六つ挙げよ。
こちらのリーフレットの2ページ目にしっかり記載されています。
健康診断を実施しましょう(リーフレット)[PDF形式:236KB]
1.健康診断の結果の記録(安衛法第66条の3)
2.健康診断の結果についての医師等からの意見聴取(安衛法第66条の4)
3. 健康診断実施後の措置
必要がある場合、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じる。(安衛法第66条の5 )
4. 健康診断の結果の労働者への通知(安衛法第66条の6)
5. 健康診断の結果に基づく保健指導健康(安衛法第66条の7)
6. 健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告(安衛法第100条)
事後措置パンフレット もあります。
⑥ 一般定期健康診断の結果を健康管理上どのように区分するか述べよ。
事後措置パンフレットの図から抜き出すと、
a)医師による診断区分 異常なし、要観察、要医療
b)結果からの医師等からの意見聴取の区分(産業医さんの診断区分)3区分
通常勤務、就業制限、要休業
過去居た事業所では、特殊健診の結果については、産業医さんに作業環境測定結果や作業場所を居て頂いて、業務関連の疑い有無も判断して頂いていました。
令和4年までの「労働衛生工学」の過去問については、こちらの過去ブログをご参照ください。
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