事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
職場における化学物質管理のあり方に関するラウンドテーブルディスカッション開催報告 [行政ニュース 化学物質管理]
産業衛生学会のサイトに
「職場における化学物質管理のあり方に関するラウンドテーブルディスカッション開催報告」というトピックスが掲載されているのを見つけました。
https://www.sanei.or.jp/topics/statement/individual.html?entry_id=1078
開催と公開が少し古いのですが、内容は、「新たな化学物質管理」を実効性をもって進めるために、どういう人材を育成していく必要があるのかという点にフォーカスしているように思いますので、コンサルの資格や、作業環境測定士など、衛生工学にかんする資格をお持ちの方、関心のある方は、興味深い内容だと思います。
参加メンバーも、飛鳥滋様(日本作業環境測定協会副会長)、大前和幸様、尾崎智様(日本化学工業協会常務理事)、神村裕子様(日本医師会常任理事)、木口昌子様(厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長)、土肥誠太郎様、橋本晴男様、松井玄考様(日本労働安全衛生コンサルタント会常任理事)他、そうそうたるメンバーです。
詳細は、ご覧いただければと思いますが、
結論として、自律的化学物質管理を担う人材像が提示され、確認されています。
1)化学物質管理の責任者は、曝露のコントロールと化学物質管理に起因する健康影響を結びつけることができることが求められる。
2)化学物質管理者には高い専門性が求められ、化学物質管理経験の不十分な衛生管理者が兼務するのでは業務遂行が困難である。そのため、管理の進め方については、企業の状況に応じ、外部委託を含めたさまざまなモデルが許容されるべきである。
3)化学物質管理を担う人材は、企業内・外を問わず、常に最新の知識を有することが求められる。従って、期間を定めた更新制が適当であり、また大学教育からの人材供給も必要である。
様々な意見が出ていますが、産業安全を担う資格が、これから担う若い人たちに魅力のある(稼げる)資格になってほしいなと思います。
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令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会 第二回議事録 後半 [行政ニュース 化学物質管理]
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html
第2回の議事録が8月14日に公開されていましたので、勉強してみました。
厚労省事務局より、個人ばく露測定に係る測定精度の担保等について検討したいとの提案があり、次回以降検討することになった。【資料5】
今の作業環境測定と、個人ばく露測定の、作業場所と資格の関係
①指定作業場(①)では、作業環境測定士による作業環境測定が義務付けられている。
②第三管理区分作業場(②)では、令和6年4月1日から、個人ばく露測定が義務付けられるが、法令上、測定実施者に限定はない。
③リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う作業場(③)では、リスク見積りのため、化学物質リスクアセスメント指針・技術上の指針に基づき、個人ばく露測定を行う。
④金属アーク溶接等作業を継続的に行う屋内作業場(④)では、個人ばく露測定が義務付けられているが、法令上、測定実施者に限定はない。
⑤濃度基準値設定物質を製造・取り扱う行う作業場(⑤)においては、令和6年4月1日から、技術上の指針に基づき、個人ばく露測定(確認測定)を行う。
【議論の進め方】
本格的な議論は第3回にばく露担当の先生方に入っていただいてから
【実態調査の予定】
現時点で個人ばく露測定を行っている金属アーク溶接等作業を継続的に行う作業場
事業場は約2万5,000。その中約2,000事業場を抽出
・現状どういった方が個人ばく露測定を行っているかとか、そ
・結果を読み解いて、実際にマスクの選定が適切にできたか、
・精度についてはどうなのか
・測定を行う人間について資格を設けるべきかという意見の聴取
出たご意見としては、
①直接ヒトの健康影響に関わるようなデータを採るので、精度を担保するという仕組みが是非必要。
②濃度基準値が非常に低濃度化しているため、分析の精度管理をいかに担保するのかが重要
③対象の化学物質以外のものがどんどん増えるので、今測定機関が持っている方法、今まで作業環境測定士が測っていたものでは対応できない。(事業者のマンパワーや技術も必要)
④均等ばく露作業のデザインのところは客観的に見てグルーピングできるような能力が要求されます。しっかりしたデザインができる能力のある人をセレクションし、精度管理をすることが、不適切なデザインがされることに対しての抑止力になる
⑤全体的に精度のよい分析をして、かつ現場を分かっている人がどう関与できるのかというシステムも見直しが必要
⑥社内で第二種(個人サンプリング法)測定士、デザイン、サンプリングできる方を養成すれば良いのではないか?
次回、8月28日月曜日14時から17時を予定、だそうです。注目しておきたいと思います。
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令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会 第二回議事録 前半 [行政ニュース 化学物質管理]
令和5年度化学物質管理に係る専門家検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33388.html
第2回の議事録が8月14日に公開されていましたので、勉強してみました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34691.html
開催日は、令和5年7月18日(火) 14:00~16:15
議題は、
①濃度基準値の検討
②その他(個人ばく露測定の精度管理の仕組)
有機スズ化合物については、化学構造の似た化合物群で、基準値を決めるとしています。
その他の、「〇〇とその化合物」についても、同様に決めていくとのこと。
概ね、構造と毒性が相関しているので、そんなものかなと思いました。
ただ、濃度基準値の確認のなかで、事業者が、何のために、基準値を守るのか?、どういう毒性なのか?、どんな病気になるのか? がイメージできないと、基準値だけが独り歩きしても、ピンとこないだろうという意見がありました。
元の文献では、有機スズ化合物は中枢神経障害、脳浮腫、四肢の脱力や全身の震えを引き起こす可能性が、ラットなどで確認されており、症状としては後頭部の頭痛、鼻血、倦怠感、肩こりなど、だろそうです。中毒の初期症状を知らないと、現場での管理が難しいように思います。
有機スズの毒性https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/osen_3.pdf
検討に関連して出た意見として、
ユーザー事業者の代表者から
①現場の準備のために、SDSの更新を早くしてほしい
②濃度基準値があることや、基準値そのものがSDSに記載されないので、ルール化して欲しい。
化学品メーカーからは、
①システム改修のための、外注先が取り合いになっており、間に合わない。
②裾切値などを検討してほしい(有機則のように)。接着剤など、微量のモノマー不純物などが、分析も必要で対応しきれない。
その他
①濃度基準値を設定するに当たって、労働者の安全を確保するという形で厳し目に設定するのはよいのですが、実は一般消費者が使っている商品に含まれる化学物質を吸い込んでいる濃度のほうが全然高いということになっていないか
②沸点が非常に低いものは、瞬間的に高濃度になる可能性があるので、排気装置の必要があることを注意喚起すべき(フロン系の化合物群での議論)
③感作性物質については、濃度基準値を適用するときに既に感作を受けた人は注意が必要ではないか?(同じで良いのか?)
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皮膚等障害化学物質への有効な保護具の選択等に関する意見交換会 [講習会情報]
皮膚等障害化学物質への有効な保護具の選択等に関する意見交換会(東京Web①)を聴講しました。
https://mhrt-r05-dermalppe.spiral-site.com/
基調講演の資料も、このページにアップされていますので
参考にしてください。
(1)皮膚等障害化学物質等の接触の防止について(仮題)
講師:厚生労働省担当官
(2)皮膚等障害化学物質の選定のための検討会での検討結果報告(仮題)
講師:独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 豊岡 達士
パネルディスカッションでは、沢山の質疑応答があり参考になりました。
議事録と答えきれなかったQ&Aについては、後日、同じサイトにアップされていますので
注目していきたいです。
【気になった意見】
CRAの結果、接触するリスクの低いケース
①万が一、飛散したときの防護
②使用する時間が短い
高価で、作業性の悪い、化学防護手袋にこだわる必要はないという意見が出されており、
厚労省・JNIOSHの方も、特に異論を唱えていませんでしたので、
注目すべき見解だと思います。
調べてみると、
保護手袋メーカー アゼアス(株)さんの
アンセル化学防護手袋 透過データには、
透過破過時間のランクで、
10分以下 推奨しない
10~60分まで 飛沫保護機能
60~240分 通常保護機能
240分以上 優れた保護機能
と、ランク付けされていますので、
参考になると思います。
ユーザー代表の立場の、最川さんのコメント
「製造元が、使い方を説明するべきであり、どんな保護手袋がよいのかを示すべき」
化学品メーカー代表の立場の、日化協 山口さんのコメント
「末端ユーザーの皆さんが、手袋を化学物質が手袋を透過するという事実をほとんど気にとめていないという実態が心配」
まとめに代えて
安衛検での提言をあげておきます。
1.保護手袋の選択や保護具使用の教育
・Group1(356物質)について、半数強について耐透過性データが確認できない状況。
・耐透過性情報がない物質については、その物質と物性(分子量、LogKow、官能基、粘性等)や液性(酸・アルカリ)が近い物質を参照したり、それらを入力して皮膚透過量を推定するアプリケーションなどを活用すれば適切に防護手袋を選択できる。
・今後、皮膚吸収物質の一覧を明示することで、保護具メーカーが保有する耐透過性データや各事業者で実施された透過性試験の結果を開示し、適切な保護具の選定に活用することで、経皮ばく露防止に努めていくことが必要。
2.皮膚吸収性有害物質に関する教育等
・皮膚吸収性有害物質Group1,2それぞれで留意すべき特徴等について、現場管理者等への教育や教材の作成が必要。
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労働安全衛生展 出張報告 [その他、労働安全関係]
労働安全衛生展 出張報告 7/27に参加しました。
30-40企業が出展。名刺交換させていただいた企業さんを紹介します。
アジアクリエイト(株) 松井様
安全体感装置と、出張講習などを紹介
https://asia-create.jp/training-center
粉じん爆発とか巻き込まれ体感とか、多種多様な装置をお持ちされています。最近は、youtube動画もありますが、実際、私も体験してみると、インパクトが違います。
感電・過電流・トラッキング安全体感装置
展示会場では、カタログにない活線の切断感電体験装置のデモを体験させていただきました。
清水建設さんの安全体験車両も有名ですね。
安全体感車「甕割号(かめわりごう)」
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2022/2022002.html
(株)モアグリップ 専務取締役 村田様
耐滑塗装の実演。塗料だけの少量販売から、工場床面の塗装請負まで。
DIYサイズでの販売は、試し塗りとかちょっとした屋内階段の滑り止めとかにお勧め
https://suvelankakumei.jp/non_slip/
しかも、骨材には、廃瓦や陶器片を破砕して使用。アップサイクルなエコロジー商品。
(株)ピカコーポレーション 部長 山川様
今年の10/1から義務化される、2t以上のトラックの荷台への昇降設備の展示
https://www.pica-corp.jp/safety/nieki.php
手すり付きの新製品を特価で展示
https://www.pica-corp.jp/products/products.php?id=505&h_cat1=6&h_cat2=24
(株)ツールマート 課長 酒井様
フォークリフト用安全対策備品の展示紹介。
フォークリフト用のドラレコやバックモニターの他、いろいろな装置を展示。
今あるフォークリフトに後付けできるのが魅力。
個人的には、「フォーク水平ランプ」が良かったな。
https://www.toolmart.jp/product/lamp/
その他
○スピード警告装置
構内の制限速度が守られているか確認したいという声に応えました。
○接近警報システム(方向検知タイプ)
フォークリフトの接近をセンサーで検知し、光と音で知らせます。
○ワーニング ラインライト2
LEDのブルーライトが床面を照射。フォークリフトの接近を知らせます。
大林グループの(株)オーク情報システム 課長 坂上様
無線通信できるWGBT計測機器を複数台、建設現場の各所に配置して、一括監視を実施。
移設も容易で、工事の進行に合わせて監視箇所を変えられるのも魅力。
ユニパルス(株) 課長 吉岡様
電動バランサーの実演展示、
重量物の負荷軽減だけでなく、加重センサーの制御で、落下事故なども防止できるとのこと。
一斗缶のアタッチメントが実演されており、傾けて注ぐこともできるようなアタッチメントも展示。アタッチメント類は、注文生産にも応じてくれるらしいです。
中小企業向けの安全対策融資「エイジフレンドリー補助金」の紹介もしていました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
https://www.jashcon-age.or.jp/
(株)テラモト
クッション性のある床材や、クッションマットの展示。
立ち作業で疲れないとのこと
今後、大阪でも開催予定だそうですので、
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