労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
飲用空容器の薬品容器への流用による誤飲 [法令・通達情報※労働衛生]
職場安全巡視中に見つけた事例をご紹介します。
職場で見つけたのは、 ハンダごての先端のクリーニングに使うスポンジを水で湿らせるた めの水なのですが、お茶ペットボトルの空き容器に、 水道水を入れて使っていました。
まさか飲むことは無いとは思ったのですが、 飲用容器を流用する悪い習慣に繋がると思ったので、専用容器を支給して「 ハンダ用水」と表示して使ってもらうことにしました。
調べてみると、「誤飲による中毒災害」 の原因になった事例が過去に数件あり、 厚労省からも通達が出ていることがわかりました。
職場で見つけたのは、
まさか飲むことは無いとは思ったのですが、
調べてみると、「誤飲による中毒災害」
【厚労省通達】
基安化発第0123001号 平成16年1月23日
液状薬剤の誤飲による災害防止について
液状薬剤の誤飲による災害防止について
通達の中にも、その他3例の災害事例が紹介されています。
【災害事例】
1. ペットボトルの液をラッパ飲みし、シンナーによる急性中毒で、 休業1ヵ月
(1) 発生状況
・作業で使用したシンナーが余ったので、清涼飲料水のペットボトル に入れて、表示せずにそのまま資材置場に置いていた。
・それを誰かが、これを飲料水だと思い冷蔵庫に入れた。 (清涼飲料水は、普段から冷蔵庫に入れられていたので)
・4日後、被災者は仕事が一段落した時、のどが渇いたので、 職場の冷 蔵庫の中の清涼飲料水のペットボトルの液を、ラッパ飲みした。しかし、変な味がしたので、 コップ1杯半程飲み下した後に吐き出した。その後、口に指を突っ込んで、出せるだけ吐き出した。しかし、3~4時間後、全身痙攣が起こり意識不明となった。幸い7時間後に意識を回復した。
・このペットボトルは、誰かが、 飲料水だと思い冷蔵庫に入れたシンナー(メタノール30%~, トルエン50%~ )であった。
(2) 原因
①シンナーを、清涼飲料水のペットボトルに入れ、 表示もされていなかった。
(1) 発生状況
・作業で使用したシンナーが余ったので、清涼飲料水のペットボトル
・それを誰かが、これを飲料水だと思い冷蔵庫に入れた。 (清涼飲料水は、普段から冷蔵庫に入れられていたので)
・4日後、被災者は仕事が一段落した時、のどが渇いたので、
・このペットボトルは、誰かが、
(2) 原因
①シンナーを、清涼飲料水のペットボトルに入れ、
②内容を確認せず、飲用冷水と同じ職場内の冷蔵庫に入れた。
2.食品消毒用の消毒液の原液の誤飲
(1)発生状況
・ さらし粉溶液は、100倍に薄めて使う原液で、次亜塩素酸カルシウムを主成分とし色は緑茶に似た緑色である。事業場ではさらし粉溶液を夏場に千切りキャベツ等の消毒等を行うために使用しており、10リットル入りポリ容器で購入したものを1.8リットル入りペットボトル(調味料が入っていた空容器)に移し替えて業務用冷蔵庫に保管していた。
・ 当該ペットボトルには黒マジックで「さらし粉」と記載していたが、災害発生時には記載面が裏側となっていて読めない状態であり、かつその隣に同程度の大きさの緑茶入りペットボトルが置かれてあった。
・弁当販売店の調理場で、調理等の作業を労働者3名で行っていた。調理等の作業が一段落ついたところで休憩を取り、作業者の一人が業務用冷蔵庫から緑茶と誤認して野菜消毒用のさらし粉溶液の入ったペットボトルを取り出してコップ3個に注ぎ、3名はこれを飲んで激しく嘔
吐し、救急車で病院に搬送され、急性薬物中毒と診断された。
・ さらし粉溶液は、100倍に薄めて使う原液で、次亜塩素酸カルシウムを主成分とし色は緑茶に似た緑色である。事業場ではさらし粉溶液を夏場に千切りキャベツ等の消毒等を行うために使用しており、10リットル入りポリ容器で購入したものを1.8リットル入りペットボトル(調味料が入っていた空容器)に移し替えて業務用冷蔵庫に保管していた。
・ 当該ペットボトルには黒マジックで「さらし粉」と記載していたが、災害発生時には記載面が裏側となっていて読めない状態であり、かつその隣に同程度の大きさの緑茶入りペットボトルが置かれてあった。
・弁当販売店の調理場で、調理等の作業を労働者3名で行っていた。調理等の作業が一段落ついたところで休憩を取り、作業者の一人が業務用冷蔵庫から緑茶と誤認して野菜消毒用のさらし粉溶液の入ったペットボトルを取り出してコップ3個に注ぎ、3名はこれを飲んで激しく嘔
吐し、救急車で病院に搬送され、急性薬物中毒と診断された。
(2)発生原因
① 薬剤と飲料を同じ冷蔵庫に保管していたこと。
② 薬剤を飲料と同程度の大きさの容器に入れ、色まで似ていたにもかかわらず薬剤であることの表示が不明確で注意事項の表示もなかったこと。
3.金属洗浄用変性アルコールの誤飲
(1)発生状況
・ 事業場では金属等洗浄用変性アルコール(エタノール88%、イソプロピルアルコール10%、メチルエチルケトン2%)を18リットル入り缶で購入し、500ミリリットル入りペットボトル(飲料用の廃容器)に小分けして用いていた。当該ペットボトルは、通常、実験室及び会議室と同階にある作業室内の棚に置かれていた。
・ 当該ペットボトルのラベル等の外装は、はがされており、内容物に関する表示もなかった。
・ 会議室にはホワイトボードが設置されており、その文字消し用に当該変性アルコールが使用されることがあった。
・被災者は、会議室内でパソコンに向かい設計作業を行っていた。
・机上には、被災者が持ち込んだ500ミリリットルペットボトル入り清涼飲料水が2本飲みかけのまま置かれていた。
・会議室のホワイトボードの文字消し用に持ち込まれた500ミリリットルペットボトル入り変性アルコールが、同じ机上に置かれていた。
・被災者は、変性アルコールの入ったペットボトルを清涼飲料水の入ったペットボトルと誤認して内容物を飲み込み、医師の診察の結果、急性薬物中毒と診断された。
・ 当該ペットボトルのラベル等の外装は、はがされており、内容物に関する表示もなかった。
・ 会議室にはホワイトボードが設置されており、その文字消し用に当該変性アルコールが使用されることがあった。
・被災者は、会議室内でパソコンに向かい設計作業を行っていた。
・机上には、被災者が持ち込んだ500ミリリットルペットボトル入り清涼飲料水が2本飲みかけのまま置かれていた。
・会議室のホワイトボードの文字消し用に持ち込まれた500ミリリットルペットボトル入り変性アルコールが、同じ机上に置かれていた。
・被災者は、変性アルコールの入ったペットボトルを清涼飲料水の入ったペットボトルと誤認して内容物を飲み込み、医師の診察の結果、急性薬物中毒と診断された。
(2)発生原因
①薬剤を飲料用の容器に入れたこと。
②薬剤の入った容器を人が飲食物を置く可能性のある場所に注意事項の表示もなく放置していたこと。
③薬剤の使用について、他用途への転用による危険有害性の認識が少なく、管理が十分に行われていなかったこと。
②薬剤の入った容器を人が飲食物を置く可能性のある場所に注意事項の表示もなく放置していたこと。
③薬剤の使用について、他用途への転用による危険有害性の認識が少なく、管理が十分に行われていなかったこと。
4.床ワックス剥離剤の誤飲
状況
・ 床ワックス材のはく離剤(ベンジルアルコール21%、2-アミノエタノール18%、水酸化ナトリウム2%等)は本工事の元請事業場所属の労働者が500ミリリットル入りペットボトル(飲料用の廃容器)に入れて持ち込んだものであり、この薬剤は、スプレー容器に入れ水で希釈して使用するものである。
・ 当該ペットボトルのラベル等の外装は、はがされており、内容物に関する表示もなかった。
・被災者は、工事現場に500ミリリットル入りペットボトルに入れたお茶を自宅よりバッグに入れ持参していた。当該ペットボトルのラベル等の外装は、はがされてあった。
・同じ場所で作業をしていた同僚が、Cが工事現場に持ち込んでキッチンに置いていたはく離剤入りのペットボトルを被災者が持参したお茶入りペットボトルと誤認して 被災者 のバッグの横に移動させた。
・ 被災者 は午後の作業再開後に喉が渇き、持参したペットボトルのお茶を飲もうとして、自分のバッグの隣に置いてあったペットボトルの内容物を飲んで急に苦しみだし、救急車で病院に搬送され急性薬物中毒と診断された。
・ 床ワックス材のはく離剤(ベンジルアルコール21%、2-アミノエタノール18%、水酸化ナトリウム2%等)は本工事の元請事業場所属の労働者が500ミリリットル入りペットボトル(飲料用の廃容器)に入れて持ち込んだものであり、この薬剤は、スプレー容器に入れ水で希釈して使用するものである。
・ 当該ペットボトルのラベル等の外装は、はがされており、内容物に関する表示もなかった。
・被災者は、工事現場に500ミリリットル入りペットボトルに入れたお茶を自宅よりバッグに入れ持参していた。当該ペットボトルのラベル等の外装は、はがされてあった。
・同じ場所で作業をしていた同僚が、Cが工事現場に持ち込んでキッチンに置いていたはく離剤入りのペットボトルを被災者が持参したお茶入りペットボトルと誤認して 被災者 のバッグの横に移動させた。
・ 被災者 は午後の作業再開後に喉が渇き、持参したペットボトルのお茶を飲もうとして、自分のバッグの隣に置いてあったペットボトルの内容物を飲んで急に苦しみだし、救急車で病院に搬送され急性薬物中毒と診断された。
(2)発生原因
①薬剤を持ち込んだ労働者に有害性の認識がなかったこと。
②薬剤の表示や注意事項もなく、薬剤を飲料用の容器に入れていたこと。
③現場における有害物の使用について、関係労働者間の連絡調整が不十分であったこと。
②薬剤の表示や注意事項もなく、薬剤を飲料用の容器に入れていたこと。
③現場における有害物の使用について、関係労働者間の連絡調整が不十分であったこと。
扱っているものがものだけに、危険性を認識し、区別して保管する職場風土作りが必要だと思います。
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