労働衛生コンサルタントの過去問や、労働安全衛生・環境関係の法令改正情報を綴っています。
事業運営のための衛生工学知識を深め、また、労働衛生コンサルタントを目指す方の参考になるよう、衛生工学の知識と新しい法令の告知情報を中心に記載していきます。
環境計量士の資格から、順番に、労働衛生コンサルタントに繋がったので、環境関連の話題も載せています。
粉じん作業の安全管理【最近のトピックス】 [労働衛生工学 出題ポイント]
粉じん作業の安全管理の動向
粉じんによる健康被害は、昭和58年から減少傾向にあります。
一方で、粉じん作業に携わる作業者の人数は、 平成20年頃に底を打って、上昇傾向にあります。じん肺は、 一旦かかってしまうと、肺に不可逆的な障害が残る疾病でもあり、予防が重要な労働疾病です。
現在(平成30年度から平成34年度=令和4年度まで) 第9次粉じん障害防止総合対策が実施されておりますが、 その重点事項は以下のようになっています。
1. 屋外における岩石・ 鉱物の研磨作業又はばり取り作業及び屋外における鉱物等の破砕作 業に係る粉じん障害防止対策
2. ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
3. 呼吸用保護具の使用の徹底及び適正な使用の推進
4. じん肺健康診断の着実な実施
5. 離職後の健康管理の推進
6. その他地域の実情に即した事項
・アーク溶接作業や岩石等の裁断等の作業
・金属等の研磨作業
2. ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
3. 呼吸用保護具の使用の徹底及び適正な使用の推進
4. じん肺健康診断の着実な実施
5. 離職後の健康管理の推進
6. その他地域の実情に即した事項
・アーク溶接作業や岩石等の裁断等の作業
・金属等の研磨作業
特に、「2. ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策」、「6.その他・ アーク溶接作業」に関しては、第9次総合対策の期間に、「 作業主任者」の役割が大きく取り上げられていますので、 紹介したいと思います。
もともと、粉じん則では、特定粉じん作業では、作業者に呼吸用保護具を使用させるのは事業者の責務であり、作業者は、着用を命じられた時は使用しなけばならない、と規定されていますが、より具体的には、平成 17 年2月7日付け基発第 0207006 号「防じんマスクの選択、使用等について」にて、
①作業場ごとに、「保護具着用管理責任者」を、衛生管理者、安全衛生推進者又は衛生推進者等労働衛生に関する知識、経験等を有する者から選任
②「保護具着用管理責任者」には、呼吸用保護具に関し、以下の適正な選択、使用及び保守管理を行わせること。
[1] 呼吸用保護具の適正な選択、使用、顔面への密着性の確認等に関する指導
[2] 呼吸用保護具の保守管理及び廃棄
[3] 呼吸用保護具のフィルタの交換の基準を定め、フィルタの交換日等を記録する台帳を整備すること等フィルタの交換の管理
[1] 呼吸用保護具の適正な選択、使用、顔面への密着性の確認等に関する指導
[2] 呼吸用保護具の保守管理及び廃棄
[3] 呼吸用保護具のフィルタの交換の基準を定め、フィルタの交換日等を記録する台帳を整備すること等フィルタの交換の管理
となっていました。
まず、【 ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの改正 について(令和2年7月20 日付け基発 0720 第2号)】においては、「ずい道等の掘削等作業主任者」 の職務が新たに規定されました。
2 ずい道等の掘削等作業主任者の職務
事業者は、ずい道等の掘削等作業主任者に、 次の事項を行わせること。
(1) 空気中の粉じんの濃度等の測定の方法及びその結果を踏まえた掘削 等の作業の方法を決定すること。
(2)換気(局所集じん機、伸縮風管、エアカーテン、 移動式隔壁等の採用、 粉じん抑制剤若しくはエアレス吹付等粉じんの発生を抑制する措置 の採用又は遠隔吹付の採用等を含む。)の方法を決定すること。
(3)粉じん濃度等の測定結果に応じて、 労働者に使用させる呼吸用保護具を選択すること。
(4)粉じん濃度等の試料採取機器の設置を指揮し、 又は自らこれを行うこと。
(5)呼吸用保護具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
(6)呼吸用保護具の使用状況を監視すること。
事業者は、ずい道等の掘削等作業主任者に、
(1)
(2)換気(局所集じん機、伸縮風管、エアカーテン、
(3)粉じん濃度等の測定結果に応じて、
(4)粉じん濃度等の試料採取機器の設置を指揮し、
(5)呼吸用保護具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
(6)呼吸用保護具の使用状況を監視すること。
ここでのポイントは、「 空気中の粉じん濃度等の測定結果を踏まえ」
①作業方法(換気の方法など)を決定
②呼吸用保護具の選択
という点、
及び、呼吸用保護具については
③点検
④使用状況の監視
となっている点です。
次に、アーク溶接作業に関してですが、
従来から、粉じん作業だったので、「保護具着用管理責任者」の選任が必要でしたが、溶接ヒュームが特化物に指定されたので、「特定化学物質作業主任者」の選任が必要となりました。
溶接ヒュームに関わる「特定化学物質作業主任者」の職務としては、
① 作業に従事する労働者が対象物に汚染され、吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
② 全体換気装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること
③ 保護具の使用状況を監視すること
② 全体換気装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること
③ 保護具の使用状況を監視すること
となっており、通達では明示されていませんが、検討会の報告書には、
「作業方法の決定」については、【報告書項目2(4)】の措置を含むこととし、「保護具の使用状況の監視」については、【報告書項目4】による保護具の選択等を含むこと
4 呼吸用保護具の選定及び使用
(1) 要求防護係数の算定(測定結果に基づく)
(1) 要求防護係数の算定(測定結果に基づく)
(2) 算定された要求防護係数を上回る指定防護係数を有する呼吸用保護具を選定
(3) 呼吸用保護具の使用方法の確認(年1回のフィットテストを含む)
(3) 呼吸用保護具の使用方法の確認(年1回のフィットテストを含む)
となっています。
溶接ヒュームに関わる「特定化学物質作業主任者」の選任は、猶予期間があり、R4.4.1からの義務付けになりますが、各地の連合会や教育センターでは、
「溶接ヒューム(アーク溶接)作業向け特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」
(溶接ヒューム向け特化作業主任者講習)という名称で別途開催する地域もあります。
茨城労働基準協会連合会 溶接ヒューム作業向けコース(ちょっと料金up)
新潟 溶接ヒューム作業向けコースあり(ちょっと料金up)
東京 追加講習あり(区別なし:同一コース内に含む様子)
これは、ちょっとご参考までということで、
アーク溶接作業における粉じん対策の実施例
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リスクアセスメント進め方と各種リスク評価手法について [労働衛生工学 出題ポイント]
今日はリスクアセスメント手順と各種評価手法について、復習してみたいと思います。
先ずは【リスクアセスメントの進め方】
何度も過去問に登場する項目ですね。 ステップ1~3を狭い意味で、リスク評価と言ったりします。
ステップ4が努力義務というのは意外ですが、法的に義務のある管理策は実施されている前提ですね。
先ずは【リスクアセスメントの進め方】
何度も過去問に登場する項目ですね。 ステップ1~3を狭い意味で、リスク評価と言ったりします。
リスクの見積もりに関しては、一時期、手法に関する問題、特に有害物質に関する測定の不要な手法「コントロールバンディング」などが良く出題されてましたが、昨今の行政や各安全機関の発表の主流は、個人ばく露や簡易測定などの測定結果に基づくリスク評価手法のように思います。
【リスクを見積る方法】
【A】<ばく露量を測定せず、作業内容と有害性の程度から見積もる方法>
対象物が労働者に危険を及ぼし、または健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)
と、危険または健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法
【B】<ばく露量を測定・あるいは、推定してリスクを見積もる方法>
労働者が対象物にさらされる程度(ばく露濃度など)とこの対象物の有害性の程度を考慮する
方法
方法
【C】その他、【A】、【B】に準じた方法
危険または健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関係法令の各条項に規定
されている場合に、これらの規定の実施状況を確認する方法などがあります。
されている場合に、これらの規定の実施状況を確認する方法などがあります。
爆発や火災などの危険性のリスクアセスメントは、ばく露量とは関係が無いので、【A】か【C】に限られます。
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リスクアセスメントの対象・実施時期・実施体制 [労働衛生工学 出題ポイント]
労働衛生工学の記述式試験に頻出している化学物質リスクアセスメントについて、ポイントを整理します。
リスクアセスメントの対象・実施時期・実施体制
実施義務の対象物質は、
事業者の業種、規模にかかわらず
表示・通知義務対象物質 (674物質:2021年1月1日現在)です。
製造するだけではなく、取り扱うすべての事業者が対象です。
尚、今後の改正で、「アクリル酸二―(ジメチルアミノ)エチル他235物質」が追加される見込みです。
実施する時期・タイミングについては、法的な義務のあるタイミングと、法的には努力義務になっているタイミングがあります。
【法律上の実施義務】
1. 対象物を原材料などとして新規に採用 したり、変更したりするとき
2. 対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順を新規に採用したり変更したりするとき
3. 前の2つに掲げるもののほか、対象物による危険性または有害性などについて変化が生じたり、生じるおそれがあったりするとき(新たな危険有害性の情報が、 SDS などにより提供された場合など)
実施義務の対象物質は、
事業者の業種、規模にかかわらず
表示・通知義務対象物質 (674物質:2021年1月1日現在)です。
製造するだけではなく、取り扱うすべての事業者が対象です。
尚、今後の改正で、「アクリル酸二―(ジメチルアミノ)エチル他235物質」が追加される見込みです。
実施する時期・タイミングについては、法的な義務のあるタイミングと、法的には努力義務になっているタイミングがあります。
【法律上の実施義務】
1. 対象物を原材料などとして新規に採用 したり、変更したりするとき
2. 対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順を新規に採用したり変更したりするとき
3. 前の2つに掲げるもののほか、対象物による危険性または有害性などについて変化が生じたり、生じるおそれがあったりするとき(新たな危険有害性の情報が、 SDS などにより提供された場合など)
【指針による努力義務】
1. 労働災害発生時(過去のリスクアセスメントに問題があるとき)
2. 過去のリスクアセスメント実施以降、機械設備などの経年劣化、労働者の知識経験などリスクの状況に変化があったとき
3. 過去にリスクアセスメントを実施したことがないとき (施行日前から取り扱っている物質を、施行日前と同様の作業方法で取り扱う場合で、過去にリスクアセスメントを実施したことがない、または実施結果が確認できない場合)
1. 労働災害発生時(過去のリスクアセスメントに問題があるとき)
2. 過去のリスクアセスメント実施以降、機械設備などの経年劣化、労働者の知識経験などリスクの状況に変化があったとき
3. 過去にリスクアセスメントを実施したことがないとき (施行日前から取り扱っている物質を、施行日前と同様の作業方法で取り扱う場合で、過去にリスクアセスメントを実施したことがない、または実施結果が確認できない場合)
つまり、改正労働安全衛生法の施行日(平成28 年 6 月 1 日)以降の表示・通知対象物質の新規採用・変更はリスクアセスメントの実施が義務となります。
これまで使用してきている化学物質については努力義務なのですが、①作業者が交代したり、②現場での作業の改善・変更が計画されたり、③使用量が大きく変動したりする場合も想定されるので、計画的に実施する必要がありますね。
実施体制に関しても、詳細に定められており、過去にも出題されています。
上記に加え、実際に作業に従事する人も、リスクアセスメントに参画することが望ましいとされています。
作業者が参画することで、
①業務の作業内容の実態を反映、 ②リスクアセスメントの内容の共有化、 ③安全意識の向上、 につながります。
化学物質管理者に関しては、今後、一定規模や業種での専任が、義務づけられる方向で検討が進んでいます。
上記の内容は、厚労省のHP「職場の安全サイト:リアルタイムモニターを用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック」に掲載されている、ガイドブック 改訂第2版の、基礎編を元に作成しています。
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試験直前勉強応援「職業性疾病の管理に関する知識」 [労働衛生工学 出題ポイント]
労働衛生工学の試験対策に作成した資料を公開します。
出典は、衛生工学衛生管理者の講習会の講義(L-4)「職業性疾病の管理に関する知識」です。
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労働衛生工学 出題ポイントのリンク先一覧 [労働衛生工学 出題ポイント]
出題ポイントのリンク先まとめ
まだまだ、少ないのですが、
過去ブログの中から労働衛生工学:記述式の出題ポイントの記事について
索引を作ってみました。
順次、過去問を解くときに使った解説をまとめて、追加していきたいと思います。
試験直前の記憶の整理に役立てれば幸いです。
局所排気装置設計関連
・ダクトフード計算→リンク先
まだまだ、少ないのですが、
過去ブログの中から労働衛生工学:記述式の出題ポイントの記事について
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順次、過去問を解くときに使った解説をまとめて、追加していきたいと思います。
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